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賢い人は合法的に税金を納めず老後に備える~iDeCo

賢い人は税金を「合法的」に納めません。そしてそのお金を自分の老後に回します。そんなウソみたいな方法があります。

山崎 俊輔

執筆者:山崎 俊輔

企業年金・401kガイド

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合法的に税金を払わなくてすむなら払わないに限る

私たちが仕事で稼ぐ限り、厚生年金保険料や健康保険料はもちろん引かれますし、所得税や住民税の支払いから逃れることはできません。こうした負担は、家計にとっては痛いものの、社会人として社会を支える必要なコスト負担です。

たとえば、毎日のゴミ処理のために、国民ひとりあたり約16000円くらい負担しなければ、世の中にはゴミの山があふれかえってしまいます。国民ひとりあたり約40000円の負担があるから警察や消防といった治安維持のシステムも機能しています。

子どもの学費負担が重い、といっても、子どもひとりあたり年90~100万円くらいが税金から投入されています。これももちろん、みんなの税金負担からまかなわれます。

しかし、正しく節税をして納税額を減らすことが認められないわけではありません。扶養家族のいる人、生命保険に入っている人、住宅ローンを新規設定した人など、「控除」が認められ、きちんと手続きをした場合は、その分の稼ぎは税金の計算から除外されます。これはつまり、仮に実効税率が15%とすれば15%分、20%とすれば20%分、税金が軽くなるということです。(税額から直接軽減される税額控除の場合もある)。

もし、自分の老後のために貯金をしたら、15%ないし20%くらい節税されるとしたらどうでしょうか。もしかすると人生を通じて300万円も節税できるとしたら? そんなうまい話があるのでしょうか。もしあるとしたらマネーハック的には見逃せないところです。

自分の老後に備える人ほど税金が軽くなるiDeCoというしくみ

最近、iDeCo(イデコ)というキーワードが雑誌や新聞で目につくようになりました。これは個人型確定拠出年金のニックネームです。制度そのものは2002年1月からあるものですが、このたび法律改正があって、現役世代なら誰でも加入できるように大幅な規制緩和が行われることになり、そのPRのために愛称が設定されたのです。

このiDeCo、先ほど述べた「自分の老後のために貯金すれば、その分節税がはかどるしくみ」となっているのです。そして賢い人ほどこの制度に着目しています。

iDeCoのもっともインパクトがあるのは、毎月の掛金を自分の老後のためにiDeCo専用口座に入金すると、その分が所得控除され税金の計算から外されるということです。たとえば年収500万円程度の世帯で毎月12000円積み立てると、年間28000円くらい所得税や住民税が免除されます。年14.4万円ですから、積立額の約20%は税金が軽くなった分で積み立てているということになります。

これを言い換えると、「実質的には80%の金額を積み立てれば国が税を免除した分で20%上乗せされる」というイメージです。普通ならガッポリと引かれるはずの所得税や住民税の負担がなくなる、ということはお金を貯めるうえで最高のパフォーマンスをもたらしてくれる、というわけです。

何せ、何もしなくても、iDeCo口座に入金するだけで20%以上の利回りを稼いだも同然ですから、賢い人ほどこれを使わないはずがないのです。

運用で増えた分もすべて「合法的」に納めずにすむ

また、iDeCoの口座で運用で増やしたお金は銀行預金の利息も投資信託の値上がり益も収益分配金も、すべて非課税で手元に残ります。税の原則はこうした収益に20%課税することですから、これまたおいしい話です。

たとえば毎月12000円を22歳から60歳まで積み立てたとします。利息ゼロの場合547万円が貯まります。これがもし、年4%の運用収益を得たとすれば60歳時点での受け取り額は1282万円までふくらみます。

しかし、4%の運用利益に税金がかかって年3.2%しか手元に残っていなければ、60歳時点の受け取り額は1066万円まで下がります。つまり216万円も節税効果により老後の財産が増えた、ということになります。

これまた、賢い人が必ず注目するポイントです。今まで運用収益の非課税といえばNISA(少額投資非課税制度)が人気でしたが、新しい選択肢が増えることになったからです。むしろ、何度売買しても60歳までずっと非課税運用が可能、という意味ではNISAを上回る要素もあるほどです。

ちなみに受取時には課税されるものの、38年の積み立てについては、2060万円の非課税枠(退職所得控除)があり、これを会社の退職金とシェアします。オーバーした分も実際の受け取り額の半分にしか課税しませんので、税金はかからないか、かかっても少額ですむようになり、入り口から出口まで税制優遇のある口座となっています。

一生涯で税金を国に300万円以上税を払わずにすむかも!

先ほどのモデルをもう一度確認すると、年28000円の節税を38年積み上げればそれだけで106万円の節税になります。これだけでも相当のインパクトですが、これに先ほどの運用益の節税216万円を加えると、国に322万円も税金を払わずに、その分を自分の老後の財産としていい、という仕組みということになります。

あまりにも金額が大きすぎてウソのような話ですが、これはすべて、国が認めた合法的な「節税」策なのですから、堂々と利用すればよいものとなります。

何度もいいますが、賢い人ほどこの制度の魅力に気がついています。実はこれまでも利用できる人はたくさんいたのですが、その魅力に気がついていたのは対象者の1%未満でした。

2017年1月から、企業型の確定拠出年金に加入していた人を除けば、基本的に誰でもiDeCoを利用できるようになります。あなたは「賢い1%」になって、300万円の税金を払わず、自分の老後の財産にしてみてはいかがでしょうか

これからたくさん出てくるiDeCoのニュースに、ちょっと目を通してみてはいかがでしょうか。きっとあなたの人生を変える力があるはずです。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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