4年ぶりにVWザ・ビートルを刷新
2016年9月21日、フォルクスワーゲンのデザイン面でアイコン的存在となっているThe Beetle(ザ・ビートル)がマイナーチェンジを受けた。4年ぶりの刷新だからひと昔前の日本車だとフルモデルチェンジのタイミングでもおかしくないが、基本的にはフェイスリフトや装備の追加などになる。
スポーティな雰囲気に生まれ変わったVWザ・ビートル。9月21日の発表時点で、1.2Lの直列4気筒SOHCを積む「The Beetle Basic」、「The Beetle Design」。そして改良前のターボにあたる「The Beetle 2.0 R-Line」は直列4気筒DOHCターボを搭載。デザインの変更とともにグレード名も一部変更されたことになる。
外観では、前後バンパーデザインをスポーティな造形に変更し、精悍さを増したのが特徴。内装もよりスタイリッシュになったほか、中間グレードの「The Beetle Design」には、インパネやドアトリム、ステアリングトリムをボディカラーと同色にすることで、オシャレな雰囲気を演出している。さらに、ブラックもしくはベージュの専用格子調ファブリックシート、オプションのレザーシートを組み合わせれば最大32通りの中から好みの仕様をセレクトできる。
新色を含むカラフルなボディカラーも魅力
ボディカラーも新色の「ストーンウォッシュドブルーメタリック」、「ボトルグリーンメタリック」の2色に加えて、限定車で好評だったという「サンドストームイエローメタリック」、「ハバネロオレンジメタリック」も用意され、全8色のカラフルなラインナップとなっている。なお、下の車両は全ボディカラーを外板パネルで再現した世界で一台だけのコンセプトカーで、全国のキャラバンなどで披露されている。
安全装備では、ドライバー疲労検知システム「Fatigue Detection System」を新たに標準装備されたほか、後方からの車両の接近を知らせる「ブラインドスポットディテクション」、後退時警報・衝突軽減ブレーキ機能の「リヤトラフィックアラート」を設定している。
さて、新しく生まれ変わったVWザ・ビートルは、ボディカラーや内装色で仕様を吟味する女性ユーザーの比率が高いとのこと。だが、フォルクスワーゲンに求める安全性やしっかり感のある走りも購入理由の中に入っている人が多いはずだ。
ベーシックなエンジン搭載車でもパワー不足はなし
新色の「ボトルグリーンメタリック」をまとう「ザ・ビートル・デザイン」に試乗した。1.2L直列4気筒SOHCに7速DSGを組み合わせるパワートレーンは、105ps/5000rpm、175Nm/1500-4100rpmというパワー/トルクで改良前と変わっていない。
数値を見る限り、それほどパワフル(トルクフル)ではないような気がするが、1人乗車で街乗りやワインディングだと速い!! といえるもので、1.2Lターボで十分と思わせてくれる。
ターボラグはもちろん感じられるが、デュアルクラッチトランスミッション(DCT)の7速DSGが素早く変速してくれるから、加速時も減速時もストレスとは無縁だ。極低速域のマナーは、ATやCVT車とは違った振る舞いを見せるからこうしたトランスミッションからの乗り替えだと違和感を覚えるかもしれない。それでも、スムーズな変速フィールはDCTの中でもトップクラスといえるだろう。
また、硬質な乗り味もフォルクスワーゲンらしいものだが、荒れた路面でもボディの揺れが素早く収まるから決して不快ではない。VWに期待するしっかり感のある走りは、スタイリッシュなスタイルのザ・ビートルでも担保されている。
マイナーチェンジを受けたVWザ・ビートルには、ほかにもスマホを接続することでApple「CarPlay」、「AndroidAuto」、「MirrorLink」に対応する純正インフォテイメント「Composition Media」を全車標準装備するなど、ナビやAV、エンタメ系も強化されている。
スタイルに惚れたなら多少の我慢も許せるはず
VWザ・ビートルは独身やディンクスの方々が購入層の中心だろうが、後席も身長171cmの私が実用になる後席、足元空間を用意するなど、子どもが2人いるファミリーにも対応するパッケージングを実現している。
スタイリングや雰囲気に惚れたならば多少の不便(後席の乗降性など)を我慢しても手に入れる価値は十分にあるだろう。「オシャレは我慢」といった人もいるそうだが、それほど我慢しなくても機能性は担保されているから安心だ。
VWザ・ビートルを見て、乗ってみると、クルマの選び方は機能や使い勝手だけでなく、スタイリングや色などに惹かれて手にしていいのだと思わせてくれる。