“see-now-buy-now(見てすぐ買う)”コレクションの登場
ニューヨーク、パリ、ロンドン、ミラノ、東京……などで開催されるファッション・ウィークは、実シーズンに先駆けて、約半年前に開催されます。ショーで発表されたコレクションが店頭に並ぶのは半年後。ファッション・ショーは、一般の消費者ではなく、メディアや小売業に向けて実施されるのが慣例でした。しかし、バーバリーやラルフ・ローレンといったブランドが、“see-now-buy-now(見てすぐ買う)”コレクションを実施するようになり、ファッション・ビジネスそのものが変化してきています。
転換期を迎えた、トレンドカラー情報
1963年に発足した国際流行色委員会(INTERCOLOR)は、実シーズンに先駆けて、約2年前の6月と12月に、春夏と秋冬のトレンドカラー(流行色)を選定しています。インターカラー情報の受け手は、主に素材産業です。世界的に最も早い時期のトレンドカラーの選定であり、その後に発表される世界各国のトレンドカラー情報の、いわばトレンドセッター的な役割を担っています。一方、米国パントン社(PANTONE)は、実シーズンに先駆けて、約半年前の9月と2月に実施される、ニューヨーク・ファッション・ウィークのレポートという形で、トレンドカラーを選定します。
このように年に2回選定されるトレンドカラーは、春夏と秋冬、季節感のある色が選ばれるのが慣例でした。しかし、“see-now-buy-now(見てすぐ買う)”コレクションに象徴されるように、シーズンレスに楽しめるファッションが広く受け入れられるようになり、ファッションから季節感が失われる傾向も見受けられるのです。
ニューヨークのトレンドを映し出す、パントンのトレンドカラー
パントン社の「ファッション・カラー・レポート」は、2015年春シーズンまでは、ウィメンズとメンズ、それぞれ10色が選定されていました。しかし、2015年秋シーズン以降は、ウィメンズとメンズを統合し、10色を選定するようになりました。2016年9月23日に発表された、2017年春シーズンの「ファッション・カラー・レポート」では、上記の10色が選定されました。ブルー系が3色(ナイアガラ、ラピス・ブルー、アイランド・パラダイス)、グリーン系が2色(グリーナリー、ケール)というように、男女を問わず、ファッションに取り入れやすいブルー系とグリーン系が半分を占めています。
ベージュ系(ヘーゼルナッツ)、明るく鮮やかなイエローやレッド(プリムローズ・イエロー、フレイム)、淡いピンク(ペール・ドッグウッド)など、春らしい色も選ばれていますが、最も目を引くのは鮮やかな青みのピンク(ピンク・ヤロー)ではないでしょうか。
2017年春、シーズンレスを象徴する3色
■フューシャピンクとカーキグリーンピンク・ヤローのような鮮やかな青みピンクは、インパクトの強い色ですが、特定の季節を想起させる色ではありません。マゼンタ、フューシャ、フクシアとも呼ばれ、徐々に注目度が高まりつつあります。シーズンレス化が急速に進み始めた今シーズンにふさわしい色と言えるのではないでしょうか。
また、グリーン系の中でも、ケールの方はカーキ、ミリタリー・グリーンと呼ばれる色に当てはまります。従来は主にメンズの色でしたが、モッズコートやボマー・ジャケットの流行とともに、ウィメンズにおいてもベーシックカラーのひとつとして定着しつつあります。
鮮やかな青みピンク、カーキは、2016年秋冬の新作にも見られます。旬の色みを強調したいときは、シューズやバッグで小物で取り入れると効果的です。
■タイツと好相性、スエードパンプス
今シーズン注目のスエード素材のパンプス。スムースレザーに比べると、スエードは発色が穏やかなので、ニュアンスのある色みが引き立ちます。タイツとも好相性なので、コーディネートの楽しさが広がりそうです。
■好みのスカーフで、自分流にカスタマイズ
肩掛けできる長さとマチを大きくとったバケツ型バッグは、オンでもオフでも大活躍。ちらりと見える内側のカラーリングがコーディネートのアクセントに。上部の穴にスカーフを通して、自分流にカスタマイズすることもできます。
■春のベーシックカラーを先取り、グレージュ
ヘーゼルナッツのようなベージュ系は、春先に重宝するベーシックカラーのひとつ。深く開いたVネックのハイゲージニットは、グレーのニュアンスを含むグレージュ。合わせるインナーによって、シーズン長くお召しになれるだけでなく、インナーの見せ方によって、さまざまな着こなしを楽しむことができるでしょう。
【参考】
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