ミュージカル/ミュージカル・スペシャルインタビュー

『とと姉ちゃん』からロミオへ、大野拓朗が挑む(2ページ目)

朝ドラ『とと姉ちゃん』で、ヒロイン一家が転がり込む製材問屋の跡取り息子・清を演じ、注目を集めた大野拓朗さん。12年『エリザベート』で皇太子ルドルフを演じてから4年、『ロミオ&ジュリエット』ロミオ役でミュージカルに再挑戦します。実は本作の曲を4年間毎日歌いこんできたほど、ミュージカルが大好きだとか。その理由と決意を伺います!*観劇レポートを掲載しました*

松島 まり乃

執筆者:松島 まり乃

ミュージカルガイド

デビュー間もなく出会った『エリザベート』ルドルフ役

『エリザベート』写真提供:東宝演劇部

『エリザベート』写真提供:東宝演劇部

――大野さんはどんな少年だったのですか?

「不思議に聞こえるかもしれませんが、“活発な人見知り”でした。クラスの中では目立ちたがりで、率先して引っ張っていても、知らない人たちの中に入ると誰とも喋れなくなって、うじうじしてしまうという(笑)。中学からバスケ部で大学ではスポーツ科に在籍、サークルやクラブチームも作っていて、よく運動していました。

それが、大学2年の時に学内のミスターコンテストで優勝したことがきっかけで、ホリプロ50周年の俳優オーディションに出ることになったんです。そこで初めて演劇のレッスンを受けたのですが、それが物凄く楽しくて。スポーツと同じ感覚で芝居の魅力にはまってしまいました。そのオーディションでもグランプリをいただけて、迷わず芸能界に飛び込んだんです。演じることって、自分の中に(役を通して)他の人の人生が入ってくるということ。自分の人生が豊かになってくるようで面白いし、なかなかつかめないからこそ燃えてくる。今は少しずつ掴めてきたような気がして、すごく楽しいです」

――10年にデビューし、2年後に『エリザベート』のルドルフ役でミュージカル・デビュー。どんな思い出がありますか?

「小池先生が何かの記事を見て僕に目をとめ、さらに僕がミュージカルを大好きだと知って興味を持って下さり、事務所の人と3人でお食事をすることになりまして。でも当日、その事務所の人が来られなくなり、初対面なのに小池先生と二人きり(笑)。カラオケに誘われて、“ポップスでもなんでもいいから歌ってみて”というので歌ったら、ひとこと“全然ダメ!”と(笑)。それから紹介して頂いたボイストレーナーの先生の所に通い始めました。

少したって、ルドルフ役のオーディションに呼んでいただいたのですが、歌った直後はやはり“全然ダメ!もっと練習しなさい”。でも数日後、合格の連絡をいただきました。ルドルフという役はものすごく魅力的だったけど、稽古はぼろぼろでしたね。デビューから間もなかったこともあって、やっぱり演技も歌も一朝一夕で身につくものではないと痛感したし、いろいろ大変で悔しい思いを沢山しました。なかなか自分が届きたいところには届かなかったけれど、5か月間の公演の中で絶対に一つでも多く成長してやろうという気持ちで臨み、初日と楽(最終日)では別人になった……と自分でも感じましたし、お客様や共演者にも言っていただけました。

ロミオを思い、ロミオのナンバーを練習し続けた4年間

(その後、ミュージカル二作目までじっくり時間をかけたのは)ミュージカルは本当に大好きな世界だから、次に挑戦させていただく時には、本当に100点満点がとれる実力をつけておきたかったんです。振り返ると本当に、この4年間はロミオを思い続けた4年間でしたね。クラシックの先生に、汗だくになったり酸欠になりながら、横隔膜を鍛えて声を出す発声を教えていただいて、あとは車の中で、過去の『ロミオ&ジュリエット』のCDをかけて、城田(優)さんや山崎(育三郎)さんの真似をしたり、ここはこういうふうに歌いたいなと思ったらそれを練習したり。ほとんどロミオが趣味と化していました(笑)。

一方では、小池先生の演出作品がかかると欠かさず観に行って、感想をメールしたりもしていました。美的感覚がずば抜けていて、すべてのクオリティが高い小池作品が大好きなんです。大野は本当にミュージカルが好きなんだと思ってくださったのでしょうね。先生からも「いつかまたミュージカルをという火種が心の中にあるのなら、地道に練習していなさい」というお言葉をいただいていました。そうして今回、オーディションにお声がけいただいたんです」

“お母さん”大地真央さんからのアドバイス

『エリザベート』写真提供:東宝演劇部

『エリザベート』写真提供:東宝演劇部

――『とと姉ちゃん』では大地真央さんと親子役で共演されていました。大地さんといえば宝塚の伝説的な元トップスターで、ミュージカル俳優としても大先輩ですが、ロミオ役について何かアドバイスは?

「いただいてきました。大地さんも宝塚時代に、(バージョンの違う『ロミオとジュリエット』で)ロミオを演じたことがあるのだそうです。ロミオを演じるにあたっては、場面場面における人間的な成長を明確にしておくといいよ、とうかがいました。(繊細な若者が)ジュリエットへの愛を燃え上がらせて、ちょっとずつ大人になっていく。そういう大まかな流れをしっかり考えておくと、自分も演じやすくなるし、お客様にとっても分かりやすくなるのだそうです」

――役柄的には周囲が見えずに突っ走る役でも、俯瞰で自分の立ち位置をおさえてゆく、ということでしょうか?

「そういうことなんですね。あとは牛肉を食べなさい、と。皆さんおっしゃいますが、牛肉は喉にいいそうです。開幕したら大地さん、観にきてくださるそうなので、“お母さん”に僕の成長した姿をお見せして、“清、成長したよ!”と言えるように頑張りたいです。それは『とと姉ちゃん』で僕に注目してくださったお客様に対しても同じです。ロミオは清とはまったく違う人物で、清の三枚目な部分はロミオには全くありません(笑)。でも清は終盤、ちょっと頑張って成長していって、そこで素敵だなと思ってくださった方も多かったみたいなので、今回、このロミオ役で畳みかけて、完全に惚れさせたいです(笑)」

――この4年間、映像でお仕事されるなかで培い、舞台に役立ちそうなことはありますか?

「ドラマや映画だと、瞬き一つ、眉毛の動き一つで感情の変化が分かるんです。そういう中で、こまやかな表現を学べたかもしれないので、舞台の上でも、大きく動くことを第一に、ではなく、まずは心が動くことでちょっとした変化が体に起こる。それがお客様に伝わるようにということを稽古で研究してみようかな、と思っています。“愛してる”という台詞を発するにしても、その中には寂しさであったりいろんなニュアンスが含まれているかもしれない、そういう細やかな表現を一つ一つ組み立てていきたいですね」

――今後、どんな表現者になっていきたいと思っていますか?

「まずは今回初めて真の二枚目をやらせていただくので、これまでとは違う顔を観ていただき、皆さんの想像を超えたいです。良い意味で期待を裏切りたい。基本的には2.5枚目、三枚目を得意としていますから(笑)、そこの柱は太く立てつつ、それ以外の役にも積極的に挑戦していき、皆さんを飽きさせない俳優になりたいです。何よりまずはロミオを全うできるよう、頑張りますよ!」

*****
「200%、300%楽しんでいただけるように」「一生心に残っていただける舞台になるように」と、次々に誓いの言葉が飛び出したインタビュー。目標を思い切り高く設定することで自分を奮い立たせるその姿勢には、恋に突き進むロミオ役にぴったりの初々しさ、一途さが溢れ、演出の小池さんは大野さんのこの部分に期待されているのだろう、と感じられました。ミュージカル大好き青年が国民的ドラマでの経験を経て挑む、初めての“王道・二枚目”役。4か月後にどんなロミオが現れるか、楽しみでなりません。
『ロミオ&ジュリエット』

『ロミオ&ジュリエット』

*公演情報*『ロミオ&ジュリエット』17年1月15日~2月14日=赤坂ACTシアター、2月22日~3月5日=梅田芸術劇場メインホール

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