ミュージカル/ミュージカル・スペシャルインタビュー

平間壮一、芯の強さを高めたい【気になる新星vol.23】

抜群の体のキレと、爽やかで優しいオーラで注目される平間壮一さん。この秋冬には『ミュージカル バイオハザード』『ロミオ&ジュリエット』と、2本の話題作に出演します。ミュージカル界期待の星ながら、実は数年前までミュージカルというものを殆ど知らなかった(!)という彼。新作に寄せる思いから、その道程、夢までじっくりと伺いました!*2作品の観劇レポートを掲載しました*

松島 まり乃

執筆者:松島 まり乃

ミュージカルガイド

平間壮一undefined90年北海道生まれ。07年に『FROGS』で初舞台を踏み、『レディ・べス』『オーシャンズ11』『RENT』地球ゴージャス『The Love Bugs』朗読劇『私の頭の中の消しゴム』『ラディアント・ベイビー』など数多くの舞台で活躍している。(C)Marino Matsushima

平間壮一 90年北海道生まれ。07年に『FROGS』で初舞台を踏み、『レディ・べス』『オーシャンズ11』『RENT』地球ゴージャス『The Love Bugs』朗読劇『私の頭の中の消しゴム』『ラディアント・ベイビー』など数多くの舞台で活躍している。(C)Marino Matsushima

*4頁目に『ミュージカル バイオハザード』、最終頁に『ロミオ&ジュリエット』の観劇レポートを掲載しました*

『レディ・べス』(14年)の吟遊詩人仲間役から『オーシャンズ11』(14年)イェン、『RENT』(15年)エンジェル、そして今年の『The Love Bugs』ブン太に『ラディアント・ベイビー~キース・ヘリングの生涯~』ツェン・クワン・チー……。一昨年ごろからめきめきと頭角を現し、今最も目の離せないホープの一人が、平間壮一さんです。話題作で次々ときらり光る演技を見せていますが、世界的な人気ゲームのオリジナルミュージカル版『バイオハザード』は果たしてどんなものになりそうか、また若手俳優の登竜門ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』にはどんな思いで挑んでいるのか。その半生、今後の抱負まで、たっぷりと伺います!

“密かに恋する戦士”を演じる『ミュージカル バイオハザード ~ヴォイス・オブ・ガイア~』

――現在、平間さんは『バイオハザード』のお稽古中。『バイオハザード』は世界で6800万本も売れているサバイバルゲームで、平間さんは大ファンなのだそうですね。まずはこのゲームがどんなものか、ざっくり教えていただけますか?
『ミュージカルundefinedバイオハザード』

『ミュージカル バイオハザード ~ヴォイス・オブ・ガイア~』

「ざっくり言いますと、ウイルスが広がってゾンビだらけになった世界で、助けになる薬を探しに出る旅のゲームです。ゾンビを倒しながらも謎を解いたり、パズルみたいなものがあったりと要素がいろいろあって、二人一緒に旅をしていて、どちらも動かせるし、一人は置いておいてこちらをこう動かして、といったことも出来る。そういう感じが今回、舞台にもみんなで話し合いながら打開策を見つけるようなシーンでちらちら出てきて、ゲーム版のファンとしても嬉しいです」

――今回のオリジナル・ストーリーでは、記憶喪失のヒロイン、リサ(柚希礼音さん)が仲間たちと世界を救うべく立ち上がる。平間さんはその仲間の一人で、リサに思いを寄せるロブロ役ですが、どんな人物として作っていますか?

「(絶望的な状況下でも)ほんのちょっとの希望に懸けている、熱い男です。でも単に強いヒーローというのではなく、みんなのことを守りたいけど、その中でも特にリサを……というのが、人間くさい。そんな感じがどこかで出せたら、と思っています」

――途中、リサに告白するシーンがありますが、あそこはリサ的には唐突かも……?(笑)
『ミュージカルundefinedバイオハザード』ロブロ役の平間さん

『ミュージカル バイオハザード ~ヴォイス・オブ・ガイア~』ロブロ役の平間さん

「ロブロは僕に似て恥ずかしがりといいますか(笑)、熱くて正義感に溢れているけど、どこかネガティブ。こんな俺なんかに彼女は振り向いてくれない、と思っています。でも、いつ死んでしまうか分からない状況で、あそこでは咄嗟に、抱いていた思いを告白してしまうんです。

今回は嫉妬ポイントが物凄く多いんですよ。みんなでどこかに行って帰ってきて、リサが他の奴に“おかえり”と言うと、“僕も頑張ったんだけどな……”と嫉妬してしまう。台詞は無くとも、動きや目線で拗ねています(笑)。高校生が“彼女、俺と喋ってるときよりあいつと喋ってるときのほうが楽しそうだ……”と気付いた時のような切なさですね」

――スリリングな展開の中には、もちろんアクション・シーンも登場予定。アクロバットも出来る平間さんとしては、腕の見せ所ですね。

「演出のG2さんは丁寧に稽古を進める方なので、まだアクション・シーンには差し掛かっていません。今のところは“邪魔だからどいてろ!”と突飛ばされるようなシーンばかりで、アザだらけです(笑)。アクションに関しては、G2さんは僕が動けることをご存じないかもと思って、稽古場でちょこちょこ、動けるんだぞ~とアピールしています。銃を使ったアクションがどういうものになるのか、楽しみですね」

“世界初演”だからこその、贅沢な創作過程

――今回、ご自身の中ではどんなテーマをもって臨んでいらっしゃいますか?
『ミュージカルundefinedバイオハザード』製作発表記者会見にて。(C)Marino Matsushima

『ミュージカル バイオハザード ~ヴォイス・オブ・ガイア~』製作発表記者会見にて。(C)Marino Matsushima

「ここ最近ミュージカルに出演させていただく中で、歌うシーンは“歌”という感じで独立していることが多かったけれど、今回は台詞に音楽が乗っかっているような歌が多くて、台詞からどう自然に歌に持って行こうかというところで、悩んでいます。歌いだすことになっていても、体がついて来ない状況と戦ったり。でも新作のいいところは、そこを稽古でくみ取って下さって、G2さんが“やりにくそうだね”と言ってテンポを変えたり、間をつめたりしてくれる。音楽監督の和田さんも稽古場にいてくれて、すぐ曲に手をいれたり、並びを変えてくださるんですよ。(原曲を)そのまま歌うのがルールになっている海外ミュージカルと違って、そこはとても贅沢だなあと思います。そんな中で自分なりにどう歌へとつなげてゆくのか、完成させることを目標に頑張っています」

――どんな舞台になりそうでしょうか?

「今、(カンパニーの)みんなで話しているのですが、今回の作品って、ストーリーの中で背負っているものが単純じゃない。普通のミュージカルだと、例えば一人の人物が恋をして、そこに関わってくるものが2,3あるという感じだけれど、今回のように“世界を救う”というテーマを持った話になると、一人ずつがものすごく多くのことをいっぺんに背負っていて、お客様に伝えきれないんじゃないか、というくらい情報量が多い。それをどれだけ自分たちで整理して伝えるか。もしそれがちゃんとできたら、物凄く面白い作品になると思っています。

ミュージカルっていいなあと思うのが、軽く観ようと思えば、“おお~歌凄い”“ダンス凄い”と(感覚的に)楽しめるし、僕は意外と考え込むタイプだけど、そういう人が観ても想像を膨らませられる、刺激的な部分がある。今回も、世界ってこういうふうにできているんだなとか、ウイルスに対して(今回、悪者扱いされていて)嫌だなと感じるけれど、でもウイルスが存在したからこそ今の科学の進歩に繋がったわけで、絶滅させようという考え方はおかしいのかなとか、いろいろ考えさせられます。深く見ようと思えばいろいろ想像が膨らんでいく、そんな舞台にしていきたいです」

《公演情報》ミュージカル バイオハザード ~ヴォイス・オブ・ガイア~』16年9月30日~10月12日=赤坂ACTシアター、11月11~16日=梅田芸術劇場メインホール 

*次頁では17年『ロミオ&ジュリエット』について伺います! ボイストレーニングを重ね、歌唱力を高めて勝ち取ったマーキューシオ役、どうとらえているでしょうか?
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