平間壮一 90年北海道生まれ。07年に『FROGS』で初舞台を踏み、『レディ・べス』『オーシャンズ11』『RENT』地球ゴージャス『The Love Bugs』朗読劇『私の頭の中の消しゴム』『ラディアント・ベイビー』など数多くの舞台で活躍している。(C)Marino Matsushima
『レディ・べス』(14年)の吟遊詩人仲間役から『オーシャンズ11』(14年)イェン、『RENT』(15年)エンジェル、そして今年の『The Love Bugs』ブン太に『ラディアント・ベイビー~キース・ヘリングの生涯~』ツェン・クワン・チー……。一昨年ごろからめきめきと頭角を現し、今最も目の離せないホープの一人が、平間壮一さんです。話題作で次々ときらり光る演技を見せていますが、世界的な人気ゲームのオリジナルミュージカル版『バイオハザード』は果たしてどんなものになりそうか、また若手俳優の登竜門ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』にはどんな思いで挑んでいるのか。その半生、今後の抱負まで、たっぷりと伺います!
“密かに恋する戦士”を演じる『ミュージカル バイオハザード ~ヴォイス・オブ・ガイア~』
――現在、平間さんは『バイオハザード』のお稽古中。『バイオハザード』は世界で6800万本も売れているサバイバルゲームで、平間さんは大ファンなのだそうですね。まずはこのゲームがどんなものか、ざっくり教えていただけますか?『ミュージカル バイオハザード ~ヴォイス・オブ・ガイア~』
――今回のオリジナル・ストーリーでは、記憶喪失のヒロイン、リサ(柚希礼音さん)が仲間たちと世界を救うべく立ち上がる。平間さんはその仲間の一人で、リサに思いを寄せるロブロ役ですが、どんな人物として作っていますか?
「(絶望的な状況下でも)ほんのちょっとの希望に懸けている、熱い男です。でも単に強いヒーローというのではなく、みんなのことを守りたいけど、その中でも特にリサを……というのが、人間くさい。そんな感じがどこかで出せたら、と思っています」
――途中、リサに告白するシーンがありますが、あそこはリサ的には唐突かも……?(笑)
『ミュージカル バイオハザード ~ヴォイス・オブ・ガイア~』ロブロ役の平間さん
今回は嫉妬ポイントが物凄く多いんですよ。みんなでどこかに行って帰ってきて、リサが他の奴に“おかえり”と言うと、“僕も頑張ったんだけどな……”と嫉妬してしまう。台詞は無くとも、動きや目線で拗ねています(笑)。高校生が“彼女、俺と喋ってるときよりあいつと喋ってるときのほうが楽しそうだ……”と気付いた時のような切なさですね」
――スリリングな展開の中には、もちろんアクション・シーンも登場予定。アクロバットも出来る平間さんとしては、腕の見せ所ですね。
「演出のG2さんは丁寧に稽古を進める方なので、まだアクション・シーンには差し掛かっていません。今のところは“邪魔だからどいてろ!”と突飛ばされるようなシーンばかりで、アザだらけです(笑)。アクションに関しては、G2さんは僕が動けることをご存じないかもと思って、稽古場でちょこちょこ、動けるんだぞ~とアピールしています。銃を使ったアクションがどういうものになるのか、楽しみですね」
“世界初演”だからこその、贅沢な創作過程
――今回、ご自身の中ではどんなテーマをもって臨んでいらっしゃいますか?『ミュージカル バイオハザード ~ヴォイス・オブ・ガイア~』製作発表記者会見にて。(C)Marino Matsushima
――どんな舞台になりそうでしょうか?
「今、(カンパニーの)みんなで話しているのですが、今回の作品って、ストーリーの中で背負っているものが単純じゃない。普通のミュージカルだと、例えば一人の人物が恋をして、そこに関わってくるものが2,3あるという感じだけれど、今回のように“世界を救う”というテーマを持った話になると、一人ずつがものすごく多くのことをいっぺんに背負っていて、お客様に伝えきれないんじゃないか、というくらい情報量が多い。それをどれだけ自分たちで整理して伝えるか。もしそれがちゃんとできたら、物凄く面白い作品になると思っています。
ミュージカルっていいなあと思うのが、軽く観ようと思えば、“おお~歌凄い”“ダンス凄い”と(感覚的に)楽しめるし、僕は意外と考え込むタイプだけど、そういう人が観ても想像を膨らませられる、刺激的な部分がある。今回も、世界ってこういうふうにできているんだなとか、ウイルスに対して(今回、悪者扱いされていて)嫌だなと感じるけれど、でもウイルスが存在したからこそ今の科学の進歩に繋がったわけで、絶滅させようという考え方はおかしいのかなとか、いろいろ考えさせられます。深く見ようと思えばいろいろ想像が膨らんでいく、そんな舞台にしていきたいです」
《公演情報》『ミュージカル バイオハザード ~ヴォイス・オブ・ガイア~』16年9月30日~10月12日=赤坂ACTシアター、11月11~16日=梅田芸術劇場メインホール
*次頁では17年『ロミオ&ジュリエット』について伺います! ボイストレーニングを重ね、歌唱力を高めて勝ち取ったマーキューシオ役、どうとらえているでしょうか?