ヒゲが生える部分にニキビができたら、ストレスが原因かも?
「中高生の時はニキビで悩んだことがないのに、大人になってから急にニキビで悩まされるようになっているとしたら……それはストレスが原因かもしれません」と、美容皮膚科医の高須英津子先生は言います。大人ニキビの多くは、ホルモンバランスの影響によってできます。女性が生理前になるとニキビができやすくなるのは、皮脂分泌を活発にする働きがある黄体ホルモン(女性ホルモンのひとつ)の影響によるものです。そして男性ホルモンにも皮脂分泌を活発にする働きがあるのですが、これはストレスを受けることで増えるといわれています。
そのため、男性のヒゲが生える部分にニキビができるとしたら、ストレスの影響が考えられます。
自分はストレスを感じていなくても、脳がストレスを感じると、胃潰瘍などほかの病気からからだを守るためにホルモン(副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン)が分泌され、これにより副腎皮質ホルモンである、グルココルチコイド、ミネラルコルチコイド、副腎アンドロゲン(性ホルモン)を分泌します。
この場合の性ホルモンはおもに男性ホルモンで、これが皮脂腺にとっては皮脂を多く出すシグナルとなり、皮脂量が増加。すると酸化した皮脂が毛穴にたまりやすくなり、肌のターンオーバーが乱れて毛穴がふさがれ、ニキビができやすくなってしまうのです。
100%以上の頑張りを続けていると、ニキビは治りにくくなる
大人ニキビを見つけたら、最近ストレスを受けることがあったかどうか、振り返ってみましょう。新学期が始まったり、仕事が変わったり、失恋したり……ストレスの原因が一過性のことであれば、ニキビも早く落ち着くかもしれませんが、たまっていくストレスになるとニキビもなかなか治りにくくなってしまいます。「とくに、がんばり過ぎてしまう人や、完璧主義の人、思いつめてしまうタイプの人は、ストレスがたまりやすく、ニキビが治りにくいようです。そういう患者さんには、ほどほどで良いと思う心も大事ですよと、アドバイスしています。
自分では100%がんばっていると思っていても実は120%がんばっていて、心身へのストレスの許容範囲をオーバーしているように思えるからです。日々のことをがんばり過ぎないことが大事で、手を抜けることは上手に手を抜いて、60%から80%のがんばりでいいと思わないとニキビも治りにくくなってしまうのです」。
大人ニキビには、塗り薬や漢方薬が効果的
このように、ホルモンバランスの影響によりできる大人ニキビは、一度できるとパーっと広がりやすく、治りにくい傾向にあり、痕を残してしまう可能性もあるそうです。そこで、一度、薬を利用して、ニキビの発生を抑えることが大事となってくるのです。「ニキビのための薬も進化しているので、上手に使うと塗り薬だけで治ることもあります。また、ホルモンバランスを整える作用のある漢方薬を飲むだけでニキビが落ち着いてくることもあります。早めに皮膚科で相談することをおすすめします」。
ニキビを隠すためのメイクはOK。ただし、帰宅後はすぐにOFF
ニキビのある時のエイクは悩ましい
「私もニキビで悩んでいたので、赤いニキビのまま人と会うのが本当に嫌だということはとてもよくわかります。かえってそれがストレスになってニキビが悪化するようにも思えますので、外出するときはニキビの上に軽くファンデーションやコンシーラーを塗ってカバーしてもいいでしょう」と高須先生。「ただし、以下のことを守るようにしましょう」。
- 家に帰ったらすぐにメイクを落とす
- 外出しないときはメイクをしない
- 家の中では顔に髪がかからないようにまとめたり、ピンで止めたりしておく
- 処方してもらった薬を塗ったり飲んだりするのを忘れない
- 肌のうるおいが足りないと皮脂が増えてニキビができやすくなるため、保湿はしっかりする
ポツンとできたニキビは、自分の心身の状態を知るきっかけにもなります。ストレスがニキビの原因になっていると思ったら、リラックスできる方法を考えたり、たまには家事の手抜きをしたり、心身の健康を第一に過ごしてみましょう。また、生理周期がバラバラなことがニキビの原因かもしれないと思ったら、一度婦人科を受診してみることをおすすめします。
※記事監修/高須英津子
高須英津子先生