1.「外界に慣れやすいタイプ」への対応法
子供の個性に合わせた対応を心がけることで、親子間の葛藤も和らぎます。
また「手のかからない子」についてひとつ気をつけたいのは、その子が、養育者の意向や気持ちを敏感に感じ取り、自分の欲求や感情を引っ込めることで、扱いやすい「いい子」を演じてはいないか? ということです。「どんな気持ち?」「どう思う?」など、たびたび声をかけるようにし、その子自らが表現したり、自主的に選択できる機会を与えてやりましょう。
「2.外界にゆっくりと慣れるタイプ」への対応法
さっと行動に移せないのも、すぐに話し出せないのも、周り大多数が気がつかない細部までも、強烈に感じ取る「感受性の豊かさ」を持っているためです。一見、「静か」に見えるかもしれませんが、様々な感覚や情報の溢れる「活発な内面世界」を持っているものです。将来、芸術関係や研究分野の道に進むかもしれませんね。対応法の鍵は、できる範囲で、その子が自身のペースで環境に順応するのを許してやることです。周りが無理強いし、早く行動するようプレッシャーをかけ過ぎるならば、内面へと引きこもりがちな性質に拍車をかけることもあります。
とはいえ、「嫌がるから」と新しい物事を試す機会を取り除くのではなく、慣れない状況でも、少しずつ前へと踏み出す姿勢を励ましてやりましょう。例えば、新しい食べ物を受けつけない場合でも、その後一切食卓にその食材をのせないようにするのではなく、何度か食事に加え、徐々に慣れるようにしていきます。
「3.外界に慣れにくいタイプ」への対応法
「こうと決めたらこう!」という「意志の強さ」が長所です。大声で泣きわめいての癇癪といった強烈な反応に、親もつられて感情を爆発させてしまったり、何度「だめ!」といい聞かせても「やり抜く力」が強いため、こちらも「怒りのボタン」を押されっぱなしということもあるでしょう。将来、周りに迎合することのない頼もしいリーダーになるかもしれませんね。対応の鍵は、まずは一貫した態度を取ること。「~したい/ したくない」といった意志を強く持っていますから、時と場合によってこちらの意向がコロコロと変わるようならば、「どうせこれもあれもいいんだろう」と、境界をどんどんとこえてきます。また罰を用いても、より重い罰へとエスカレートせざる得なくなっていきますから、罰を与える状況にならないよう、「予防」に力を注ぎましょう。細かなルールを決め「できないこと」を咎め続けるよりも、「他者や自分に危険なことはしない」など、最低限守るべきルールを明確に設定し、「できていること」をこまめに認めてやり、温もりのある良好な関係を築くことが、最も効果的な「予防」です。
また「やり抜く力」が強く、取り組むことを邪魔されるのを好みませんから、指図を受けたらすぐに次の行動へ移るようなことを期待せず、「あと何分残っているか」を、前もって何度か知らせてやるなど工夫していきましょう。
最後に、親自身の個性タイプを理解することの大切さも覚えておきたいです。例えば、ママが新しいことにもどんどん挑戦したいタイプで、子供さんが慣れるのに少し時間がかかるタイプの場合も、「私はどんどん先へいきたいタイプだけれど、この子はちょっと違うのよね」と気づき、その子に合ったより適切な対応ができるようになるでしょう。子供、そして親自身の個性を理解することで、親子間の葛藤を減らし、子供を健やかに伸ばしてやりたいですね。
参考資料:
‘The Origin of Personality’ by Alexander Thomas, Stella Chess and Herbert G. Birch Scientific American, pp 102-109, 1970