足がすくむような高さの絶景スポット!

垂直に切り立った岩壁のてっぺんから、動物の鼻のように突きだした岩。足元を見下ろせば、足がすくむような高さ。
垂直に切り立った岩壁のてっぺんから突きだした展望台は、足がすくむような高さ!

垂直に切り立った岩壁のてっぺんから突きだした展望台は、足がすくむような高さ!

この場所は、千葉県鋸南(きょなん)町の「鋸山(のこぎりやま)」にある、通称「地獄のぞき」と呼ばれる絶景スポット。

「地獄のぞき」を含む鋸山の広大な山域が、日本寺という寺院の境内になっており、「地獄のぞき」のほか、奈良の大仏のおよそ1.7倍の高さの「日本寺大仏」など、様々な見所があります。今回の日帰り旅行は、この鋸山を歩いてみましょう。

鋸山には複数の登山ルートあり

鋸山には、JR内房線の浜金谷駅から歩いて登るルート、ロープウェーで登るルート、JR内房線の保田駅から歩いて登るルートがありますが、保田駅からの登山道が日本寺の「表参道」になります。
JR内房線の保田駅。東京駅から保田駅までは約2時間だが、保田駅に停車する普通列車は1時間に1本。土曜・休日は新宿発の特急「さざなみ」も利用可能

JR内房線の保田駅。東京駅から保田駅までは約2時間だが、保田駅に停車する普通列車は1時間に1本。土曜・休日は新宿発の特急「さざなみ」も利用可能


今回は保田駅から「表参道」を歩いて山頂を目指し、帰りはロープウェーで下るルートを選択しましたが、この道は、かなりの段数の石段を登らなければならず、少々キツいかもしれません。

もし、体力に自信がないなら、今回ご紹介するルートとは逆に、行きはロープウェーを使い、帰りに「表参道」を下るルートを選択されると良いでしょう。
鋸山への道は、道標が多いので迷うことはない

鋸山への道は、道標が多いので迷うことはない

それでは出発しましょう。「保田」駅から鋸山の登山口までは、およそ1.5kmほどの道のり。田んぼのあぜ道を歩いていると、前方に目指す鋸山が見えます。
山頂付近の切り立ったギザギザの岩肌が「ノコギリ」の刃のように見える

山頂付近の切り立ったギザギザの岩肌が「ノコギリ」の刃のように見える

山頂付近の切り立ったギザギザの岩肌が「ノコギリ」の刃のように見えますが、これが「鋸山」という名前の由来だそうです。

しばらく歩くと、道の両脇に、2本の石柱が立っている場所があり、ここからが日本寺の正式な参道のよう。
2本の石柱(無字門)

2本の石柱(無字門)

緑深い山道を、途中、「蝸牛(カタツムリ)石」と名付けられた巨岩や、弘法大師が掘ったと伝わる「弘法の井」などを見ながら歩いて行くと、やがて朱色の仁王門が見えてきます。
朱色の仁王門の内部には、慈覚大師昨とされる仁王像が安置されている

朱色の仁王門の内部には、慈覚大師昨とされる仁王像が安置されている

仁王門の先で拝観料を納め、いよいよ日本寺境内へと入っていきます。

奈良大仏の1.7倍!巨大な「日本寺大仏」

日本寺は、正式名を「乾坤山(けんこんざん)日本寺」といい、奈良時代の西暦724年に聖武天皇の勅詔によって開創されたという、かなり古い歴史を持つ寺院。

古くは、鎌倉幕府を開いた源頼朝が戦勝祈願に訪れ、江戸時代には俳人の小林一茶や狂歌師の太田蜀山人、近代になってからは夏目漱石や正岡子規など、数多くの著名人も訪れたそうです。

しかし、昭和14年に登山者の失火による山火事で堂宇のほとんどが焼けてしまいます。その後、太平洋戦争が勃発すると、軍によって山内が要塞化されたため、なかなか復興が進まず、近年になってようやくお堂の再建がはじまりました。
平成19年に再建された「薬師堂 医王殿」。昭和14年の焼失前には、源頼朝による医王殿の扁額が掲げられていたそうだ

平成19年に再建された「薬師堂 医王殿」。昭和14年の焼失前には、源頼朝による医王殿の扁額が掲げられていたそうだ

さて、表参道ルートの最初の見所は、木更津の名工・大野甚五郎英令(ひでのり)と、その門弟27名により、3年の歳月をかけて彫られ、江戸時代の天明3(1783)年に完成したという「日本寺大仏」。岩肌に彫られた磨崖仏(まがいぶつ)で、総高31.5mもあります。
岩肌に刻まれた「日本寺大仏」。正しくは、薬師瑠璃光如来という。人と比べると、その大きさが分かるだろう

岩肌に刻まれた「日本寺大仏」。正しくは、薬師瑠璃光如来という。人と比べると、その大きさが分かるだろう

31.5mという数字だけだとピンとこないかもしれませんが、奈良東大寺の大仏が総高約18mですから、そのおよそ1.7倍。目の前に立つと、大きさに驚きます。

もちろん、牛久大仏(総高120m 1992年完成)など、もっと大きな仏像はありますが、歴史あるものとしては、「日本寺大仏」は国内最大と言って良いでしょう。

この大仏様、江戸時代末期に風化によって頭部の半分が崩れ落ちるなど著しい崩壊があり、その後も長い年月そのままにされていたそうです。しかしその後、昭和40年から44年にかけて復元工事が行われ、現在のお姿になりました。

おびただしい数の羅漢像

日本寺境内の見所のひとつが、山の中腹から頂上付近にかけてのいくつかの岩窟にまつられている、「千五百羅漢(らかん)」と呼ばれる石仏群。
千五百羅漢

千五百羅漢

これらの像も、大仏を彫った大野甚五郎と門弟27名が21年間にわたって彫り、その数は1,553体にものぼるそうです。表情や身にまとっている衣など、一体として同じものがなく、見て歩くだけで楽しくなってきます。

中でも、メインルートから外れるため、訪れる人はそれほど多くないかもしれませんが、いくつかの石門をくぐった先にある、奥の院「無漏窟」は、ぜひ訪れて欲しい場所。
奥の院「無漏窟」。足利尊氏も参籠したという

奥の院「無漏窟」。足利尊氏も参籠したという

ここにまつられた仏様の姿は特に神々しく、まるで"浄土"に導かれたようで、この後に訪れる"地獄"のぞきとの対比の妙を感じました。

いよいよ、「地獄のぞき」へ

さて、いよいよやって来た「地獄のぞき」。ここは、もう言葉による説明は不要かと思います。
この高さに、足がすくむ!

この高さに、足がすくむ!


「地獄のぞき」の展望台は、垂直に切り立った崖の上から空中に突き出した岩の上にある

「地獄のぞき」の展望台は、垂直に切り立った崖の上から空中に突き出した岩の上にある


展望台からは海も一望できる。怖いけど、素晴らしい絶景スポットなのだ

展望台からは海も一望できる。怖いけど、素晴らしい絶景スポットなのだ

この空中に突きだした展望台の先端は狭いので、一度に数人しか入ることができず、時間帯によっては行列ができます。少し時間に余裕を見ておいたほうがいいでしょう。

石切場跡に彫られた「百尺観音」

さて、今回歩くルートの最後の見所が、地獄のぞきから少し下りた場所にまつられた「百尺観音」という磨崖仏。6年の歳月をかけて昭和41年に完成した巨大な観音像です。
「百尺観音」は、採石場跡のやや奥まった場所に彫られており、周囲の様子は、まるで古代神殿のよう

「百尺観音」は、採石場跡のやや奥まった場所に彫られており、周囲の様子は、まるで古代神殿のよう

この付近の岩壁には水平方向のラインが刻まれていますが、これは、かつてこの場所が「房州石」という、建築に使った石材の採石場跡地で、石材を切り出すときについた跡です。

「百尺観音」から「鋸山ロープウェー」の鋸山山頂駅までは、徒歩10分弱。ここにも展望台が整備されており、晴れていれば、遠く伊豆諸島の大島、利島、新島あたりまで見渡すことができます。
山頂駅の展望台付近に「鋸山山頂(標高329m)」と書かれた標識が設置されていて紛らわしいが、鋸山の山頂(一等三角点)は別の場所にある

山頂駅の展望台付近に「鋸山山頂(標高329m)」と書かれた標識が設置されていて紛らわしいが、鋸山の山頂(一等三角点)は別の場所にある

山頂駅構内には、食堂もあり、地元名産のびわのピューレの入った「びわカレー(820円)」なども味わうことができます。
びわカレー(820円)

びわカレー(820円)

ロープウェーで、山頂駅から山麓駅までの所要時間は4分、山麓駅からJR浜金谷駅までは徒歩8分です。金谷からは神奈川県横須賀市の久里浜まで「東京湾フェリー(カーフェリー)」(金谷~久里浜 所要時間約40分)も就航しています。

<DATA>
■日本寺
住所:千葉県安房郡鋸南町鋸山
TEL:0470-55-1103
拝観時間:8:00~17:00
拝観料:大人600円、小人400円(4~12歳)
アクセス・地図 → 日本寺ホームページ
無料駐車場あり

千葉の絶景スポット「地獄のぞき」いかがだったでしょうか。ハイキングコースとしても歩き応えがありますが、ロープウェーを上手に使うなどすれば、ファミリーでも楽に登ることができ、おすすめです。

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