建築基準法にはさまざまな規定が設けられ、その接道義務(敷地が建築基準法上の道路に2m以上接すること)を満たさないために、建築確認を受けることのできない土地も数多くあります。不動産の広告などでは、「再建築不可」あるいは「不適合接道」などと書かれています。

このような土地だと建物を建てることが認められず、金融機関の融資も受けられないために、通常の価格では売買できません。現実には住宅が建っているケースも多いのですが、都心部でも数百万円程度(相場の2~3割程度)で売り出されている場合があるでしょう。

ところが、そのような土地を「柱1本残して建て替えれば大丈夫だから」と消費者に説明をして高く売った不動産業者の事例があるほか、実際にそれが正しいのだと信じ込んでいる不動産業者の話を聞いたこともあるので困ったものです。

いうまでもなく、都市計画区域(および指定された区域)内では、原則としてすべての建物の建築・増築・改築・移転、さらには大規模な修繕・模様替えの際に建築確認が必要です。

「柱1本残しておけば改築扱いになるからいいんだ」などと言う人もいるようですが、改築なら建築確認がいらないなどという規定はありません。

例外的に、防火地域でも準防火地域でもなく、かつ延10平方メートル以下の増築・改築・移転の場合に建築確認は免除されていますが、新築のときは10平方メートル以下でも建築確認を受けることが欠かせないのです。

また、「既存不適格建築物」(建てられた時点では合法だったもの)については一定の緩和措置などもありますが、接道義務を満たさずに建てられているものの多くは「既存不適格建築物」ではなく「違反建築物」でしょう。

さらに、2階建て以下の木造住宅など(四号建築物)における大規模な修繕・模様替えの場合も建築確認は免除されますが、施工後の建物を建築基準法の規定に適合させなければなりません。つまり、接道義務を満たした敷地であることが前提です。

その一方で、壊れたところを直す程度の修理や修繕なら「再建築不可」の敷地でも問題なく施工できます。しかし、単なる修理・修繕なのか、それを超えたリフォームなのか、明確に線引きをすることは困難でしょう。

「柱1本残して……」がいつから言われるようになったのかは分かりませんが、不正が発覚したときに「いや、ちょっと直しているだけだ。その証拠にちゃんと柱も残っているだろう!」と強引に役所を丸め込むための言い逃れ手段(裏技?)だったのではないかと考えられます。

もし、それが正当な方法であるなら、わざわざ「柱1本残して」のような言い回しをする必要もなかったでしょう。

その手段がいつの間にか一人歩きして「柱1本残しておけば、建て替えでも何でも大丈夫」のように拡大解釈されていったのでしょうが、あくまでも「再建築不可」の土地は「再建築不可」でしかありません。

敷地条件のほうで対処法をみつけられるケースもありますが、一般の消費者があまり買うべき物件ではないでしょう。このような物件の購入を検討するのであれば、しっかりとその「出口」を考えておくことも大切です。


>> 平野雅之の不動産ミニコラム INDEX

(この記事は2007年7月公開の「不動産百考 vol.13」をもとに再構成したものです)


関連記事

建築確認とは?
道路の種類と接道義務を正しく理解しよう
建築確認が受けられない土地!契約解除できる?

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。