『海街diary』のロケ地を訪ねて
吉田秋生原作のコミックを是枝裕和監督が映画化し、2015年の話題作になった『海街diary』。公開から一年以上が経ちますが、そこに描かれている世界観に"憧れ"を持ち、外国からもロケ地の"巡礼"に訪れる人が、次第に増えているそうです。
取材に同行したAll About編集部のM恵さんにモデルになってもらいました。まずは、鎌倉駅から江ノ電に乗って、長谷に向かいます。
また、ロケが行われたお店では、ロケの裏話もきけたので、あわせて紹介します。
印象的な海辺のカフェは、人気店「麻心」
鎌倉駅から江ノ電で3駅の長谷駅は、大仏や長谷寺観光の玄関口。改札を出たら、踏切を渡って左へ、大仏とは反対方向へ歩いて行きます。100mほど先の信号を左に曲がると、由比ヶ浜の海はすぐそこ。映画の主人公のすずちゃんと同じく、東北の内陸部出身というM恵さん、海を見るとワクワクするといい、ちょっとはしゃぎ気味。
由比ヶ浜の海岸では、きれいな貝殻が見つかりました
由比ヶ浜を目の前にした国道沿いにあるのが、鎌倉の人気カフェ『麻心(まごころ)』。鎌倉というと海辺のカフェがたくさんあるような気がしますが、由比ヶ浜を一望できるのは『麻心』だけ。
『麻心』でロケが行われたのは、長澤まさみ演じる次女の"佳乃"と、佳乃の彼氏がカフェでデートしているシーン。日暮れ後の海が目の前に広がるカフェ、印象的でしたね。
映画の撮影にも使われた窓際の席からは、由比ヶ浜を一望できる
オーナーのSHINJIさんに、撮影時のエピソードなどを聞いてみました。
「映画でうちの店が写っているのは1分弱ですが、事前にスタッフの方が何度も打合せに来られ、近所にも挨拶をされ、とても丁寧に対応されていました。
撮影当日は、スタッフ60人、クルマ18台で来られ、撮影終了までおよそ10時間かかりました。映画を撮るのって大変なんだな、と思いましたね。
ちなみに、ライスコロッケを運んでくるウェイター役を演じてるのはうちの娘なんですよ。エキストラの中で唯一、セリフがある役なんです」
映画が公開されたら、お客さんが押し寄せて大変なことになるだろうなと、SHINJIさんは期待と不安が入り交じった気持ちで封切りを待ったそうですが、公開当初の反響は、実はそれほどでもなかったそうです。
『麻心』オーナーのSHINJIさん(右)
しかし、公開からしばらくすると、次第に台湾をはじめ、アジア諸国の人たちが、"ロケ地巡礼"で訪れるようになりました。
「彼らと話をすると、映画に描かれている平和で、いい意味でユルい感じが、日本にしかない世界観で、彼らからすると一種の"憧れ"なのだそうです。
また、最近は、アジアの人たちも個人旅行を楽しむ人が増え、自分の行きたい場所にダイレクトに行けるようになったのも、うちのような観光バスが停まれない店に、多くの外国人が来るようになった理由かもしれません」と話されました。
ちなみに、同店は、店名にもなっている植物「麻(ヘンプ)」のアンテナショップ。食事やスイーツは、麻の実を使ったいわゆる「ヘンプフード」を中心に提供するほか、麻製の衣類や雑貨などを販売しています。
Magokoroプレート(日替わり)は、麻の実食品と旬の野菜、自家製発酵食品をふんだんに使った体に優しいプレート。M恵さんの感想は、「食欲そそるヘンプオイルを使ったナムルが特に好きでした。ごはんがすすみます」
SHINJIさんは、「古来から日本人と麻との関わりは深く、食用や衣類としての用途はもとより、神社の"しめ縄"や横綱が土俵入りで使う"化粧まわし"などにも使われる神聖な植物。
今後は、自動車のクリーンエネルギーやプラスチックの原料などとしても期待されています。便利で健康にもいいだけでなく、地球に優しい麻をどんどん広めていきたいです」とのことでした。
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■麻心
住所:鎌倉市長谷2丁目8-11
TEL:0467-38-7355
営業時間: 11:00~21:00 2016年7月8月は、8:00~モーニングも実施
定休日: 月曜日(月曜日が祭日の場合は翌日)
地図 → 麻心ホームページ