蒼という漢字には悪い意味がある?
蒼は名前に向く字である
A: 「蒼」の字は草と倉を合わせ、倉庫に保管された植物(おそらく染料の素材)のあおい色を意味する字です。ちなみに作られた染料のあおい色が「青」です。どちらも本来は空のあおさをあらわす字ではありませんが、悪い意味はありませんので、名付けに使って問題ありません。蒼はとくに最近人気の字です。
噂は具体性があるかどうかで判断すればよい
名づけのサイトに「この漢字は悪い意味がある」と書かれている場合、もし読んでしまうと心配になるかもしれません。しかし、世間に流れる噂というのは、具体性があるかないかで判断するとよいでしょう。世間ではただ「良い」「いけない」という言葉だけが一人歩きをしていることもよくあり、そうした雲をつかむような話はまったく気にとめる必要はありません。蒼が良くない字だというのは、具体的にどんな理由が書いてありましたか? その理由にご自分は本当に納得できたのですか? そのように具体的に考えて判断することが重要です。
色を表す字は名前に向く字が多い
一般に色を表す字というのは、わずかの例外はあるものの、名前に向く字が多いです。蒼(草の色)・朱(切株の色)・青(草の色)・紅(糸の赤い色)・茜(植物の染料の赤)・緑(植物のみどり色)・翠(服の青い色)・碧(大理石の青い色)・藍(植物の深い青色)・紫(雑多に束ねた糸の色)・白(鍾乳洞の石灰の色)・皓(夜明けの白い空)などたくさんの字があります。
ただし紅、翠、白などの字の成り立ちについてはほとんど知られておらず、解説をさがすということはできません。
また特定の色を表す字ではありませんが、色彩や模様に関係する字として、文(模様)・絵(ししゅう)・紋(繊維の模様)・綾(厚いししゅう)・彩(色とりどり)という字も名前によく使われます。
ちなみに黄、縞(白い布)、橙(だいだい)の字も、色を表す字ではありますが、実際に名前に使われることはあまりありません。非常に珍しい名として萌黄(もえぎ)、橙吾(とうご)などの名前があるくらいです。
「黎」という字は、黒の意味をもつ字ですが、これも名前にはほとんど使われません。口頭で説明しにくい難しい字で、もし使えば社会生活ではかなり不便でしょう。また昔から名前によく使われる「広」の字は、旧字の「廣」が黄の字を含んではいますが、この字自体は色彩とは関係のない字です。
【関連記事】