貯蓄できない家計、協力しない夫、自分でも嫌になります
子どもが進学なのに貯金ができない
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■相談者
yocさん(仮名)
女性/パート/40歳
神奈川県/持ち家・マンション
■家族構成
夫 (会社員/40代後半)、子ども(高校3年/17歳)
■相談内容
毎月の赤字をなんとかしたいです。ボーナスは住宅ローンと固定資産税に消えてしまいます。5年後に借金の返済(カードローン/月5万円)が終わるのでクルマを購入したい。また、40歳になったので医療保険にも入りたいです。主人は借金があるにもかかわらず自分の小遣いをたくさんほしがります。タバコ代も家計を圧迫している。人の言うことを聞かないから、こちらが節約するしかありません。家計を見ると自分でも嫌になりますが、どう対処すべきかもわからず、とりあえず私の収入を増やすことを検討しているという状況です。
■家計収支データ
■家計収支データ補足
(1)ボーナスの使いみち
住宅ローンのボーナス払い分(28万円)以外に、固定資産税、市県民税(妻の分)、お中元に消えてしまい、生活費の赤字補てんに使えるのはわずか。
(2)加入保険の内訳
・夫/生命保険(死亡保障500万円、入院7000円、54歳で更新)=保険料7000円
(3)住宅ローンの内容について
借入額3320万円、頭金0円、ローン残高2509万円、平成18年3月から35年返済、金利1.175%
(4)カードローンについて
借入総額500万円、ローン残高223万円、返済期間15年、金利7.1%
(※)複数あった夫の借金を、 マンション購入時に不動産屋の勧めで1本にまとめた。
(5)車両費について
車は所有しておらず、義母の通院 や買い物などどうしても必要な時に月に2~3回カーシェアリングを利用している。
(6)通信費の内訳
ソフトバンク(3人分)1万7000円、ドコモ(夫)4000円/来年1月まで、インターネット7000円
(7)雑費の内訳
日用品1万2000円、交通費5000円、外食費1万円、理容代、衣類、医療費等に2万円、その他
(8)親からの援助
子どもがもし大学に進学するとしたら(まだ未定)奨学金を借りる予定。その際、妻の実家からも援助を頼むつもりだが、夫の借金払いの援助はさせたくないとのこと。
■FP深野康彦からの3つのアドバイス
アドバイス1 思い切った家計改善がすぐにでも必要
アドバイス2 カードローン完済後も引き続き、節約の意識を
アドバイス3 奨学金に頼らず、教育費はできるだけ用意したい
アドバイス1 思い切った家計改善がすぐにでも必要
データを拝見する限り、毎月5万円超の赤字ということになります。現在、貯蓄がゼロということですから、その補てんはどうされているのか。ボーナスを手元に残し、そこから支払いをしたり、ボーナス時期が近い場合はカード払いで何とかやりくりしている、といった感じでしょうか。また、毎月5万円のカードローンの返済ですが、支出データのどこに含まれているかが不明でした。あるいは、ご主人の給与から天引きされているのか。もっともきびしいのは、この家計支出以外にローンの支払いがある場合ですが(そうなると、毎月の赤字は10万円超となります)、何であれ、今はできる限り支出を抑えるべきです。
では、どこをどれだけ削れるでしょうか。具体的には趣味娯楽費と通信費、家族の小遣い、雑費をそれぞれ半減。食費は1万5000円、水道光熱費と通信費は合わせて1万5000円の支出を落とす。これで計10万8500円の削減となります。
もちろん、これを実行するのは大変です。無理と思うかもしれません。しかし、このくらい削減していく気持ちがなければ、今の状況を脱するのは難しいと考えてください。それは同時に、そのくらい家計がひっ迫しているということです。
データどおり、月5万円の赤字なら、この節約によって月5万円貯蓄ができます。それで年間60万円。さらにボーナスから40万円上乗せできれば、年間100万円の貯蓄に手が届きます。本来なら、急な節約はその反動もあるため、徐々にペースを高めていくことをススメますが、今回のケースではその余裕はあまりありません。早急にかつまとまった額の節約効果が、今の家計には必要なのです。
合わせて、奥様の収入アップが可能なら、貯蓄効果は倍増します。カードローンを早めに完済するといった選択肢もできるかもしれません。ぜひトライしてほしいと思います。
アドバイス2 カードローン完済後も引き続き、節約の意識を
家計が苦しい要因として、確かに予期せぬカードローンがあったことは事実です。金利から考えて、おそらく総返済額は800万円超となるはずです。奥様が頭を抱えてしまう気持ちも、これまでの苦労も十分理解できます。しかし、それを完済した途端、家計がすぐに改善されるかと言えば、それは少し違う気がします。家計がひっ迫している状態でありながら、現在の支出内容にはかなり改善の余地があります。趣味娯楽費と家族の小遣い、雑費で計15万7000円にもなるのです。これまで、贅沢とはまでは言いませんが、貯蓄がないのは、収入に対してそれなりに支出もしてきたということです。高い節約意識を持ち続けなければ、ローン完済後にまた貯蓄できない家計に戻ってしまう恐れがあります。
したがって「ローンが終わる5年後にクルマを購入したい」と言われていますが、それだけの支出をしても本当に必要かどうか、じっくり考えるべきです。多少の不便はあるにせよ、せっかくカーシェアリングを活用しているのですから、継続していくことはできないでしょうか。
また、ボーナスもまとまった額を手にしているので、できるだけ貯蓄に回したい。毎月が黒字になれば貯蓄率も高まるはず。
加えて、ボーナスの使いみちにある「お中元」ですが、少なくとも今の状況では贈り物をしている場合ではないとも言えます。どうしても挨拶が必要なら、手紙だけにしてはどうでしょう。肩身の狭い思いをするかもしれませんが、そこを割り切らなければ思い切った節約はできません。
しかも、こういった節約には家族の協力が不可欠です。せっかくの奥様の頑張りも、それがなければ空回りになりかねません。しかし、ご主人にその認識がないとのこと。最終的には、奥様が強い気持ちで接するしかないと思います。小遣いを欲しがっても出せないものは出せないと、はっきり言うべきです。結果、またご主人がカードローンを利用してしまっては元も子もありませんが、奥様の気持ちを根気よく伝えるしか方法はないでしょう。
アドバイス3 奨学金に頼らず、教育費はできるだけ用意したい
教育費ですが、お子さんが大学進学を希望した場合「奨学金を借りるつもりです」とあります。しかし、できればそれは避けてほしいと思います。この経済状況で、300万円、400万円と負債を背負ったまま社会に出ることは、やはり相当な重荷です。とは言え、大学進学まで、あと半年しかありません。もし、奥様のご実家から援助を受けられるなら、それで入学金と初年度の学費はまかなってもらえればと思います。その間、節約をして少しでも教育費に回す。奨学金を利用するにしても、かかる学費の一部にとどめておくことが大切です。
また、住宅ローンについては、完済がご主人71歳のとき。頭金なしで購入し、それでも毎月の返済額が高くないのは低金利の恩恵です。しかし、それは同時に借入額の増大を生み、返済額をより抑えるために、完済時期が70歳前後になろうとも、最長の35年返済を選択してしまう。低金利は一方で、こういう弊害も生んでいるということです。
ともあれ、老後に備えるためにも、住宅ローンの完済時期は少しでも縮めたいところです。現実的なのは、やはり繰上返済となりますが、その原資がありません。継続的に貯蓄をし、その原資を作るしか方法はないのです。
ちなみに、ご主人が60歳のときに300万円を繰上返済すると、返済期間はおよそ3年短縮でき、支払利息は約35万円軽減できます(金利が今と変わらない場合)。さらに退職金の一部を上乗せできれば、より期間は短縮できます。そのためにも、貯蓄の継続が必須と言えるでしょう。
最後に奥様の医療保険ですが、家計の節約に着手できれば、すぐにでも加入されたほうがいいでしょう。入院5000円、終身保障終身払いの掛け捨てタイプがいいと思います。特約も付けなければ、月2000円程度の保険料で済むはずです。
教えてくれたのは……
深野 康彦さん
取材・文/清水京武 イラスト/モリナガ・ヨウ
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