10年後には社宅を出なくてはなりません……

買い物好きの夫を更正させ貯金を増やすには?

買い物好きの夫を更正させ貯金を増やすには?

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、債務整理中の夫を不安に思うに30代の主婦の方。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。
※マネープランクリニックに相談したい方はコチラのリンクからご応募ください。(相談は無料になります)

■相談者
びゅうさん(仮名)
女性/専業主婦/33歳
埼玉県/賃貸住宅

■家族構成
夫(会社員/42歳)、子ども2人(1歳、0歳) 

■相談内容
3年前結婚した夫は浪費家、買い物好きで、借金が700万円に膨れ上がっていました。それ以前に、夫は自分の実家に借金1000万円を肩代わりしてもらったことがあり、今回の債務整理について夫の親は知りません(私は言うことを希望しましたが夫は嫌がります)。今、家計は私が管理していますが、夫にも金銭の管理能力をつけてもらわなくては、不安で仕方がありません。また、10年後には社宅を出なくてはなりません。長男の夫は将来的に親との同居を考えていますが、実家は築40年のためリフォームが必要です。しかし、夫はローンが組めず、このまま住むしかないとも考えています。子どもたちの高校までの授業料などの教育費は、なんとか毎月の給与・ボーナスでやりくりしたいのですが、老後資金も含め、今後が心配です。

■家計収支データ
「びゅう」さんの家計収支データ

「びゅう」さんの家計収支データ



■家計収支データ補足
(1)ボーナスの使いみち
貯蓄14万円(普通預金10万円、社内預金4万円)、債務整理40万円、夫の両親へ20万円、人間ドック代(夫婦、会社から補助あり)10万円、家族の被服費・美容院代10万円(※)、コンタクトレンズ代5万円(1年分)、夫の小遣い5万円、生活費補てん10万円
(※)毎月の生活費には計上せず、ボーナスから捻出。美容院は夫婦で一緒に行き夫婦割引利用の年4回

(2)貯蓄について
毎月の積み立ての以下のような目的別に
・教育資金2万5000円/2人目が産まれて給与1万円アップ+児童手当分を増額
・老後資金1万円
・交際費・医療費など予備費1万円
総貯蓄の内訳は以下のとおり
・教育資金50万円(子ども1人につき500万円目標)
・老後資金50万円(夫の退職60歳までに1000万円目標)
・交際費・医療費など予備費20万円(職場・親戚ともに冠婚葬祭が多い)
・住宅資金30万円(社内預金分。いつか家を買うかリフォームするときの頭金や費用に充てたい。債務整理終了後、給与天引き額を上げる予定)

(3)加入保険の内訳
[夫]
・個人年金保険(60歳から10年確定、年金額40万円)=保険料1万円
・アカウント型終身保険(死亡保障3500万円、他医療特約)=保険料2万5000円(団体生命扱い)
[妻]
・個人年金保険(60歳から10年確定、年金額60万円)=保険料1万5000円
・保障付積立保険(36歳満期、満期金120万円)=保険料2万円
・アカウント型終身保険(死亡保障500万円、他医療特約)=保険料7500円(団体生命扱い)
[長男/第2子]
・学資保険(払込期間15年、18歳から4年間、毎年50万円受け取り)=保険料2万円(2人分)
・学資保険(18歳満期、満期金250万円)=保険料0円(妻の親が負担)
・医療保険(保険期間22歳)=保険料2500円(長男のみ加入/団体生命扱い)

(4)夫の定年と退職金
定年60歳。退職金は2000万円(予定)。定年後も、5年間は現在の会社の関連会社(年収300~400万円)に勤務する予定。

(5)夫の持病と医療費
睡眠時無呼吸症候群、高血圧、高脂血症の持病持ちで10年以上前に胆石で胆嚢摘出。医療費は会社系列の病院にかかれば普段は治療・薬代はかからない。入院・手術のときは一般と変わらずかかる。持病の多い夫は、退職後は普段の医療費(現在は会社負担の睡眠時無呼吸症候群の補助呼吸器レンタル料など夫だけで月4万円は医療費がかかる)がかさむことが不安。

(6)家族の健康と保険
妻はがん家系。身内に喘息やてんかん持ちがいるので、念のため15歳まで医療費無料の子どもにも医療保険を掛けている。夫の生命保険は保険会社の担当(夫の職場の同僚の妻)から勧められるままに入っており、保障が適当であるか不安。

(7)夫の借金とその返済について
10年以上前にそれまで作った借金1000万円を夫の親が肩代わり。しかし、夫はその後も借金を続けた。ギャンブル癖はないが、独身時代はとにかく新しいもの好きで携帯・スマホは新しい機種が出るごとに替えたり、好きな国内外のサッカーチームのユニフォームやグッズを買ったり、AKB好きでアイドルグッズを揃えたり、モバイルゲームに課金を過剰にしたり。結果、夫が独身時代に遊興費として借金は700万円強。個人再生手続きにより、実際の返済額は圧縮されて350万円ほど。毎月6万円、6・12月のボーナス時は20万円追加で返済。今年の12月にボーナス分と合わせて返済すれば完済となる。

(8)夫と実家の親の関係
結婚を期に実家を出て、社宅に入った。夫の親も、家にお金を入れず、浪費癖のある息子との同居にうんざりしていた。しかし、肩代わりした1000万円の返済は不要となっていることもあり、ゆくゆくは親と同居して面倒を看ることになっている。

結婚後、ボーナスから毎回10万円を気持ちとして夫の両親へ渡している。孫が生まれてから関係は良好。債務整理にあたって夫のクルマは二束三文で売却したとのこと。どうしても必要なときは夫の両親が車を借りる。ガソリン代やETC代などは夫の両親が負担。ただし、家のリフォーム等の費用の援助はのぞめない。

(9)妻の実家と妻が働くことについて
妻の父(母親は他界)は資産家だが、代々家の家督は長男(弟)が受け継ぐことが決まっており、妻は遺産相続放棄の一筆を書いている。

また、妻は働くことを希望しているが、妻の祖父母の介護が週3~5回不定期にあり、現在、働くことが困難になっている。さらに、夫の父親が透析治療中で、夫の母親が付き添えないときは妻が付き添っている。数年後には夫の両親の介護が始まる可能性も大きいため、いつ働けるかが読めない。

■FP深野康彦からの3つのアドバイス
アドバイス1 教育資金は保険商品だけでほぼカバー
アドバイス2 実家のリフォームコストがポイント
アドバイス3 夫への対応、ダメなら親に話す覚悟で
 

アドバイス1 教育資金は保険商品だけでほぼカバー

いろいろ状況や経緯が複雑なのですが、まずは家計全体の整理とそれにともなうキャッシュフローを考えてみます。

毎月の貯蓄は6万円(持株会も便宜上、貯蓄として試算)。債務整理が今年中に終了するので、その月払い分6万円を貯蓄に回したとして、12万円。さらに第2子が生まれたことで、その分の児童手当も貯蓄に換算します。また、ボーナスから貯蓄に回せている金額は現在14万円。債務整理が今年中に終了するので、その支払い分を全額貯蓄に回せば、来年からは54万円の貯蓄が可能になります。

では、このペースでどれだけ貯まるでしょうか。
まず、社宅を出なくてはならない10年後ですが、今年は年間86万円、来年以降は年間198万円の貯蓄が可能となりますから、計1868万円。

さらに児童手当をこの時点で138万円受け取っていますので、ご主人の昇給がなく、奥様も働けないとした場合でも、トータルで約2000万円が今の貯蓄に上積みされることになります。

次に、ご主人が定年=60歳となる18年後はちょうど下のお子さんが大学に入学する時期と重なりますが、このとき同じ貯蓄ペースを維持できたとし、生活費以外に大きな支出がなければ、10年後の貯蓄からさらに約1650万円が上積みされます。実際は退職金2000万円が受け取れますので、計3650万円増えるということになります。

では、その貯蓄ペースでさまざまな資金は用意できるでしょうか。優先順位からすれば、まずは教育資金ということになります。

大学資金は進路によってかかる費用が異なりますが、1人500万円とすれば、2人で1000万円。学資保険は奥様の親御さんが掛けているものも合わせれば、900万円。さらに3年後に満期に積立保険の満期金が120万円ですから、奥様が言われるように、高校までは家計の範囲でまかなえるのなら、貯蓄を下ろさずとも保険商品だけで教育資金はカバーできることになります。
 

アドバイス2 実家のリフォームコストがポイント

ポイントとなるのは、10年後の住宅資金です。ご実家が必要とするリフォームの規模や程度はわかりませんが、同居時には築50年なのですから、実際にリフォームのレベルで済むかどうか。ましてや、何も手を加えず住むことは難しいのではないでしょうか。

建て替えとなれば、解体費用やご両親の仮住まい費用が建築費以外に発生します。それだけで400~500万円はかかると考えていいでしょう。ローンが組めないなら、現金払いということになりますが、手持ち資金として200万円は残しておきたいので、建築費に出せる現金は1500万円ほど。一般的なリフォームならある程度のことはできる額ですが、家族6人が住む住宅の建て替え予算としてはややきびしいと思われます。

ご実家はどの程度のリフォームを必要しているのか、あるいは建て替えなのか。業者に見積もりを依頼し、事前によく検討しておくといいでしょう。また、個人再生手続きを行った人でも、完済後5~7年経てば住宅ローンを組める可能性もありますので、そこは担当された弁護士に確認しておくといいでしょう。

仮に建て替え費用(建築費のみ)が2500万円かかったとすれば、残り1000万円はローンになります。定年まで8年間で返済するとすれば、金利1%で毎月の返済額は10万8000円。毎月の貯蓄分が消えてしまいます。借入額が1000万円を上回ると、貯蓄を取り崩しながら返済するか、60歳を過ぎても返済するかの、どちらかになるかもしれません。

では、老後資金はどうでしょう。
毎月の生活費がどの程度かかるかで費用が大きく異なりますが、65歳まで働いたとして、90歳までは25年間。退職金2000万円と個人年金保険2本の満期金1000万円で計3000万円用意できますから、それを月割れば、毎月10万円を公的年金に足せるということになります。定年後65歳まで収入で赤字を出さず、住宅のリフォームもしくは建て替え費用がある程度の範囲に収まれば、老後資金はある程度確保できると考えていいでしょう。
 

アドバイス3 夫への対応、ダメなら親に話す覚悟で

1700万円ものご主人の借金でどうしようもなくなった家計でありながら、教育資金、住宅資金、そして老後資金も上手に管理していけば、それぞれ用意ができます。そこまで持ち直したのは、まずは奥様の頑張りがあります。ここまで立て直したのは実に立派です。

もうひとつは、ご主人の勤務先が大手企業だったことが大きいと思います。収入が高いレベルで安定していて、医療費等の福利厚生も充実しています。

ここでポイントとなるのは、債務整理が終了する来年以降です。家計支出が減りますから、家計そのものに余裕があると思ってしまう。ここで気を引き締めて、これまでと変わらない生活を送っていくことが重要なのです。

とくにご主人には周囲が注意し、気を配っておきたいところです。とは言え、最後はご主人次第ということになります。ご主人に金銭能力を付けさせたいというのであれば、ご主人と向き合うしかないでしょう。

これまでも何度となく話し合いをされたとは思いますが、真剣に、ある程度の覚悟を持って、「ダメなら実家のご両親に話します」と言ってもいいのでは。

保険については、手を付けるのなら、ご主人のアカウント型終身保険です。保障額そのものよりも、もっとシンプルに必要な保障を単体の保険で確保した方が合理的です。したがって、払済保険にして、新たに同額程度の死亡保障と医療保障を確保する。それでも1万円近く下げられるはずです。ただ、ご主人の健康状態を考慮すれば、新たな保険の加入は難しいと思います。まずは保険会社に確認してみてください。
 

相談者「びゅう」さんから寄せられた感想

夫が債務整理をしていることを誰にも話せず、家計管理を独りで行っている不安が大きい中でマネープランクリニックさんに無料で相談できて本当に助かりました。

巷のFP相談は小さな子ども連れでは行けないし、信頼できるFPかの見極めは困難でお金に関する悩みがあっても独りでウジウジしている状態でした。素人である私がマネープランをどんなに練っても不安は募るばかりでしたので、今回具体的な数字を出しての説明を頂戴でき勇気をもらいました。

深野先生のアドバイスを胆に命じ、債務整理が終わっても気持ちを緩めることなく、子どもたち2人そして自分たち夫婦の老後のためにも夫へは断固たる態度で接したいと思います。本当にありがとうございました!


教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
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業界歴26年目のベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。

取材・文/清水京武 イラスト/モリナガ・ヨウ




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