お金の悩みを解決!マネープランクリニック/教育費が準備できるか不安な子育て世代

42歳浪費家の夫は過去に借金1000万円。今後が不安です(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、債務整理中の夫を不安に思う30代の主婦の方。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 教育資金は保険商品だけでほぼカバー

いろいろ状況や経緯が複雑なのですが、まずは家計全体の整理とそれにともなうキャッシュフローを考えてみます。

毎月の貯蓄は6万円(持株会も便宜上、貯蓄として試算)。債務整理が今年中に終了するので、その月払い分6万円を貯蓄に回したとして、12万円。さらに第2子が生まれたことで、その分の児童手当も貯蓄に換算します。また、ボーナスから貯蓄に回せている金額は現在14万円。債務整理が今年中に終了するので、その支払い分を全額貯蓄に回せば、来年からは54万円の貯蓄が可能になります。

では、このペースでどれだけ貯まるでしょうか。
まず、社宅を出なくてはならない10年後ですが、今年は年間86万円、来年以降は年間198万円の貯蓄が可能となりますから、計1868万円。

さらに児童手当をこの時点で138万円受け取っていますので、ご主人の昇給がなく、奥様も働けないとした場合でも、トータルで約2000万円が今の貯蓄に上積みされることになります。

次に、ご主人が定年=60歳となる18年後はちょうど下のお子さんが大学に入学する時期と重なりますが、このとき同じ貯蓄ペースを維持できたとし、生活費以外に大きな支出がなければ、10年後の貯蓄からさらに約1650万円が上積みされます。実際は退職金2000万円が受け取れますので、計3650万円増えるということになります。

では、その貯蓄ペースでさまざまな資金は用意できるでしょうか。優先順位からすれば、まずは教育資金ということになります。

大学資金は進路によってかかる費用が異なりますが、1人500万円とすれば、2人で1000万円。学資保険は奥様の親御さんが掛けているものも合わせれば、900万円。さらに3年後に満期に積立保険の満期金が120万円ですから、奥様が言われるように、高校までは家計の範囲でまかなえるのなら、貯蓄を下ろさずとも保険商品だけで教育資金はカバーできることになります。
 

アドバイス2 実家のリフォームコストがポイント

ポイントとなるのは、10年後の住宅資金です。ご実家が必要とするリフォームの規模や程度はわかりませんが、同居時には築50年なのですから、実際にリフォームのレベルで済むかどうか。ましてや、何も手を加えず住むことは難しいのではないでしょうか。

建て替えとなれば、解体費用やご両親の仮住まい費用が建築費以外に発生します。それだけで400~500万円はかかると考えていいでしょう。ローンが組めないなら、現金払いということになりますが、手持ち資金として200万円は残しておきたいので、建築費に出せる現金は1500万円ほど。一般的なリフォームならある程度のことはできる額ですが、家族6人が住む住宅の建て替え予算としてはややきびしいと思われます。

ご実家はどの程度のリフォームを必要しているのか、あるいは建て替えなのか。業者に見積もりを依頼し、事前によく検討しておくといいでしょう。また、個人再生手続きを行った人でも、完済後5~7年経てば住宅ローンを組める可能性もありますので、そこは担当された弁護士に確認しておくといいでしょう。

仮に建て替え費用(建築費のみ)が2500万円かかったとすれば、残り1000万円はローンになります。定年まで8年間で返済するとすれば、金利1%で毎月の返済額は10万8000円。毎月の貯蓄分が消えてしまいます。借入額が1000万円を上回ると、貯蓄を取り崩しながら返済するか、60歳を過ぎても返済するかの、どちらかになるかもしれません。

では、老後資金はどうでしょう。
毎月の生活費がどの程度かかるかで費用が大きく異なりますが、65歳まで働いたとして、90歳までは25年間。退職金2000万円と個人年金保険2本の満期金1000万円で計3000万円用意できますから、それを月割れば、毎月10万円を公的年金に足せるということになります。定年後65歳まで収入で赤字を出さず、住宅のリフォームもしくは建て替え費用がある程度の範囲に収まれば、老後資金はある程度確保できると考えていいでしょう。
 

アドバイス3 夫への対応、ダメなら親に話す覚悟で

1700万円ものご主人の借金でどうしようもなくなった家計でありながら、教育資金、住宅資金、そして老後資金も上手に管理していけば、それぞれ用意ができます。そこまで持ち直したのは、まずは奥様の頑張りがあります。ここまで立て直したのは実に立派です。

もうひとつは、ご主人の勤務先が大手企業だったことが大きいと思います。収入が高いレベルで安定していて、医療費等の福利厚生も充実しています。

ここでポイントとなるのは、債務整理が終了する来年以降です。家計支出が減りますから、家計そのものに余裕があると思ってしまう。ここで気を引き締めて、これまでと変わらない生活を送っていくことが重要なのです。

とくにご主人には周囲が注意し、気を配っておきたいところです。とは言え、最後はご主人次第ということになります。ご主人に金銭能力を付けさせたいというのであれば、ご主人と向き合うしかないでしょう。

これまでも何度となく話し合いをされたとは思いますが、真剣に、ある程度の覚悟を持って、「ダメなら実家のご両親に話します」と言ってもいいのでは。

保険については、手を付けるのなら、ご主人のアカウント型終身保険です。保障額そのものよりも、もっとシンプルに必要な保障を単体の保険で確保した方が合理的です。したがって、払済保険にして、新たに同額程度の死亡保障と医療保障を確保する。それでも1万円近く下げられるはずです。ただ、ご主人の健康状態を考慮すれば、新たな保険の加入は難しいと思います。まずは保険会社に確認してみてください。
 

相談者「びゅう」さんから寄せられた感想

夫が債務整理をしていることを誰にも話せず、家計管理を独りで行っている不安が大きい中でマネープランクリニックさんに無料で相談できて本当に助かりました。

巷のFP相談は小さな子ども連れでは行けないし、信頼できるFPかの見極めは困難でお金に関する悩みがあっても独りでウジウジしている状態でした。素人である私がマネープランをどんなに練っても不安は募るばかりでしたので、今回具体的な数字を出しての説明を頂戴でき勇気をもらいました。

深野先生のアドバイスを胆に命じ、債務整理が終わっても気持ちを緩めることなく、子どもたち2人そして自分たち夫婦の老後のためにも夫へは断固たる態度で接したいと思います。本当にありがとうございました!


教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
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業界歴26年目のベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。

取材・文/清水京武 イラスト/モリナガ・ヨウ




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