謝罪の場面、服装は何が正しい?
謝罪やお詫びの場面、服装は何がふさわしい?
謝罪のきっかけとなった事柄や経緯、謝罪会見のスタイルもさまざまですが、服装やヘアメイクも会見の印象を左右する重要な要素です。特に色は、視覚がとらえた情報によって生じる心理的影響だけでなく、目を閉じていても生理的影響を及ぼすことが明らかになっています。
今回は、カラーコーディネートの観点から、謝罪の場面にふさわしい色、装いの考え方をご紹介します。スーツやネクタイ、ブラウスやワンピースなど、謝罪時に何を身につけるか迷った際の参考にしてみてください。
謝罪の場面で避けた方が良い色は「赤」の服装
脳幹を覚醒させる赤は、相手を威嚇しますが、怒りを誘発することもあります
赤は、身につける人に自信を持たせ、対する相手に恐怖心を抱かせることから、政治家などに好まれます。しかし、謝罪という場面では、記者や視聴者の知的な論証を妨げるため、ちょっとした言葉尻をとられがち。真摯に謝罪を印象づけたいのであれば、赤は避けた方がよいでしょう。
では、寒色系は謝罪にふさわしいのでしょうか?
寒色系は、副交感神経組織を刺激し、脈拍や呼吸数を減らします。寒色系は、見る人の精神を安定させ、攻撃性を弱めるので、質問や追及を受ける側にとっては好都合な色のように思えます。しかし、一般的に、謝罪は真摯な態度で臨むもの。記者や視聴者はフラストレーションを感じるのではないでしょうか。
また、リラックス効果の高い色は、想像力や創造力をかきたてることが明らかになっています。記者は、攻撃的な質問を発しにくくなる半面、直感が働くようになるため、想像力豊かな記事を書きやすくなる可能性も考えられます。
パステルカラーのように、淡く明るい色も、寒色系と同じようにリラックス効果に優れ、想像力を高めます。これらの色も謝罪の場面では避けた方がよいでしょう。
相手を刺激しない「グレー」の服装
グレーは、善悪を象徴する白と黒の中間にあって、どちらともつかない状態を表します
明暗のみで、色のないモノクロームの配色は、集中力を高めることも、想像力をかきたてることもなく、かといってリラックス効果もないのです。中立・公平な観点で、謝罪を受け止めてもらいたいときは、無彩色が好ましい選択肢と言えるでしょう。
しかし、不倫が報道されたため、白いブラウスで謝罪会見に臨んだ女性タレントは炎上し、黒いスーツで謝罪を行った男性アイドルグループは、さまざまな憶測を招きました。白や黒が好ましい結果につながらなかったのは、なぜでしょうか?
「白黒つける」という諺があるように、白と黒は対になり善悪や勝ち負けを象徴します。白は「私は正しい、間違っていない」、黒は「真実は闇に葬られる」といったメッセージを発してしまうのです。
一方、夫が逮捕されたため、謝罪会見に臨んだ女優は、黒いワンピースにやや明るいグレーのジャケットを着用しました。グレーは、白(善)と黒(悪)の中間にあって、どちらともつかない状態を表します。そして、曇り空のように、暗鬱な心の状態を示します。好意的な受け止め方をされる方が多かったのは、女優の置かれた状態や発言内容に合った色づかいだったことも要因ではないでしょうか。
謝罪の場面で相手を納得させる「緑」の服装
色は注意を引きつけ、行動を促します
相手に対して、補償や賠償の内容を提示する場面で、効果を発揮するのは緑です。
2009年にヒューレッド・パッカード社は、9カ国において、従業員の代表に「中立的な意見」に関するアンケートを実施しました。回答用紙は、青、黒、緑、赤の4種類あり、その意見に関して、「賛成」「反対」あるいは「どちらでもない」を記入するようになっていました。
調査の結果、「どちらでもない」という回答は、青の用紙の47パーセントと黒の用紙の43パーセントを占め、緑の用紙を用いた回答者の53パーセントが、提示した文章に「賛成」しました。
この調査結果から、緑は人を納得させる力が非常に強い色だと言えるでしょう。
謝罪の服装は、「グレー」と「緑」を使い分けよう
謝罪の気持ちを伝え、解決へと導く上で、色づかいも一役買ってくれるでしょう
ヒューレッド・パッカード社の事例のように、書類の色も効果的ですが、男性はネクタイ、女性はシャツやスカーフというように、ファッションに取り入れるのもよいでしょう。
しかし、予期せず、相手の視界に「赤」が入ることも考えられます。事前に謝罪を行う場所を下見しておくなど、万全を期することが何よりも大切なのではないでしょうか。
ガイドの最新情報は、All About公認ガイドブログ、Facebookページ、Twitterをご覧ください。
【関連記事】