個人賠償責任特約を3重につけていた例も!
同じ内容の特約に既に加入していないか、チェックしてみましょう
個人賠償責任の補償は、現在、単体の保険としてはほとんど販売されていません。一方、特約としては、普通のご家庭で加入している損害保険の多くについている可能性があります。
保険料は年間1,000~2,000円程度と安く、保険料を支払っている感覚を持ちにくいこともあるのでしょう。私に保険の相談をされるお客様にも、この特約がついていることに気づいていない、あるいは忘れてしまっている人が少なくありません。
お客様の中には、
- 自動車保険
- 住宅購入時に加入した建物の火災保険
- 2の後で加入した家財の火災保険
ダブって加入しても実際の損害額を超えて保険金を支払ってもらえる訳ではありません。自動車保険の特約としてつけることを考えるときは、既に加入していないか、他の保険をチェックするようにしましょう。
個人賠償責任特約の補償範囲や、補償の対象となる人、補償額の目安などを詳しく知りたい人は次の記事をご覧ください。
【関連記事】
どんな保険に個人賠償責任特約はついている?
それでは、どの保険をチェックすればよいのでしょうか。家族全員が加入している全ての損害保険の主なものを挙げると、自動車保険、自転車保険、火災保険、傷害保険ということになります。■1:自動車保険
既に自動車保険に加入していて、個人賠償責任特約をつけていたか記憶があいまいになっている人は、保険証券の特約の欄をチェックしましょう。
■2:自転車保険
2008年に東京地方裁判所、2013年に神戸地方裁判所で自転車事故による賠償額9,000万円超の判決があったことにより、自転車保険に注目が集まり、契約数が急増しています。自転車保険は交通事故による自分自身のケガの補償に個人賠償責任特約をセットしたプランが一般的ですが、個人賠償責任特約はつけ外しできる、あるいは個人賠償責任特約がついていないプランも用意している保険会社が多いので、加入している人は自分のプランに個人賠償責任特約がついているかを確認しましょう。
■3:火災保険
火災保険では個人賠償責任特約をつけ外しできるのが一般的ですが、つけているかいないかは建物の種類により傾向が異なります。住宅を所有している人の火災保険では、建物がマンションの場合、個人賠償責任特約をつけていることが多いです。例えば、洗濯機から水があふれて下の階の部屋に損害を与えてしまったときにも使えるからです。一方、一戸建ての場合は、個人賠償責任特約をつけていない人も多いです。
また、建物のみを保険の対象にした契約と、家財のみを保険の対象とした契約、合計2つの保険に分けて加入していることもあり、どちらにも個人賠償責任特約がついている可能性がありますので、両方のチェックが必要です。
賃貸住宅の入居者向け火災保険では、個人賠償責任特約をセットしたプランを勧められることが多いため、ついている可能性が高いのですが、保険金額(支払い限度額)が数千万円となっているプランも多く、それだけでは充分と言えないこともあります。
■4:傷害保険
ケガを補償する傷害保険にも個人賠償責任特約をつけることができるのが一般的ですが、実際につけている人はそれほど多くないと思われます。ただし、注意したいのは、勤務先などの団体保険で加入している傷害保険に個人賠償責任特約をつけているケースで、保険相談でも意外に多く見かけます。
■5:その他
個人賠償責任の補償は、単体の保険としてはほとんど販売されていないと書きましたが、クレジットカード会員の専用商品として販売されているものがあります。また、医療共済に追加して加入できる個人賠償責任保険を用意している共済もありますので、自分が加入していないか確認しましょう。
個人賠償責任特約はさまざまな名称がある
この記事では個人賠償責任特約で統一していますが、実際には保険会社によってさまざまな名称が使われているため、他の保険をチェックするときには注意が必要です。主な保険会社で使用されている名称を以下に挙げてみます。- 個人賠償特約
- 個人賠償責任特約
- 個人賠償責任補償特約
- 日常生活賠償特約
- 日常生活賠償責任特約
- 日常生活賠償責任補償特約
- 日常事故賠償責任補償特約
例を7つ挙げましたが、これでも全部ではありません。名称に惑わされずに同じ内容の特約と認識して、保険証券の特約欄に記載がないかチェックするようにしましょう。
ダブりのチェックを難しくしているポイントが他にもあります。次のページで、個人賠償責任特約の整理のポイントとともにご紹介します。