弁当箱などのパッキンはどう除菌する? 洗い方はズボラでもいいの?
弁当箱のパッキンはどう除菌する?
「ズボラ家事って、実際どれくらいズボラにしていても大丈夫なものなんですか~?」
という、そぼくかつ本質的なご質問にお応えし、ズボラの目安をお伝えするシリーズ。放置しがちな家事のデッドラインをズボラ家事提唱ガイド目線でご提示します。ただし相当「ゆるめ」ですので、個々で引き締めて(?)参考にしてみて下さい。
弁当箱のパッキンの除菌方法:毎回、必ず外して洗って
お弁当、食べた後、どうしてます? まさかほったらかし、家族に洗ってもらってなんか、いませんよね……
パッキンは弁当箱の密封性能をつかさどる要所である反面、お弁当内の湿気、おかずなどの汁気が付着し、弁当箱の中でもとりわけ汚れが溜まりやすい場所でもあるのです。そのため雑菌が繁殖しやすく、ここが不衛生になると、お弁当での食中毒リスクが高まってしまうことでしょう。
つまり、お弁当の安全のためにも、ここは「ズボラできない」ところなのです。
お弁当を食べ終わったら、都度なるべく早めに洗剤で洗い、しっかり乾かしておきましょう。
■デッドラインを超えるとどうなる?
弁当箱の、蓋の、内側の、縁周りにはさまっている「パッキン」。写真の弁当箱の場合、素材はシリコンで耐熱温度も高く(240度)、熱湯消毒が可能なので衛生的に始末することは可能なのです。ただ外して洗うのを面倒くさがってしまうと、一度カビが生えると菌糸が食い込んで漂白しにくいデメリットがあります
また、まだカビではないものの、黄色みがかった汚れやピンクがかった汚れ(赤色酵母)がパッキンにしっかりついてしまっているケースもあります。これはいわばカビの前段階。 雑菌が繁殖してしまっている状態で、衛生的にはすでにピンチです。
これらを発見したら、即、食器用洗剤等で汚れを落とし、熱湯消毒できるものは熱湯消毒しておきます。パッキンの種類によって可能であれば、漂白剤の使用も良いでしょう。
■それでも「ズボラ」したい人はパッキン無しのお弁当箱を選ぼう
近ごろでは気密性や保温性などの面で高機能な弁当箱が増えていますが、高機能であるほど、パッキンをはじめとした、洗わなければいけない(なくすと致命的な)細かな部品が増えると考えて良いでしょう。
こういった高機能なお弁当箱は、紛失や摩耗(カビ)に伴う部品の買い替えも求められるので、購入時に付いてきた注意書きは捨てないようにしましょう。
パッキンのことまで心配していられない、また絶対洗い忘れる自信のある方は、パッキン無しの弁当箱を使用するのもひとつの方法です。
弁当箱のパッキンの除菌方法:ヌメリ発生でアウト、カビたら捨てる
昔は真夏、生温い水道水すら美味しく感じたものですが……
そうなると、課題になってくるのが、「水筒の注ぎ口」近辺の衛生や、「パッキン」の処遇です。
と言うのも、私たちの口腔内には常時数百種類の細菌が生息しており、その細菌は水筒の飲み口経由で注ぎ口に付着し、やがて内部に至り、さらに飲み物のなかで数千倍にも増えてしまうことがあるのです。
健康対策として持っているはずのマイボトルや水筒が汚染され、食中毒を起こしてしまうとしたら本末転倒ではないでしょうか。
■茶しぶではない、水筒内に発生するヌメリの正体
水出し麦茶は衛生管理が肝です
水筒には麦茶などを入れることも多いので、この茶色のヌメリもいわゆる「茶しぶ」だと思われ軽視されがちですが、ヌメっている時点でただの茶しぶではありません。茶しぶをエサに細菌が繁殖してしまった塊、「バイオフィルム」である可能性が高いのです。
水筒に入れる飲み物の種類によっても、このバイオフィルム(ヌメリ)の形成には差があります。
たとえば、ミネラルウォーター使用の水出し麦茶やハーブティー等はヌメリやすい傾向にありますが、一方で塩素消毒してある水道水はヌメリにくい。しかしどちらにせよ、ボトルが汚染されていれば早晩ヌメリます。 よって、水筒には長時間飲み物を入れっぱなしにせず、使い終わったらすぐに洗うことが肝要です。また内部を洗う際にも、傷をつけないような掃除道具でしっかり擦り洗いし、飲み口の細部やパッキンも都度外して洗浄・乾燥を行うようにしましょう。
また、あまり知られていないことですが、ステンレスボトルに、漂白剤は基本的に使えません(※1)。
汚れたから、ヌメっちゃったから、カビちゃったから、と気軽に塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)や、濃い酸素系漂白剤(過炭酸ナトリウム)で除菌漂白すると、これらの成分により内部が腐食し、サビや穴あき、それによる食中毒(銅成分による)のリスクが高まってしまうのです。パッキンなどの樹脂部分も、傷みや漏れなどの原因になるため基本的に漂白剤は使えません。ただし、ボトル専用の洗浄剤においてはその限りではありませんので、商品購入の際にご確認下さい。
■カビまみれのパッキンは捨てるしかない
つまるところ、すでにカビで真っ黒になってしまっているようなパッキンは、パッキンを買い換える以外、リベンジの方法はないということです。ステンレスボトルの腐食は塩分の多いスポーツドリンクや酸性の乳酸菌飲料でも生じます。
これまで不用意な水筒の使用やケアを行ってきてしまった! という場合は、安全面を鑑みて適宜ボトルの買い替えなどを検討することをお勧めします。
かくして水筒周りのズボラは結構のっぴきならない結果になりそうです……。
茶ばんだまな板の除菌:漂白・熱湯・日光で対処、ムリなら買い替え
そのまな板、だいじょうぶ?
なので「ちゃちゃっ」と水道水で流してまな板立てに戻し、そのまま乾けば、何となく「除菌完了!」な気分になってしまうもの。
でも、水で流しただけでは当然、除菌はされません。
■まな板の細菌は半日で5万倍に!
仮にその“水で流しただけのまな板”に400個の細菌が残っていたとしましょう。これは細菌的には少ない数です。しかし、その12時間後……普通のキッチン環境下で、この細菌は5万倍(2000万個)にまで増殖してしまうのです!(※1)恐ろしいですね……。
では具体的にどんな菌が検出されるかと言うと、主には大腸菌群やカビ(※2)の類です。そして困ったことに、これらの細菌類をしっかり落とそうと思うと、食器用スポンジと通常の食器用洗剤を使って洗うだけでは落としきれません。むしろ細菌汚染を助長させるだけなのです。
対処するには塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)もしくは酸素系漂白剤(過炭酸ナトリウム)による殺菌漂白、あるいは熱湯をかける、もしくは直射日光(紫外線)を当てるなどをしなくてはなりません。ただ包丁による傷が深く、深部まで漂白が至らない場合は、潔く「買い替える」のも一手でしょう。
(※1 アルコール除菌@キッチン ラボ 研究レポート)
(※2 生活者視点にたった家庭の衛生対策 ~キッチンを中心に~ 花王生活者研究センター)
「多少の雑菌やバイ菌、おなかに入れたってヘッチャラ!」という方はともかく、抵抗力のないお子さんや、おなかの弱い人にとっては、この分野でズボラをするのは死活問題と言えるでしょう。
そうはいっても、全方位的に全力で完璧に家事をするなどというのは現実的ではありません。限られた時間やリソースの中で、優先順位を考えつつ、「ズボラ」ができるといいですね。