スペインバルが日本でも人気の理由
「スペインでは1日5食たべる」 ーーそんな話を聞いたこと、ありませんか?朝は早く、日の入りは遅いスペイン。自然と夕食の時間も遅くなるため、3食の間に軽食を挟むのがスペインの食スタイル。まるで一日中食べてるみたい! 冗談のように聞こえますが、これが実際、大げさな話ではありません。休みの日は、家族みんなで朝食を食べながら「今日のランチに何を食べるか」を話し合ったり……。食べることをこよなく愛するスペイン。当然この国には、美味しい物が溢れています。
実は、食文化に関して日本とスペインには共通点が多いのです。日本と緯度がほぼ同じでリアス式海岸があるスペイン北部では魚介料理が充実していたり、味付けは塩だけのシンプルな調理が多かったり、水田が広がる米どころがあったり……。かの有名なハモンセラーノ(生ハム)だって、実はカツオ節の作り方にとってもよく似ているんです。
お米やお魚をよくいただき、調理法も味付けもシンプルな物が好き。そんな日本人の嗜好に合うスペイン料理は、パエリアやアヒージョ以外にもたくさんあるのです。そして、そんな料理をちょっとずつアレコレいただけるスペインバルはまさに日本人好み! 今回はそんな魅力的なスペインバルをより楽しむ方法をお伝えしましょう。
そもそも「タパス」って何? 「ピンチョス」って何?
「タパス」と「ピンチョス」、バルではよく聞く言葉ですよね。タパスという言葉は「蓋(タパール)」という言葉に由来します。その昔、バルでワイングラスに虫が入らないように蓋をしていたところ、その上に店主がポンと生ハムをのせたのがタパスのはじまり。この生ハムがチーズやオリーブになり、イワシの酢漬け、コロッケ、オムレツとどんどんラインナップが広がっていったのです。今では軽食やお酒のつまみとして、ちょこっと食べる「小皿料理」の総称として使われています。
対してピンチョスとは、串や楊枝を刺したお料理のこと。例えて言うと、トルティージャ(厚焼きオムレツ)そのままを出すとタパス、カットしてパンにのせ楊枝を刺せば「ピンチョスというタパス」というところでしょうか。
とは言え、串や楊枝は使わずにパンにのせてピンチョスと呼ぶこともありますので、ここはあまり厳密に区別する必要はありません。
スペインバルでの「最初のドリンク」、何を飲む?
スペインバルはカジュアルが基本です。服装やオーダー、食べ方など特別なルールはありません。一人でふらりと立ち寄り静かに飲む人、立ち飲みでさっと帰る人、仲間たちとワイワイやる人、スペインバルの楽しみ方も人それぞれ。居酒屋感覚で気軽に利用できます。そんなカジュアルに楽しむスペインバルですから、「ワインをオーダーするべき」なんてルールはありません! 「とりあえずビール!」は、カッコ悪いことでもなんでもなく、実はスペイン人もビールは大好きなのです。
人気のスペインビールは「マオウ」、「エストレージャガリシア」、「クルスカンポ」など。日本人にも馴染みやすい物が中心で、タイプも様々なので飲み比べを楽しむのもいいですね。以前、セレブのビールと話題になった「イネディット」は、フルーティーで華やかさから女性に大人気です。
よりスペイン気分を味わいたいなら、スペインのスパークリングワイン「CAVA(カバ)」でスタート。シャンパーニュと同じ瓶内2次発酵方式で造られ、カジュアルで明るい空気感、フレッシュながら飲み応えがあると、人気が高いです。
人気のスペインワイン!オススメと選び方のコツ
以前はスペインワインと言えば、「どっしり重い赤ワイン」のイメージがありましたが、ここ数年で地域・品種・タイプそれぞれに多様化してきました。その日の天気や体調に合わせ、食べたい料理に合わせ、毎回新たな出会いを楽しめます。クラシカルなスペインワインを堪能したいなら、リオハの「テンプラニーリョ」。トレンドを楽しみたい時は、赤ワインなら「メンシア」や「ボバル」、白ワインなら「アルバニーリョ」や「ベルデホ」、しっかりとした酸と微発砲が特徴のバスクの「チャコリ」も注目されています。
もうちょっとスペインの風を堪能したいなら、シェリーに挑戦。白ワインにアルコールを添加して樽詰めしたもので、スペインでは「Vino de Jerez(ヘレス地方のワイン)」とも呼ばれます。ふわりと広がる芳醇な樽の香りが特徴。幅広い料理と合わせられるので、いろんなタパスを少しずつつまみたい時にも最適。
キリッとドライな飲み口が好きなら「フィノ」。「マンサニージャ」、「アモンティリャード」、「オロロソ」の順に、色合いも飲みごたえもしっかりしてきます。甘口の「モスカート」、極甘口の「ペドロヒメネス」などは、チーズと一緒に食後酒としても楽しめます。
お酒に弱くても大丈夫!スペインバルで飲むオススメのカクテル
“ボラッチョ(酔っ払い)の国”というイメージの強いスペインですが、ライトで飲みやすいカクテルもいろいろあります。ワインにフルーツやスパイスを漬けた「サングリア」、ビールのレモンジュース割り「クララ」、シェリーのソーダ割り「レブヒート」、赤ワインをソーダで割れば「ティントデベラーノ」、コーラで割れば「カリモチョ」などなど。爽やかで飲みやすい物ばかりですので、お酒が弱い人はもちろん、飲み疲れた時の肝臓休めにもピッタリです。アルコールはどうしても苦手!という方には、ガス入りミネラルウォーターがオススメ。ほのかなミネラルを感じる、甘くない炭酸水。お料理との相性も良く、胃もたれも解消してくれます。シュワシュワっとグラスに注げば、みんなと一緒にお酒を飲んでいる気分。オーダーする時は「コンガス」と言うとツウっぽいですよ。
チャレンジして欲しい!スペインバルの定番タパス
スペイン料理の特徴は、オリーブオイルと塩が基本で、調理もとてもシンプルなこと。食材も調味料も馴染みのある物が多いので、日本人の嗜好にも違和感なく溶け込むものばかりです。パエリアだけ食べて満足していちゃもったいない!ぜひ、スペインっ子たちが愛する定番タパス(参考記事:はずせない!スペインバルで食べるべき「タパス10選」)にチャレンジしてください。オーダーに困った時は、臆せずお店の人に相談してみましょう。スペインバルのシェフたちはスペイン愛にあふれ、お料理にもお酒にも語りたいストーリーを持っている方がたくさんいらっしゃいます。教えてください!とお願いすれば、きっと喜んでいろいろ教えてくれるはず。お店の人と一緒にアレコレ迷うのも、楽しいコミュニケーションの時間。知ってるお酒や料理をメニューに見つけた時でも、せっかくなので「いつものアレ」だけではなく、新しい出会いにもぜひ挑戦してみてください!
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