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建築確認は「安全の保証」をするものではない

不動産会社の営業担当者から「この住宅はきちんと建築確認を受けているから大丈夫」と説明されることもあるでしょうが、それだけで安心してはいけません。建築確認によって安全が保証されるわけではないのです。(2017年改訂版、初出:2016年6月)

執筆者:平野 雅之


住宅の新築工事などに着手する前には建築確認が必要です。たとえ小規模な住宅であっても、都市計画区域内などでは建築確認を欠かすことができません。

ところが、その建築確認のもとになる建築基準法は建物に求める「最低限の基準」にすぎず、建物がもつべき理想的な性能基準を定めたものではないのです。

また、主に建物の構造的な強度や、防火性能、採光基準などハード面での基準が主体であり、そこに住む人の日常生活の安全性や暮らしやすさなどソフト面での基準は手薄だといわざるを得ないでしょう。

というのも、あるとき某所でみた一戸建て住宅の階段が「2~3年のうちには必ず転落事故で打撲以上のケガをする」と断言してもよいくらいの代物だったのです。

狭い敷地に無理やり間取りを詰め込んだせいもあるでしょうが、角度が急なだけでなく、段の途中の2か所を強引に変形させたものでした。

不動産会社の営業担当者のセールストークで「建築確認を受けて法律どおりに建てているから安心ですよ」と説明されることもあるでしょうが、決して建築確認は「安全の保証」ではないことを認識しておくべきです。

逆に、最大限の安全性を考慮した建築基準にすれば住宅などを建てることのできない敷地も増えるため、私権の制限として踏み込めない部分もあるでしょう。

耐震強度の問題にしても、(語弊があるかもしれませんが)極端ないいかたをすれば「建物が崩れたりさえしなければ、それ以外の間接的な要因で居住者が亡くなっても仕方ない」というのが建築基準法の立場です。

地震の際の家具の転倒や、日常でも起きる階段からの転落など、数多くの室内事故まで十分な対策を考えた建築基準となっているわけではありません。

購入する物件を選ぶときには表面的な住宅性能だけでなく、室内に危険な箇所が潜んでいないかどうかなど、十分にチェックをすることが欠かせないのです。


>> 平野雅之の不動産ミニコラム INDEX

(この記事は2007年8月公開の「不動産百考 vol.14」をもとに再構成したものです)


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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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