知ってる? ワットは明るさの単位ではない!
正しくLEDを選んで欲しいと語る越川さん
戸井田さん:それって、もしかすると、ワット(W)のことではないですか?
越川:そうなんです。ワットは明るさの単位ではなく、消費電力を表す単位です。多くの方が誤解されています。
戸井田さん:確かに、そうですね。ワット=明るさだと誤って認識しているから、売り場で、白熱電球や蛍光ランプと同じように、ワットの数値でLEDの照明器具やランプを選ぼうとして、混乱しちゃう人が多いようです。
越川:ワットは消費電力の単位だということについて、戸井田さんはどのように説明されていますか?
戸井田さん:私は「家電と同じように考えましょう」と言うことにしています。例えば、「1500ワットのドライヤーについて、ワットで表示されているけれど、このドライヤーは明るいねとは言わないですよね?」と説明すると、皆さん、うなずいてくれます。
越川:それは、いい例えですね。冷蔵庫や洗濯機などと同様に、家電を思い浮かべてもらえれば、ワットの誤解は解けそうです。ワットは明るさの単位ではないので、ワットの表示を基準にあかりを選ぶのはやめたほうがいいですね。
これからは明るさの単位「ルーメン」に慣れよう
戸井田さん:では、LEDの照明器具を選ぶとき、何を基準に選べばいいのでしょうか。越川:LED照明器具の明るさはルーメン(lm)という単位で表記しています。『LEDの明るさを判断する「ルーメン(lm)」って何?』でも説明していますが、専門的に言うと、ルーメンとは光束(こうそく)のこと。光の束ですから、光がたくさん集まって束が太くなれば明るいということになります。売り場では「ルーメン」の数値をもとにLEDの製品を選んでほしいと思います。
生活者の目線で対談を進める戸井田さん
越川:そうかもしれません。そういった意味では、業界全体にも責任があると言えるでしょう。
ルーメンとルクスの違いについて簡単に説明すると、ルーメンとは照明器具から出る光の量のこと。ルクスは照らされた場所の明るさのことだと区別してください。
戸井田さん:60ワットの白熱電球は、蛍光ランプに換算すると20ワットになるというように、白熱電球と蛍光ランプは、割と簡単に置き換えできましたよね。だから、消費者はあまり困らなかった。でも、LEDが普及するにつれ、6.9ワットのように小数点のある細かい数値が登場してきて、途端に、わからなくなってしまった人が多いようです。最初からルーメンだったらよかったんですけれどね。
越川:その通りですね。ルーメンという単位は、LEDが登場したからつくられた言葉ではなくて、昔から明るさの単位として存在していたんですが、ワットが浸透してしまって…。
戸井田さん:消費者も甘えていないで、ルーメン表示に慣れていかないといけないですね。少し前には耳慣れなかったギガバイト(GB)といった単位でも、今ではみんな何の問題もなく使っているわけですから、覚えましょう。
越川:ご存知のように、まず、白熱電球があり、その後、蛍光ランプが発明されました。照明器具やランプを製造するには特別な技術が必要でしたから、どんな会社でも製造できるというわけではありませんでした。そのため、以前は照明器具に熟知している限られた会社が製造していたので、明るさをワットで表示していても、メーカーや製品によるばらつきはほとんどなかったんです。
戸井田さん:それは、LEDであれば照明メーカー以外でも照明器具やランプをつくることができると…。
越川:そうなんです。それまで照明器具をつくったことのない会社でもつくることが可能なので、裾野が広がったと言いますか、新たに参入するメーカーがものすごく増えたんです。
戸井田さん:そういえば、売り場ではあまり馴染みのないメーカーや海外の製品が並んでいることもありますね。そうなると、製品誤差のようなものが拡大したということですか?
越川:はい。同じワット数でも、同じルーメンにならないという事態が頻繁に見受けられるようになってしまいました。そのことも、消費者の方を混乱させた一因でしょうね。日本照明工業会でも、もっと啓発活動が必要だといこうことになりました。
戸井田さん:「LEDを選ぶときはルーメン表示を頼りに」がこれからのキーワードですね。
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