よく悪夢を見るときは、見たい夢に変える訓練も有効

悪夢

ヨハン・ハインリヒ・フュースリーの「悪夢」(Wikipedia より)

19世紀に夢を研究していたフランスのサンドニ公爵は、ある日の散歩中に、教会の壁の悪魔の飾りを見ました。そしてその夜は、夢の中でたくさんの悪魔に襲われたといいます。いくら逃げても逃げきれない! ついに、悪魔の親分に捕まりかけたとき、「そうだ、これは夢なんだ!」と気づきました。そして「悪魔よ、消え去れ」と言うと、一瞬にしてすべての悪魔は消え去ったそうです。

このように夢を見ているときに、夢の中でそれが夢だと気づく夢。これを「明晰夢(めいせきむ)」、あるいは「ルシッド・ドリーム」といいます。夢に気づくと、それまでぼやけていた周りの景色がはっきりしたものに変わるため、この名前がつけられたようです。

明晰夢の中ではサンドニ公爵のように、自分の意思で夢の内容を変えられることがあります。悪夢で悩んでいる人の治療法として、目覚めているときに悪夢を変えるストーリーを考えておき、夢の中で夢に気付いたら自分が見たい夢に変える、という試みが行われています。毎晩悪夢を見るとお困りの方は、試してみる価値があるかもしれません。

夢を見ている人と交信することはできる?

電話機

映画「マトリックス」では、電話が夢と現実の世界をつないでいました

また、夢に関しては古くから面白い実験がされています。1960年代には、夢を見ている人との交信が試みられました。『夢見信号実験』と呼ばれるものです。この実験では、夢を見たらまず眼球を上下に動かし、次に手のボタンを押します。

眠っているときにそんなことができるのか疑問ですが、レム睡眠のあいだに指先を少し動かすことは可能です。この実験ではボタンを押しても被験者が目を覚ますことはなかったようです。

右手首の運動がモールス信号の短音、左が長音と決めて実験したところ、実験者のイニシャルを発信して、実験は見事に成功したということです。誰でもがすぐにできるわけではなさそうな方法ですが、こういう研究が進むと、眠るのが楽しくなりそうですね。

夢見をよくしたいのは昔の人も同じだった? 見たい夢を見る方法

小野小町

小野小町の歌は、百人一首にもとられています

日本では室町時代に、宮中行事として「悪魔祓い(あくまばらい)」がありました。

枕とその周りのものには、悪夢がまき散らしたけがれが付いていると考え、それらを笹船にのせて川に流すというものでした。こうすることで枕とその周りが正常に保たれ、良い夢を見られると考えられていました。

才色兼備の小野小町が詠んだ歌に「いとせめて恋しき時はむばたまの夜の衣をかえしてぞきる」があります。意味は「どうにもならないほど恋しいときは、夜の衣を裏返して着るのです」ということです。

当時はまだかけ布団というものはなく、夜は着物を体の上にかけて眠っていました。また、着物には神秘的な力があり、願いをかなえてくれると信じられていました。小野小町は、現実では愛しい人に会えないけれど、着物を裏返しに着て眠ることで、夢の中では現実と逆のことが起こってほしいと願ったのでしょう。

悪夢を食べてくれる「獏(ばく)」の言い伝え

獏

悪夢はどんな味がするのでしょうか(Wikipediaより)

ここでいう「獏」は、実在するサイに似た動物の「バク」ではなく、中国から伝わった想像上の動物です。鼻はゾウ、目はサイ、しっぽは牛、足はトラ、体毛は獅子にそれぞれ似ていて、体のまだら模様は白・黒と黄・黒の2パターンがあると考えられていました。

中国では鉄と銅、竹を食べるとされていましたが、日本に伝わったときに、悪夢も好んで食べることになったようです。良い初夢を見るために枕元に置いたお札の宝船にも、「獏」の文字を書いて悪夢を追い払いました。

また、日光東照宮の軒の下には、多くの獏がいます。これは、東照神君(=徳川家康)が悪夢に邪魔をされず、安らかに眠れるようにとの願いから作られました。嫌な夢が多い人は、古くからの方法にあやかって、獏の絵を枕元に置いてみてはいかがでしょうか?

夢に関する研究は日々進んでいますが、まだまだ分からないことがたくさんあります。夢についていろいろなことが解明されて、もっと睡眠中の夢を楽しめるようになるといいですね。

【関連サイト】
「睡眠のトリビア 2」 中外医学社
明晰夢 Wikipedia
小野小町 千人万首
獏 wikipedia



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