学費・教育費/奨学金制度と教育ローン

家計が苦しく奨学金を返せない時の注意点3つ

返済が苦しいと思っている方へ、奨学金や教育ローンの「返済困難度」別に3つに分けて、返済方法をご案内します。

岩城 みずほ

執筆者:岩城 みずほ

学費・教育費ガイド

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  「学費の借り入れとは何か」をもう一度考える

人材価値を考えよう

人材価値を考えよう

大学進学のための教育費が不足しているなどの理由で、奨学金制度を利用したり、親が教育ローンから借り入れたりするケースがあります。

長く続いた不況の影響もあり、年々、学費のために借入金をする人は増えているようです。

しかし、最近、「奨学金の返済ができない人が年々増えている」「返済できず自己破産をした」「返済のため風俗店でバイトをする女子学生が増加するなど社会問題化している」など、センセーショナルな報道が目につきます。あたかも奨学金制度が悪者のような印象ですが、本当にそうでしょうか。

人材価値があることを忘れないで

進学や留学のため、貸与型の奨学金や教育ローンを利用すると、学業のためとはいえ、借金に変わりはないのですから、当然、返済しなければなりません。
しかし、そのお金のお陰で、大学に進んだり、留学したりすることができたわけです。

こうして勉強をしてきたみなさんは、身につけた知識や能力を社会で生かし、働くことができます。みなさんには、人材価値があるのです。今後どのくらい働けるかということを考えれば、若い人ほどこの人材価値は大きくなると考えられるでしょう。まずは、そこを忘れてはいけないと思うのです。

独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)によると、「年々、奨学金の延滞者(奨学金返還を3か月以上延滞している者)が増えているという報道がなされているが、実際には、その割合は減っている」ということです。

奨学金の借入者数の増加に伴い、母数が増えているため、割合は平成16年度以降一貫して、人数も平成21年度をピークに減少し続けているそうです。

平成16年度からの延滞者数の推移

平成16年度からの延滞者数の推移



返済が苦しいと思っている方へ、奨学金や教育ローンの「返済困難度」別に3つに分けて、返済方法をご案内したいと思います。

返済困難度ライトな人は?

家計が苦しいなら、返済方法をひと工夫しましょう。「繰り上げ返済」で、ずいぶんお得になります。まとめてお金を返済することで、返済期間を短縮することができるのです。

例えば、教育ローンで、借入利子2.6%で400万円、期間15年間で借り入れている場合でみてみましょう。

毎月の返済額は36,000円。うち払込元本は約28,000円、払込利息分は8,000円です。30万円まとめて返済するとします。(残高によって元本と利子の割合は変わってきます)

30万円は、元本返済にあてられ、支払期間は、約10ヶ月分期間が短縮することになります。その間の利息分も、支払わずにすみます。残高が少なくなるほど、元本に充当される金額も多くなる(利子が減る)ので、繰り上げ返済の効果は大きくなります。

今、低金利ですが、残念ながら、途中で借入金利の見直しをしてもらうことはできません。ボーナス時や、預貯金である程度の金額が貯まったら、繰り上げ返済をして、返済期間を短縮して行きましょう。

教育ローンは、金融機関によって違いますが、日本学生支援機(JASSO)の奨学金の場合、繰り上げ返済は一部または全額でもできるし、繰り上げ返済の手数料も無料だそうです。

また、日本学生支援機構(JASSO)の奨学金を利用している人には、以下のような制度もあります。

返済困難度ミドルの人

体調を崩して思うように働けない、非正規雇用などで収入が少ないなど、やむを得ぬ理由によって返済が苦しいという場合もあるでしょう。そんなとき、返済をやめてしまったり、安易な選択をしたりしないで、次のような方法を考えてみて下さい。

まず、現在の返済額がどうしても難しい。しかし、減額されればどうにかなりそうという人は、日本学生支援機構(JASSO)には、「減額返還制度」があります。
減額返還制度とは、毎月の返還額を半分に減額して返還することができる制度です。

災害、傷病、その他の経済的理由で、奨学金の返還が困難な場合、願い出により一定期間1回当たりの返済額を2分の1に減額してもらえます。
申請には所定の書類の提出が必要です。

例えば、毎月2万円返済していた場合、1年間で24万円の返済が、毎月1万円ずつ、年間12万円を支払えばよいということになります。減額した期間分、支払期間は延長されます。(※減額返還は一定の用件に合致した場合に認められます)適用期間は12か月で、最長10年(120か月)まで延長可能です。

返済困難度ヘビーな人

災害や疾病、失業などで収入が激減もしくはなくなるなどして、どうしても返済ができない状況になった場合は、日本学生支援機構(JASSO)には、「返還期限猶予」という制度があります。

災害、傷病、経済困難、失業などの返還が難しくなった場合は、返還期限の猶予を願い出ることができます。申請には所定の書類の提出が必要です。
返還猶予を承認された期間は、返済を待ってもらえます。猶予された期間分、返還終了年月が延期されることになります。
(※返還期限の猶予は、一定期間返還期限を延期する制度であり、返還すべき元金や利息が免除されるものではありません)適用期間は、基本12か月で、最長10年(120か月)まで延長可能です。

「減額返還制度」「返還期限猶予」とも、日本学生支援機構(JASSO)のHPに詳細がでていますし、電話で相談に乗ってもらえます。

奨学金返還相談センター
電話:0570-666-301(ナビダイヤル)
※ 海外からの電話、一部携帯電話、一部IP電話からは ⇒ 03-6743-6100
※ 月曜~金曜 8時30分~20時00分(土日祝日・年末年始を除く)

奨学金の利用は計画的に

これから奨学金を利用しようと考えているご家庭は、返済計画を立てましょう。
返済しながら、貯蓄もできる金額を上限とすることです。

今、大学卒の初任給は、平均約20万4千円です。(厚生労働省 平成26年賃金構造基本統計調査結果(初任給)の概況より)大きな借入金は、社会人としてスタートしてからの負担になります。また、親にとっても、老後の準備にお金を回せない等、弊害がでてきます。大学進学時までになるべく貯蓄を増やしておくようにしておきましょう。
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