日焼けを防ぐ最良の方法

日焼けを防ぐために最も有効な方法は、とてもシンプル。
  • 日に当たらないような行動パターンをとる
  • 日焼け止めをまめに毎日塗る
の2つです。

こう書いてしまうと元も子もないようですが、屋外か屋内かに限らず、まずは浴びる紫外線量を減らすことが一番。屋外なら、日が当たる側の道路を歩くのを避ける、待機するときには日陰を見つけるようにする、屋内でも日の当たる窓際に座るのは避ける、といった行動パターンを身につけることで、日光に当たる時間を減らすことができます。私自身もそうですが、日光にあたることによる皮膚への悪影響を理解し、それを避ける行動をとっていると、不思議と意識しなくても自然にできるようになってきます。

曇りの日や室内でも、「UVA」という波長が長い方の紫外線は雲や窓ガラスを透過して入ってきますので、気をつけて下さい。春から夏にかけてのほうが紫外線は強いですが、冬にも紫外線は降り注いでいます。場所や季節に関わらず、紫外線対策を行いましょう。

日焼け

若い頃に受けた紫外線によるダメージは、のちのちシミやシワとなり老け顔の原因となる。若い頃からの日焼け止め対策が皮膚の老化を防ぐ。


日焼け対策を徹底していて、本当に肌が白く、シミ一つない友人がいます。彼女の秘訣は、夏は昼間はできるだけ外出しない、遮光のカーテンで室内の日光を遮断する、日焼け止めは必ず毎日マメに塗る、というものです。ここまで徹底するのは難しいですが、肌の色や肌質にいかに日光を防ぐことが大事かということを物語っています。

紫外線予防

季節、天気、屋内外を問わず徹底した日焼け対策を行うことで、紫外線の皮膚への影響を和らげられる



紫外線吸収材は危険なのか? 日焼け止めの成分の見方

日焼け止めの成分表を見ると、数十の成分がリストされていて何が含まれているのかよくわからない、と感じる人も多いようです。多くの日焼け止めには紫外線を抑える成分以外にも抗酸化作用のある植物エキス、保湿の成分、香料、などが含まれているため、複雑に見えてしまいますが、基本を押さえれば難しくはありません。

日焼け止めの紫外線をブロックする有効成分には
  • 紫外線吸収剤
  • 紫外線散乱剤
の2つがあります。

紫外線吸収剤には化学合成される物質が使われていて、紫外線を吸収することで日焼けをブロックします。いくつかの化合物が組み合わせて使われており、それによりUVAとUVBの両者を効果的にブロックしています。

一方、紫外線散乱剤は酸化チタン、酸化亜鉛の2つが代表的です。紫外線散乱剤は体に吸収されないので、かぶれを起こしにくいとされています。

吸収剤と散乱剤の両者を含んだ製品が多いですが、散乱剤のみが有効成分の日焼け止めは「ノンケミカル」と書かれていることが多く、お子さんや敏感肌の方にすすめています。

日焼け止めの選び方

紫外線散乱剤のみが有効成分の「ノンケミカル」の日焼け止めは肌に優しいとされているが、各製品によって成分は異なる。自分にあった、赤みやニキビの原因にならない日焼け止めを選びましょう。


ちなみに日焼け止めを塗った後に白く見えるのは、この散乱剤が光を反射するからです。最近の日焼け止めは散乱剤を用いた場合でもなるべく白く見えないよう工夫されているので、あまり気にせず使える場合が多いです。

皮膚科に行くと、湿疹が起きやすい敏感肌や小児の場合には散乱剤のみが含まれている日焼け止めが勧められることが多いです。では吸収剤は敏感肌や小児にはよくない成分なのでしょうか? 実は、紫外線吸収剤が皮膚に害を与えるという決定的な証拠はありません。吸収剤は散乱剤よりもかぶれやすいとされていますが、実際にかぶれが起こる可能性は低いです。私自身、10年近くさまざまな皮膚トラブルを診療してきましたが、日焼け止めでかぶれたケースには出会ったことが未だにありません。

また、わずかに皮膚から吸収された紫外線吸収剤が体の中のホルモンバランスを乱すのではないか、という心配もあるようですが、現在のところこれをはっきりと示すデータも見つかっていません。

お子さんや湿疹ができやすい体質の方には、私も散乱剤のみを含んだ「ノンケミカル」の日焼け止めを一般的には勧めています。ただし、気に入った製品がありそれで問題が起きなければ神経質に吸収剤を避ける必要はない、というのが私の見解です。吸収剤と散乱剤を組み合わせた製品のほうが日焼け止めとしての効果は高い、というのが日焼け止めを使ってきた今までの経験からの印象です。

日焼け止めの選び方

日にさらされる顔の皮膚とそうではない背中の皮膚を顕微鏡で見て比べると、光老化により顔の皮膚は20年分歳をとって見えるという報告があります。日光によるダメージをいかに防ぐかが非常に重要です。主な対策法が日焼け止めの使用です。

日焼け止めを理解するには、まず紫外線の種類を理解する必要があります。紫外線には波長の長いUVAと波長の短いUVBの二種類があります。どの日焼け止めがいいですか?とよく患者さんには尋ねられますが、これから述べる基準を満たしてUVAとUVBの両者を効果的にブロックできるのであれば、使い心地がよく、毎日使えるものを選べば大丈夫です。個人により日焼け止めのタイプ(クリーム、ローション、スプレー)やテクスチャーの好き嫌いがありますので、毎日自分が塗りやすいタイプのものを選び、とにかくマメに塗るというのが一番大切なことです。

保湿剤や化粧品に含まれていて塗り心地のいいものもありますので、そのような製品を選んでいただいてもかまいません。

■UVBとSPF
UVBは皮膚の浅いところまでしか届かず、赤くなる日焼けの原因になります。夏に海水浴に行って真っ赤になるのは、このUVBへの当たりすぎが原因です。このUVBに対する日焼け止めの効果を表したのが、SPF(sun protection factor)です。15~100程度の数値がつけられており、どの日焼け止めでもまずパッケージの一番目立つところにSPFの数値が書かれています。

SPFの数値は皮膚が赤くなるまでの時間を何倍まで、日焼け止めを塗ることで伸ばせるか、というものです。皮膚科では30以上あれば十分としています。SPF15でも93%、SPF30でも97%のUVBをブロックすることができるので、これ以上数値が高くても紫外線を劇的に防げるようになることはないからです。

日焼け対策としてSPFを上げるよりは日焼け止めを頻繁に塗ってあげることが大事です。汗などにより日焼け止めはとれてしまうので、皮膚科ですすめているのは2時間おきに塗り直すことです。2時間おきというのは難しい場合もありますが、海水浴やプール、スポーツで日に焼けやすい時には特に休憩ごとにまめにぬりましょう。

■UVAとPA
UVAはUVBよりも皮膚の奥、真皮まで届き、皮膚の老化に関与します。UVAに対する日焼け止めの効果はPA(protection grade of UVA)のあとの+(プラス)の数で区別されています。+の数はPA+~PA++++までありますが、+が多いほどUVAを防御する効果が上がります。SPFほど明確な基準はありませんが、PA+++以上のものを選べば安心です。

SPFは世界的に用いられていますが、PAはそうではなく、アメリカではBroad Spectrum(UVAとUVB両者に効果がある)と書かれているのみで、数値化はされていません。

■ウォータープルーフ

スポーツや海水浴のときであれば、水で落ちにくいウォータープルーフがしっかりしたものを選びましょう。一方でウォータープルーフが強いと洗っても落ちにくくベトついた感触になりますので、普段使いにはサラッとしたものの方が使いやすいです。

日焼け止め

海水浴やスポーツの時には水や汗で落ちにくい日焼け止めを、普段使いには塗り心地がよく毎日塗りたくなる日焼け止めを、と塗り分けることができる


かぶれやボツボツが出たら日焼け止めの変更を

日焼け止めの有効成分以外にも、植物エキスや美白成分といった、それをサポートするような成分が多くの製品に含まれています。人によってはこれが合わず、かぶれやニキビの原因になることがあります。肌が赤くなった、日焼け止めを始めてから肌の調子が悪い、というような症状が出た場合には、ほかの日焼け止めに変えましょう。会社が同じだと成分が似ていることが多いので、製造者が異なる日焼け止めに変更したほうがリスクは下がります。

私自身も植物エキスが含まれていることで有名なメーカーの製品を以前使ったことがありましたが、赤みが出たり、ニキビができるようになってしまいました。他社製の日焼け止めに変更したら肌の調子が元に戻った、という経験があります。

日焼け止めの効果的な塗り方

■2時間おきに塗る
日焼け止めは汗でとれてしまいますし、一部の成分は日差しを浴びると効果が失われていきます。皮膚科医は2時間おきに日焼け止めを塗り直すことを推奨しています。外出時は家を出る時だけでなく、合間をみて塗り直すようにしましょう。

■一度に使う量は多めに
塗る量が少なく、塗りムラがあると、その部分には日光を防御する効果を発揮できません。全体に行き渡るように一度塗り、さらにもう一度重ねて塗ってあげると十分な量を塗ることができます。最近の日焼け止めは白くならないように工夫されているものが多く、塗った後の色もそれほど気になりません。

また、擦りこむように肌をこすると、肌荒れを起こすことがあります。日焼け止めを肌に置くように、軽く伸ばしてあげましょう。

■忘れやすい部位にも
顔の中でも日焼け止めを塗り忘れやすいのがです。耳は皮膚ガンのできやすい部位です。髪の短い男性では特に注意して塗るようにしましょう。また、唇用のリップスティックに日焼け止めが含まれた製品がありますので、唇の日焼けにも気をつけてあげましょう。


子どもはいつから日焼け止めを使える?

子どもにはいつから日焼け止めを塗っていいのですか?という質問を受けることも多いですが、生後6ヶ月以上であれば問題ない、というのがアメリカの皮膚科学会が出している答えです。アメリカの日焼け止めにはほぼすべてにこの記載がされています。6ヶ月未満のお子さんではできるだけ直射日光を浴びないように、日陰を作ってあげるようにして日焼けを予防しましょう。

子ども

生後6ヶ月以降は子どもにも日焼け止めが使える。日陰を作ることも大事。



飲む日焼け止めの効果はどうなの?

「ヘリオケア」という製品を聞いたことがある方もいるかと思います。こちらは飲む日焼け止めで、Polypodium leucotomosという南米原産のシダ植物の抽出液が含まれています。こちらは南米では長年使われてきた天然の成分ですので、安全性は確立されています。

クリニックやインターネットで販売されていますので手に入りやすいです。アメリカでもAmazon.comで購入することができます。私自身も飲んでいた時期がありますが、カプセルを外出前に服用するだけなので非常に簡便です。ただし、SPFで言うと一桁程度の効果しかないと言われていますので、ヘリオケアだけに頼ると紫外線対策として不十分です。塗る日焼け止めと併用するようにしましょう。

ヘリオケア

ヘリオケアのカプセル。これだけでは日焼け止めの効果は不十分で、ぬり薬も併用する必要がある。



また、最近ではこの成分が入った飲料も開発されていて、日焼け止めドリンクをサンプルとして飲んだことがあります。味は苦くてイマイチでしたが、今後味が改良されて市場に出てくるかもしれません。


日焼けのダメージは改善できる?

紫外線による皮膚へのダメージ・老化の影響を防ぐのに一番有効な方法は予防です。つまり、日に当たらないような行動をとることと、日焼け止めをしっかり使うことです。それでは、一度起こってしまった光老化をやわらげる方法はあるのでしょうか?

トレチノインというビタミンAに類似したレチノイドと呼ばれるグループに属するぬり薬には皮膚の光老化を改善する効果が報告されています。トレチノインはシミやシワに効くため、美容クリニックで自費処方されています。また、ニキビにも効果があるので、日本では認可されていませんが、アメリカでは処方薬として保険適応になっています。

また、IPL(intense pulsed light、フォト治療)にも最近では日光のダメージを改善するというデータが出てきています。IPLは茶色や赤色のシミを治療するのに元々使われてきましたが、熱を発生させるため、真皮のコラーゲンを再生させて若々しい皮膚にする、タイトニングの効果があります。実際に、IPLを長年使ってきた方を見てきましたが、高齢になってもシワの少ない、ツルツルの皮膚になります。

まとめ

光老化を改善する方法があるとはいえ、日光を避け、日焼け止めをマメに使い予防することがより大切になります。紫外線のダメージによる皮膚への影響を防ぐには、若い頃からのケアが大切です。本記事を参考に、屋内や屋外、季節に限らず、紫外線対策をしっかりする習慣をつけましょう。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。