投資信託の評価額がマイナス2000万円。老後に向けてどう対処すれば……

含み損を抱え、どうする?

含み損を抱え、どうする?

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、これまで運用によりまとまった分配金を手にしていた50代のパートで働く女性。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんが今後についてアドバイスします。
※マネープランクリニックに相談したい方はコチラのリンクからご応募ください。(相談は無料になります)

■相談者
ふーさん(仮名)
女性/パート/59歳
北海道/持ち家・一戸建て

■家族構成
長女(30歳/パート)

■相談内容
最近の世界情勢、マイナス金利などにより、株価が下がり、毎月分配型の投資信託の元本のマイナスが著しく、不安です。今までは分配金を生活費として使用し、呑気に早期リタイアを考えていましたが、昨年度の分配金はすべて再投資しました。仕事については、一時、母親の介護のため辞め、母親が施設に入居後にまた働き始めましたが、病気や骨折のため、仕事は短時間のパート(週3日、1日3~4時間)しかできませんでした。現在のパート先は現在試用期間中ですが、3ヵ月後からは週30時間の勤務にしてもらい、社会保障、保険、年金を65歳まで付けてもらう予定です。現在、受け取る年金額は6万円切るくらいですが、いくら増えるのか、それがどの程度、老後を支えるのか心配です。

■家計収支データ
「ふー」さんの家計収支データ

「ふー」さんの家計収支データ




■家計収支データ補足
(1)投資資金の原資と手持ちのファンドについて
母からの相続と、金利がいい時代の一時払養老保険と郵便局の定期預金、あとはコツコツと貯めた貯蓄が原資。4.5000万円程度が元金。評価額の下落と生活費のための取り崩しで大きく減った。

(2)加入保険の内訳
・本人/医療保険(終身タイプ、入院5000円)=保険料5176円
・本人/がん保険(保険期間65歳まで、入院8500円)=保険料2067円
・本人/終身年金付き医療保険(終身年金/65歳支給開始月額6120円、入院2500円/80歳まで)=保険料払い済み
・長女/医療保険(終身タイプ、入院5000円、健康祝い金付き)=毎月の保険料5135円

(3)今後の働き方
パートが週30時間になったら手取額は9万~10万円 ほど。

(4)リフォームローンについて
2014年から28年間。ただし、ローン名義は相談者本人ではない。

■FP深野康彦からの3つのアドバイス
アドバイス1 65歳から資産を取り崩すことにはリスクあり
アドバイス2 少しでも長く収入を得ていく
アドバイス3 投信は分配金の高い順に売却していく

アドバイス1 65歳から資産を取り崩すことにはリスクあり

ご相談の主旨は今後、老後にどう備えていくかということですが、まずは家計収支を見ていきます。

パート収入は現在6万円ですが、今後は勤務時間を延長して9万~10万円になるとのこと。娘さんからの生活資金3万円を加えれば、とりあえず収支は赤字にならずに済みます。問題は、投資信託による分配金をどう考えるかですが、これは後ほど触れます。

次に公的年金ですが、詳しいデータがないので大まかな試算しかできませんが、今から65歳まで厚生年金に加入した場合、手にする公的年金は月額にして数千円増額する程度。現時点での年金額が6万円弱だとすれば、新たに加入後は多くて6万5000円ほどだと思います。それでも増えるのですから、そこはプラスに考えましょう。

それを踏まえて、どの程度老後資金を備えておけばいいでしょうか。
老後の生活費が現在と同じなら月に約12万円ですから、不足分は5万5000円ほど。そのうち、終身年金付き医療保険から毎月6120円支給されるので、実際の不足分は5万円弱になります。65歳から90歳まで、25年間で1500万円。現在の資産が貯蓄1000万円に投資商品が評価額2000万円ですから、計3000万円。数字だけで判断すれば十分足りることになりますが、先の生活費は健康で大きな支出がないことが前提となっています。実際は、病気のリスクや長生きのリスクなどがありますから、65歳から取り崩し始めるとすると、金額として多少不安も抱えていると言えるでしょう。

アドバイス2 少しでも長く収入を得ていく

ではどうすべきか。現実的な対処法としては、貯蓄の取り崩しをなるべく先に延ばすこと。できれば70歳まで手を付けない。その結果、公的年金による老後資金の不足額は1200万円となり、先の試算よりも300万円抑えることができます。

ただし、70歳まで取り崩さないということは、その年齢まで収入を得るということを意味します。現在の職場で働くことが可能かどうか。もし、無理なら別のパートでも構いません。もちろん、体力的にきびしい面もあるでしょう。収入が下がるのも仕方がありません。それでも1年でも半年でも長く収入を得ることが、効果的な老後対策となることを理解しておいてください。

もうひとつ、老後対策のポイントは家計の見直しです。支出が下がれば、その分、貯蓄に回すことができます。

最初に見直すべきは保険です。保険料払い済みの終身年金付き医療保険に加入していますから、もう1本の医療保険は不要、つまり解約していいと思います。おそらく入院給付が不足と考えてのことでしょうが、入院そのものが年々短期化していますし、保険でカバーできない医療費は、それこそ貯蓄から捻出すれば済むことです。浮いた保険料を貯蓄する方が合理的と言えます。

また、娘さんが被保険者となっている医療保険の保険料は、娘さん自身に支払ってもらいましょう。医療保障が必要かどうかも、本来なら娘さんが判断すべきです。結果、これで毎月1万円、保険料コストが軽減されます。

さらに言えば、毎月の生活費が本当にこの金額(固定資産税等、月割りにして加算)で収まっているのか、再度点検しておくといいでしょう。交際費や冠婚葬祭費のような不定期な支出が、思っている以上にかかっているかもしれません。

アドバイス3 投信は分配金の高い順に売却していく

最後に、投資信託の分配金について触れます。データに書かれてあるとおり昨年の実績で年間400万円(税引き前か後かは不明のため考慮せず)とすれば、手取り月収約33万円に相当しますから、現在の生活費はもちろん、これが継続されれば老後資金もほぼ心配は不要ということになります。

ただし、ご存知だと思いますが、分配金は預金の利息とは異なります。毎月分配型の投資信託は、元本を割っている利益のない状態でも分配金(特別分配金)を出します。それは自分たちの投資資金を切り崩しているだけですから、資産が増えているわけではありません。基準価額を大きく下回れば、実質マイナスになっているケースも当然あるわけです。

ご相談者の場合も、ピーク時より2000万円も目減りしているとのことですから、そこに生活費の取り崩し分が含まれていたとしても、現状では、受け取った分配金がそのまま資産の増額にはなっていないことは明らかです。

したがって、基本的には資産に占める投資の割合を下げ、投資リスクそのものを減らしていくことが大切となります。現在、貯蓄商品の倍の額が投資に回っていますが、少なくとも割合を逆転させたい。そのためにも、手持ちの投資信託を売却していくわけですが、順番としては「分配金の多いファンド」を優先させてください。分配金が大きいほど、商品自体の元本割れが大きい可能性が高いからです。

もうひとつ、老後のリスクとして気になるのが、リフォームローン。名義はご相談者本人ではないということですが、あくまでご自身で返済していくなら、85歳まで(完済26年後)ローンを背負うというのは、将来的に大きな家計負担となります。理想としては、65歳以降の完全リタイアするタイミングで、繰上返済で完済しておくといいでしょう。

教えてくれたのは……
深野 康彦さん

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業界歴26年目のベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。

取材・文/清水京武 イラスト/モリナガ・ヨウ




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