3列シートのミニバンは広い室内空間を確保できる
2015年式ステップワゴン
「走る家」のようなキャンピングカーがあれば、いざというときにも不自由はしませんが、普通の家庭が所有するのはなかなか難しい話。日常の足として扱いやすく、非常時には家族が過ごす空間として使えるのは「3列シートのミニバン」です。子どもなら車内で立ったまま着替えができ、セダンタイプやコンパクトカーよりは圧迫感なく過ごせます。
ミニバンで車中泊となると、多くの人がシートをすべて倒す「フルフラットアレンジ」を想像するはずです。
アルファード最新モデルのシートアレンジ
2007年式ステップワゴンのシートアレンジ
ここ10年くらいに発売された3列シートミニバンであれば、ほとんどの車種でこのように1列目から3列目を使って、フラットな空間を作ることができます。
こうすれば大人でも身体を伸ばせますが、クルマのシートだけでは水平な床面を作り出すことは難しく、寝転がる面にはだいたい凹凸ができます。そこに寝ると、場所によっては胴体よりも頭が下がってしまうこともあるので、身体の硬い大人は熟睡できず、次の日に筋肉痛が起こり、疲れは十分に取れません。あくまでも数時間の仮眠用、もしくは日中を過ごすスペースと考える方が良いでしょう。
後部シートを格納するアレンジができるか?
身体に負担をかけず熟睡するには、水平な床にマットなどの柔らかいものを敷いて寝るのがベストです。そこでチェックしたいのは「クルマの床面を水平にして寝られるモードにできるか?」
2010年式 ホンダ「フリード」(キャンプ用の純正オプション付き)
2010年式 ホンダ「フリード」3列目を格納したシートアレンジ
このように、床面がフラットな荷室スペースに寝ると、身体を水平に保てるため、より自然な姿勢で寝られます。
クルマの展示場や販売店へはメジャー持参で行くことをお勧めします。背の高い家族が車内で足を伸ばして横になれる空間を、何センチ確保できるか測るため。「身長何センチまで車内で横になれます」とはカタログに載っていません。
また、実際にクルマを見に行き、シートの動かし方を質問すれば、店のスタッフが教えてくれるので、一通りやってもらうのが良いでしょう。実際に車内で寝てみれば、どれだけいつもと違う寝心地かも体験できます。クルマ屋さんでは遠慮は必要ありません。見るだけではクルマの本当の使い勝手はわからないのですから。
とはいえ、たとえ一泊でも車中泊は身体に負担がかかるため、体調に自信のない人にはあまりおすすめしたくありません。どんなに快適なクルマでもエコノミークラス症候群などの原因となる可能性はあるので注意が必要です。しかし同時に、緊急時にはプライバシーを確保する手段として、時には命をつなぐ手段としてもクルマは大いに活用できるもの。
「非常時に役に立つかどうか?」
これも、これからのクルマ選びの大きな基準になっていくかもしれません。