震度から火災発生確率、停電日数なども分かる:「あなたのまちの直下型地震」
2016年3月にリリースされた京都大学防災研究所巨大災害研究センターが作った「あなたのまちの直下型地震」は、文科省の「都市災害プロジェクト」の一環として作られたシミュレーションマップ。震源地や規模、発生する季節や時間帯を設定し、その場合に想定される震度や被害状況、ライフラインの復旧状況などをシミュレーション、図化して見せてくれるというものだ。
設定をすると震度、建物の倒壊確率、火災発生確率、死亡確率、停電日数、ガス停止日数、断水日数、下水道支障日数が順々に計算され、地図で示されていくのだが、最後に自分が知りたい場所のそうした情報を知ることができるようになっているのがポイント。地図上でのクリックで場所を指定するようになっているので、自分の家のある地点を指定すれば震度はもちろん、被災後の生活状況まで想定できる。
首都圏については関東直下北西縁断層帯地震、立川断層帯地震、伊勢原断層帯地震など18の震源が用意されており、どこで起きるかで被害の様相が変わることも理解できる。想定される巨大地震を選択するだけでなく、自分で任意の場所と深さに震源を設定、同様のシミュレーションを地図上に表示することもできる。
ただ、ひとつずつシミュレーション作業を行っているためか、作動はやや遅い。いらいらしないで調べてみよう。
ちなみに東京大学でも「あなたの街と首都直下地震」というアプリを開発しており、こちらも住所を入れるとその地点の都心東部直下で地震が起きた際の震度、建物倒壊危険度などが表示される。
自然災害リスクをワンクリックで確認:「地形分類図」
国土地理院の「地形分類図」も2016年3月に新たな形式でリリースされ、一気に使いやすくなった。かつて川や沼だった場所で液状化が起こりやすいなど地形と自然災害は密接な関係があり、それが住所を入力するだけで調べられるようになっているのだ。入力して示された場所をクリックすると、どのような場所なのかを説明する文章が立ち上がるので、地形その他の知識がない人でも容易に理解できる。
また、国土地理院のウェブ地図「地理院地図」では地形分類図以外にも空中写真や衛星画像、明治時代の低湿地や土地条件図などの主題地図なども見ることができる。
過去と現在の地図を並べて危険を知る:「今昔マップon the web」
土地の過去が分かれば、危険も分かる。昔、池だった場所なら地盤は弱いだろうし、昔あった崖が無くなっていれば大幅な造成が行われたことが分かる。だが、古い地図は慣れていないと鉄道路線が入っていない、道路の位置が現在と異なる、表記が左右逆など様々な要因から読みにくい。
埼玉大学の谷謙二准教授が作った「今昔マップon the web」なら、過去と現在の地図を並べて表示でき、かつ古い地図の上に載せたカーソルが現在の地図上にも出るので、地点を特定しやすくなっている。さらに古い地図と現在の地図が連動して動く。誰でも土地の過去を知ることができるわけだ。2枚並べるだけでなく、最近では4枚一度に見られるようにもなっている。
このソフトで見られるのは首都圏だけでなく、中京圏、京阪神圏、札幌、仙台、広島、福岡・北九州、岩手県・宮城県・福島県の海岸部など全国11地域。年代としては、明治から現在まで。収録されている旧版地形図は2511枚に及ぶ。主要都市なら大体見られると思って良いだろう。
この地図を使うなら、地形だけではなく、地名の変遷も見ておきたいところ。広島で起きた土砂災害の際、災害地名が変更されていたことが分かったが、元々の地名を知ることで見えてくるものもあるのだ。
我が家の耐震性能を推測する:「誰でもできる我が家の耐震診断」
地盤、土地の危険を調べたら、次は建物について調べよう。国土交通省住宅局が監修した「誰でもできる我が家の耐震診断」は地震で危険度が高い木造住宅が対象。築年数から始まり、増改築の有無や窓の位置、建物の形状などについての質問に次々に答えていくと簡単ながら診断結果が出るというもの。各質問の意味についての説明も出るので、家を建てようと思っている人にも参考になるはずだ。
築年数を知る:「HOME'S不動産アーカイブ」
築年数によって耐震基準が異なり、それが災害時の被害を左右することがある。特に昭和56年の新耐震基準以前の建物は危険が高いと言われる。だとしたら、我が家の築年数は必ず知っておきたいものだが、賃貸なので記憶していない、分からないということもあるかもしれない。また、自分の家なら契約書を見れば分かるはずだが、周囲に古い建物があって倒壊が心配、
こうしたことを知っておきたい時に重宝するのが「HOME'S不動産アーカイブ」。分譲物件だけでなく、賃貸アパートまで含め、これまで取引のあった不動産が網羅されており、その量はかなりのもの。我が家に影響を与えそうなエリア、逃げ道になる通り沿いなど気になる建物があったら調べてみよう。ただし、自己所有の一戸建てのように取引履歴がない物件は当たり前だが調べられない。
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