オデッセイに追加されたハイブリッドが人気
2016年2月に一部改良を受けたホンダ・オデッセイ。最大の目玉は待望のハイブリッドモデルの追加で、最高値で26.0km/Lとなるカタログ燃費をはじめ、「SPORT HYBRID(スポーツ ハイブリッド)i-MMD」による滑らかな加速と力強い走りなどが高く評価され、発売1カ月で9000台超を受注。そのうちハイブリッドモデルが72%を占めているそうだ。
最大のライバルはトヨタ・エスティマだろうが、現行型は2006年登場と基本設計は古く、ハイブリッドの燃費は18.0km/Lにとどまる。ほかにも車格的にはヴォクシー/ノアよりも少し上位的な内・外装となっているエスクァイアがあり、こちらのハイブリッドは23.8km/Lとオデッセイ・ハイブリッドほどではないが、ミニバンとしては十分に満足できる数値といえるだろう。
燃費だけでなく乗り心地の良さも美点
7/8人乗りで、排気量1.8L以上のクラス、全高1600mm以上のミニバンでクラストップの燃費を誇るホンダ・オデッセイ・ハイブリッド。乗ってみるとその魅力は燃費だけではないことが分かる。最も驚かされたのは乗り心地の良さ。
大きな凹凸を乗り越える際は、ハイブリッド化による重さをわずかに感じさせる動きだが、非常にスムーズで滑らかに動くサスペンション、そして十分なボディ剛性感による上質さは、高級ミニバンにふさわしいもので、率直に言って想像以上といえる仕上がりだ。
乗って分かったのは、ホンダがターゲットに据えたのは古参モデルのトヨタ・エスティマではなく、トヨタが誇るヴェルファイア/アルファードという最上級ミニバンではないのだろうか?という強烈な印象。実際に乗り味は、ヴェルファイア/アルファードと遜色ない。
オデッセイ・ハイブリッドのスムーズかつパワフルな走り
2.0LのDOHC i-VTECエンジンにモーターを組み合わせるスポーツハイブリッドの「i-MMD」は、エンジンが145ps/6200rpm、175Nm/4000rpm、モーターが135kW(184ps)/5000-6000rpm、315Nm/0-2000rpmというスペックで、山岳路から高速道路まで4人乗車でも動力性能に不足は感じさせない。停止時からの発進は、バッテリー残量があればだが、街中などではモーター走行でまかなえる領域も結構広い印象で、加速時にはエンジンが始動することで、ターボ的な加速フィールで速度を乗せていく。
EV走行は低・中速域で負荷が低いシーンが中心だが、エンジン始動時の音や振動も抑えられているし、ほかの要因のノイズによってかき消されることもあってほとんど気にならない。乗り心地だけでなく静粛性の高さもオデッセイ・ハイブリッドの魅力だ。
居住性や積載性に関してもハイブリッド化のネガは感じさせない。嵩張る駆動用バッテリーは1列目床下に配置されているため、2列目、3列目はもちろん、1列目の座り心地も違和感を抱かせない。また、PCU(パワーコントロールユニット)もエンジンルーム内に収まっていることもあり、サードシートの床下格納などもガソリン仕様と同等だ。
左右一体式で床下格納のサードシートは利点も欠点もあり
ただし、久しぶりにじっくりとオデッセイと過ごしてみてサードシートの床下格納は再考の時期に来ているように思えた。荷物が積んでいる場合は一度車外に下ろしてからサードシートを床下に格納する必要があるし、サードシートは分割式ではなく一体式であるため、3列目を格納すると5人までしか乗れなくなってしまう。
普段は3列目を格納しっぱなしでステーションワゴン的に使うのであれば、いまも左右一体式の床下格納型も「アリ」だが、ある程度の頻度で3列目にも乗車するなら、ほかのメーカーが採用する左右分割式で跳ね上げタイプの利点を感じさせる。3列目が非常用程度の広さなら仕方ないが、大人でも短時間なら実用になる広さを備えているからなおさらだ。
オデッセイ・ハイブリッドの実燃費は?
さて、オデッセイ・ハイブリッドの気になる実燃費は、約280km走行して16.5km/Lだった。そのうち約6割が高速道路、約4割が市街地、山岳路などだったが、とくにエコランすることもなく、ときには6人乗車も試し、10km超の渋滞にも遭遇したことを考えると十二分に納得できるレベルだろう。
オデッセイ・ハイブリッドの魅力は、燃費だけでなく力強くスムーズな走りや上質な乗り心地、ガソリン仕様と遜色のない居住性や積載性など数多くある。
356万円~というのがハイブリッドモデルのエントリー価格だが、少なくても乗り味の面では十分に対抗できるヴェルファイア/アルファードのハイブリッドモデル(411万3818円~)よりも割安感もある。大型ミニバンでハイブリッドをお探しなら(選択肢はそもそも多くはないが)候補の筆頭にしてもいいだろう。