朝起きられずにまた遅刻……怠け心ではなく、これは病気?

夜更かし 朝寝坊

ひどい夜型の生活は、病気のせいかもしれません

会社で事務職をしているAさんは、朝、起きられないことを悩んで、睡眠外来を受診されました。

Aさんの会社の始業時刻は10時と比較的遅いのですが、それでもギリギリまで起きられないのだといいます。目覚まし時計や携帯電話のアラームだけでは起きられず、社会人になってからも毎朝、お母さんに何度も声をかけてもらい、やっと起きられる状態。家族の助けを借りていても、身支度も間に合わないこともあり、遅刻してしまうこともあるそうです。

会社についても午前中はとても眠く、仕事の能率はあがりません。つまらないミスをしたり、居眠りをしてしまったり……。でも午後はだんだん調子が出てきて、夕方以降は絶好調に。そして夜はなかなか眠くならず、時には明け方まで眠れないことも……。「もっと早くに眠って、朝もスッキリ起きたい!」と、早い時間にベッドに入っても、結局眠気は訪れないのだと言います。

聞いてみると、Aさんは昔から朝が苦手で、お母さんに何度も起こされてやっと布団から出るのは子どものころから変わらないとのことでした。半分眠りながら登校し、遅刻することもよくあったそうです。

こんなAさんは、単に根性が足りないだけなのでしょうか? それとも何かの睡眠障害なのでしょうか?

睡眠の時間帯がずれている病気

入眠障害undefinedリズム障害

不眠所や過眠症と思っている人の中に、睡眠リズム障害の方がいます

朝、起きたい時刻に起きられない状態を「起床障害」といます。起床障害がひどくて、会社や学校に間に合わず、社会生活に支障が出るなら問題です。起床障害の原因はいろいろあります。詳しくは、不眠・睡眠障害サイトの記事「起床障害の原因と対策」をご覧ください。

起床障害に加えて、夜中過ぎや早朝まで眠れない人は、「むずむず脚症候群」や「周期性四肢運動障害」、「睡眠相後退症候群」などの病気の可能性があります。むずむず脚症候群や周期性四肢運動障害は、脚の違和感や意図しない動きのために眠れない病気です。これらはなんとか眠っても、眠りが浅い傾向があり、長時間眠ってもまだ寝足りない気がします。

一方、睡眠相後退症候群は、眠る時間帯が後ろにずれている病気です。遅い時刻まで眠れず、朝も遅い時刻にならないと起きられませんが、睡眠中には大きな問題はありません。休日などで自分が眠りたいだけ眠れば、スッキリ目覚めて熟睡感もあります。睡眠相後退症候群は、体内時計が普通の人より遅いほうにずれているだけで、会社や学校がなくて好きな時間に寝起きできれば、まったく問題なく生活できます。

これらのことを考えると、Aさんは「睡眠相後退症候群」と思われます。

朝起きれないなら早く眠ればよいのか?

居眠りundefined仮眠

無理に早く起きても、体がもちません

夜遅くまで眠れない人がやりがちな間違いに、「早い時間に寝ようとする」ことが挙げられます。眠くなってきたタイミングで布団に入るのはよいことですが、眠くもないのにいつもの就寝時刻より早く布団に入っても、眠れないのは当然です。いつも眠りにつく時刻の2~4時間前は体温が高い時間帯で、特に眠りにくいので「睡眠禁止帯」という名前がついているほどです。

無理に思いっきり早く起きようとするのも、失敗の元。数日うまくいったとしても、体に負担がかかって長続きしません。遅い時間に固定されている体内時計は、そう簡単には早い時間に巻き戻されないからです。

睡眠時間帯を早いほうにずらしていくこと自体は、とてもよいことです。睡眠障害専門の医療機関でも行われていて、「時間療法」と呼ばれています。ですが、無理は禁物。やるなら、起床時刻を10~20分早くして、就寝時刻を同じだけ早くします。休日もこのパターンを守ります。1週間~10日ほどで体が慣れたら、さらに少しずつ時刻を早めていきます。

成功の鍵は「光のコントロール」

ブルーライト

ブルーライトは、目への悪影響もあります

言葉で書くと時間療法は簡単そうですが、実際には難しく、挫折する人は少なくありません。そのため、少し工夫が必要です。成功に導くキーワードは「光」です。

目覚めてから強い光を浴びると、体内時計が巻き戻されて、早寝早起きしやすくなります。さらに、夜の間にたくさん分泌されていた睡眠ホルモン・メラトニンが減るので、眠気が早く引きます。

これを利用して、目覚めたらすぐ照明をつけてカーテンを開け、窓際で日光を浴びながらしばらく過ごしましょう。ボーッとしている必要はないので、朝の準備をしながらでかまいません。外に出て散歩などすると、さらに効果的です。明るい光を浴びられる「光療法器」も、ネットショップなどで買えます。

日中もなるべく、明るい場所で過ごしましょう。ついでに体もしっかり動かすと、夜の眠気を高めてくれます。

逆に夕方以降は、明るい光を浴びないようにします。明るい光や青い光を見ると、脳が「朝になった」と勘違いしてしまうので、睡眠ホルモン・メラトニンが減り、体内時計も夜更かし・朝寝坊の方向にずれてしまいます。

夜になったらコンビニエンスストアなどの明るい場所は避け、自宅でも少し照明を落としたり、暖色系の光のもとで過ごしたりしましょう。寝床につく予定時刻の1時間前になったら、テレビやビデオ、パソコン、モバイル末端、ゲーム機、スマートフォンを切ってください。これらの画面から出るブルーライトが、眠気を減らしてしまうからです。

睡眠薬に頼りすぎるのはNG! サプリメントを飲むなら

メラトニン

メラトニンは、飲むタイミングや量の調整に工夫が必要です

寝つきが悪いからといって、睡眠薬を飲んでもほとんど効果はありません。「睡眠薬は万能」と思っている方が多いのですが、眠くないときに睡眠薬を飲んでもほとんど効果はありません。逆に、「睡眠薬を飲んでも眠れない」という失敗体験がストレスとなり、ますます眠れなくなる可能性すらあります。

「メラトニン」には、体内時計をずらす効果があります。メラトニンの働きは光と逆で、朝~昼に飲むと夜更かしで朝寝坊になりやすく、午後~夜に飲むと早寝早起きしやすくなります。睡眠相後退症候群の方は、眠りたい時刻の1~2時間前、あるいは前の夜に寝ついた時刻の4~5時間前に、メラトニン1~3mgを飲むと、約4割の人に効果があります。

日本では、メラトニンは薬とみなされているので、薬局などでは買えません。サプリメントで飲みたいときは、輸入品を購入することになります。食材では、ケールやアメリカンチェリーに多く含まれています。

医療機関で処方する不眠症の治療薬に、「ロゼレム」というものがあります。これはメラトニンと同じ働き方をして、メラトニンの数倍の効果があります。ただし、日本の医療保険では不眠症の患者さんにしか使えないので、飲んでみたいときは主治医の先生とよく相談をしてみてください。

先に紹介した光療法は、ビタミンB12を多くとると効果的です。ビタミンB12が、神経の働きを良くしてくれるからです。食材ではシジミや赤貝などの貝類、イクラやスジコなどの魚卵類、レバー、海苔などにビタミンB12が多く含まれています。サプリメントとしても、いろいろなものが売られているので、夜眠れず、朝起きれずに悩んでいる人は試してみるのもよいかもしれません。

【関連サイト】
休み明けに多い「睡眠相後退症候群」とは?
現代型不眠と新しいタイプの睡眠薬「ロゼレム錠
五輪後遺症? 応援し過ぎて起こる睡眠障害


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