お金の悩みを解決!マネープランクリニック/共働き夫婦・DINKS家庭のお金の悩み相談

46歳貯金16万。結婚した夫が趣味のコレクションに散財(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、結婚2年目にして貯蓄がまったく貯まらないパート女性の方。ファイナンシャル・プランナーの井戸美枝さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 雑費を中心に見直し、月7万円の貯蓄を

ご相談はいろいろ複雑な要因が関係しているようですが、マネープランという観点から言えば、何であれ、まず足元の家計を見直し、貯蓄ができる家計を目指すことが先決となります。

たとえば、奥様が病気などでパートを2カ月休めば、それだけで貯蓄は底をつきます。もちろん、奥様は十分理解されていると思いますが、そのくらいリスクを抱えている状況なのです。

収入については、ご夫婦の年齢や奥様の体調を考えれば、今後アップしていくのは難しいでしょう。そうなると、支出を削るしかありませんが、住宅ローンも家賃もなく、お子さんもいない。それで世帯の手取り額が34万円であれば、家計の見直し余地はそれなりにあります。

最初に手を付けるべき費目は、雑費と使途不明金。まず、奥様が指摘されるとおり、ご主人の美容室や鍼灸の費用は原則、小遣いからの捻出とすべきです。結果的に、趣味のコレクションへの支出も減らさざるを得なくなります。

その代わりと言っては何ですが、奥様に関わる支出が雑費に含まれているなら、それもなるべく抑える、もしくは小遣いから出していきましょう。おやつは予算を決めてその範囲で。日用品も本当に必要かどうかを判断すること。また、義父所有のアパートの部屋も使っていないなら、まさに無駄そのもの。今日にでも契約を解除すべきです。


使途不明金については、その内容をまずは把握すること。全額削れるのであれば、それだけで月1万5000円が浮きます。雑費は全体から3割カットできれば、合わせて計5万円が貯蓄に上乗せできますから、月7万円の貯蓄が可能となります。年間84万円。まずはこのくらいを目標にしてみてください。
 

アドバイス2 家計改善は夫の協力なしには不可能

問題は、こういった家計の見直しは、その意味をご主人に理解させないと実現しないということ。ただ、簡単ではないでしょう。文面からは、危機感のないご主人に対するストレスが伝わってきます。

ご夫婦について、詳しいことは何も知りませんので、あくまで推測の域を出ませんが、ご主人は自分の資産(アパート)をあてにしていると同時に、奥様と奥様のご実家を頼っている部分があるのではないでしょうか。

現に、今のお住まいは奥様の親御さんが購入した物件で、しかもまだローンを支払っている。親が子を思う気持ちは当然だとしても、経済的支援には限界があります。間接的であれ、もしもご主人側の負債が及ぶことがあれば、奥様の親御さんの老後にも影響が出ます。

したがって、毅然とした態度で、ご主人に状況を説明し、理解してもらうしかありません。聞く耳を持たないなら、奥様も「それなりの覚悟がある」ことが伝わるくらいの真剣さが必要かもしれません。

家計の見直しは一人で頑張っても空回りするだけで、望む効果は得られません。家族が同じ方向を向くことが必須条件なのです。
 

アドバイス3 専門家の意見を聞き、現状を正しく認識

義父と弟さんに対する、今後の関係、付き合い方等は、FPの専門外のことですから、アドバイスはできませんが、今はとにかく、できることから進めていくということだと思います。

とくに相続については、義父の所有しているアパートが土地も含めてどのくらい価値があるのか、相続税はどの程度発生するのか。また、アパート経営をする場合、そのコストと期待できる家賃収入、さらにはご主人が描いている建て替えのプランの予算としていくら必要なのか。

相続等は税理士に、アパート経営はそれなりの専門業者に調べてもらうことで、まずは現状認識をしておくことが必要です。それをしておかなくては、奥様も心配ですし、今後のライフプランも先には進みません。義父に借金があるかどうかは、まずは本人にたずねるしかないのでは。

それと、心配されている公的年金ですが、現状では年金保険料の追納が可能でも資金的に無理があります。今できる老後対策は、とにかく無理のない範囲で家計支出を抑え、貯蓄ペースを高めること。先に示した年間84万円の貯蓄が可能なら、10年間で840万円。65歳まで働くとすれば、1000万円近くは貯められるはず。

大事なのは、それが足りるかどうかを心配するのではなく、その資金で老後をどう過ごすのか。それを考える方が建設的です。そして、元気なら70歳まで働く。長く働けるよう、日頃から健康管理に気を配る。漠然とした不安をずっと抱えているより、少しでも資金の上積みができるよう今から努力する方が、意味のある老後対策だと思います。

もちろん、言葉にするのは簡単ですが、実践するのは大変です。それでも、前進するしかありません。今回の応募をいいキッカケとして、とにかく可能なところから着手していきましょう。
 

相談者「トントン」さんから寄せられた感想

具体的な貯金目標金額をアドバイスしていただいて、やる気が出ました。夫にすぐに「趣味代を減らせ」と言うのは難しいので、夫婦で毎月7万円の貯金を共通の目標にし、「今月使える雑費はここまでだから協力して」等の言い方で協力してもらおうと思います。ありがとうございました。

教えてくれたのは……
井戸美枝さん
 
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All Aboutマネープラン・もらえるお金ガイド。ファイナンシャル・プランナー(CFP)、社会保険労務士、経済エッセイストとして幅広く活躍。社会保障審議会企業年金部会委員。マネープランや家計の見直し、家計がもらえるお金に詳しく、テレビや書籍、雑誌などでのアドバイスにも定評がある。『知らないと損をする 国からもらえるお金の本』『【図解】2015年度 介護保険の改正 早わかりガイド 』など、著書も多数。


取材・文/清水京武 イラスト/モリナガ・ヨウ

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