お金の悩みを解決!マネープランクリニック/教育費が準備できるか不安な子育て世代

39歳子ども2人、貯金600万円。大学費用は足りる?(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、教育費の準備に悩む30代の主婦の方。ファイナンシャル・プランナーの井戸美枝さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 大学費用はボーナスの貯蓄維持がポイント

まず、今後、教育費がどの程度発生するかを整理しておきましょう。
大学費用ですが、私立文系であれば大学にかかる平均費用(入学金、授業料など)は4年間でおよそ390万円、理系であれば520万円(※1)。首都圏にお住まいなので、自宅通学とすれば、事前に用意したいのは上記金額がひとつの目安となります。

ともに理系とすれば2人で1000万円。学資保険やその他、教育費目的の保険には加入されていませんので、貯蓄で用意することになります。児童手当分を財形貯蓄で貯められているので、児童手当の支給終了後も同額の積立を継続すれば、次男の方が18歳になるまでに約400万円が用意できます。

不足分600万円ですが、データにあるボーナスの使いみちから判断して、残りが貯蓄に回っているとすれば、それが年間60万円。10年間で600万円となりますから、大学費用は用意できることになります。心配されている奨学金も利用せずに済むでしょう。

ただし、あくまでボーナスからの貯蓄ペースが維持できれば、という条件付きです。支給額が今後増えることもあるでしょうが、減る可能性も否定できません。その場合、ボーナスからの支出を減らすことで、貯蓄分を確保する必要があります。そのことは絶えず意識しておいてください。
 

アドバイス2 私立高校進学なら定期預金を取り崩す

問題は高校から私立というケースです。

公立であれば、現在発生している教育費6万3000円を継続して計上していけば、2人のお子さんの高校費用は学校外のコスト(学習塾、その他習い事)を加えても家計から捻出できるはずです。

一方、私立に進学した場合、学校教育費に学校外の費用を加算すると、3年間の総額は約300万円(※2)。2人とも私立高校に進学すれば、上乗せ分として350万円前後が必要という計算になります。

これを捻出するには、定期預金を取り崩すということになります。次男の方が15歳になった時点で、定期預金は550万円ほどに増えていますので、金額的にはカバーできる範囲です。手持ち資金はそれなりに減りますが、それはある意味、仕方がないと考えるべきでしょう。

それに備えるために、収入アップという方策もあります。しかし、相談文にあるように、そのために奥様の収入アップが期待されるのであれば、それは奥様にはいささか酷な話だと思います。

もちろん、収入アップのため、正社員を目指すことについては大賛成です。ぜひトライしてほしいと思います。しかし、それが無理であっても落ち込む必要はありません。お子さん2人を育て、それで毎月パートで働き、月8万2000円の収入を得ている。それだけで十分立派です。そこは自信を持ってください。
 

アドバイス3 今が「貯めどき」だと認識しよう

家計管理から見ますと、収入アップを目指すと同時に、家計そのものを貯蓄体質にしていくことを考えては、と思います。理由は2つあります。ひとつは、今が「貯めどき」だということ。お子さんが公立の小中学校に通い、奥様がパートで働ける。この時期にどれだけ貯められるかで、今後が変わってきます。もうひとつは、家計を見直せばもう少し家計支出を抑えられるからです。

具体的に家計支出を見ていきましょう。まずは保険ですが、ご夫婦ともに加入されている医療保険は、ともに必要性は低いと思います。入院給付金が日額5000円。最大に活用しても、60日型なら30万円、120日型でも60万円が上限です。共済保険からも入院給付が出ますし、そもそも貯蓄でカバーできる額です。浮いた保険料を貯蓄に回せば、医療費にも当然使えます。

悩まれているご主人のがん保険については、心配であれば加入されてもいいでしょう。終身払いタイプ、入院1万円で保険料は4000円ほど。医療保険を解約し、ご主人の共済も解約すれば、それでも全体で月3000円程度、保険料コストが下がります。

自動車保険もやや割高な気がします。被保険者の等級でも違ってきますが、もし車両保険を付けているのなら、外してもいいのでは。他の保険会社にも見積りを取るなどして、検討してみてください。半分近くには減らせるかもしれません。

細かい点で言えば、日用品費や娯楽費など、削れるかもしれません。こういった費目は支出もつい甘くなりがち。ストレスにならない程度に見直してみてください。

あとは、奥様も気にされている食費。食べ盛りの男の子がいるご家庭で、奥様自身、「節約よりも食べたいものを食べたい」ということであれば、それをあえて変える必要はないと思います。

ただし、工夫の余地は残してください。たとえば、同じ食材でも、購入方法、購入先を変えることでより安価になることもあります。また、家計管理は限られた予算からの分配作業です。貯蓄がより必要になったら、優先する食費に代わって、他の支出を我慢しなくてはなりません。そのことは意識しておくことが大切です。

(※1)文部科学省「平成26年度私立大学に係る初年度学生納付金平均額調査」より
(※2)文部科学省「平成26年度子供の学習費調査」より
 

相談者「なのはな」さんから寄せられた感想

教育費の具体的な収支を示して頂き大変参考になりました。ボーナスからの貯蓄が重要になることを意識しながら、毎月の家計管理を今後も継続してしっかりと行っていきたいと思いました。

医療保険の必要性が低いという点はとても意外でした。夫と再度相談し決めていきたいと思います。自動車保険は車両保険もつけていますので高くなっていますのでこちらも再検討します。食費もアドバイスをもとに工夫をしていきたいと思います。最後に自分の年収アップも無理のない範囲で叶えていきたいです。本当に親身なアドバイスを頂きましてありがとうございました。

教えてくれたのは……
井戸美枝さん
 
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All Aboutマネープラン・もらえるお金ガイド。ファイナンシャル・プランナー(CFP)、社会保険労務士、経済エッセイストとして幅広く活躍。社会保障審議会企業年金部会委員。マネープランや家計の見直し、家計がもらえるお金に詳しく、テレビや書籍、雑誌などでのアドバイスにも定評がある。『知らないと損をする 国からもらえるお金の本』『【図解】2015年度 介護保険の改正 早わかりガイド 』など、著書も多数。


取材・文/清水京武

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