ネコノミクスという言葉を聞いたことがある方も多いでしょう。猫ブームを「アベノミクス」になぞらえた造語らしいのですが、どうも筆者にはピンときません。
「猫が犬の飼育頭数を超えた」というニュースも耳にしましたが、元になった猫の飼育頭数は誰が数えたのでしょう。猫には犬のような登録義務がありません。家の周りでいつも見かける猫にたまにご飯やおやつをあげるとか、公園でいつも会う猫がいるとか、実際に飼っているのかグレーゾーンの猫もたくさん存在します。そもそも猫の飼育頭数は、もしかしたら、もともと犬より多かった可能性もあります。
過去、ハスキー犬であったり、チワワであったり、一過性の動物ブームによる不幸な出来事も思い出されますが、ネコノミクスでは、少しでも不幸な猫が減って、猫との正しいつきあい方を覚えてもらえるチャンスになってくれたら嬉しいです。
きょうは、これから猫と暮らしたい方に猫が本来持つ本性をご紹介しましょう。こんなに長く人のそばで暮らしていても、猫は肉食の狩猟動物です。猫は簡単に人間の思い通りになる、かわいいフワフワの縫いぐるみではありませんよ。
気分のむくままに遊び、寝て、食事をねだる、それが猫の通常営業です。
猫はなまものです。
猫はなまものです。
くちゃいウンチをします。トイレ以外でおしっこをすることがあります。
たまに吐きます。
ほとんどの猫はとても食いしん坊です。
猫は気ままな動物です。
猫は基本的に呼んでも来ません。自分の名前を認識しているか、怪しい時があります。
猫にしつけを教えても、猫のルールが優先します。
自分が興味を持ったら、ハンパなく食いつきます。
好奇心旺盛で新しいものには興味津々、すぐに自分のニオイをつけます。
自分に都合のよいことを覚えるのは一流です。
自分に都合の悪いことは覚えません。
失敗や痛い目に遭うと、根に持つことがあります。
媚びの安売りはしません。
時々、名優になります。
直前まで大好きだったご飯を突然拒否します。
同居人が「かわいい」と思って買ったベッドに入りません。
シャンプーは大嫌いでも、水道の水を頭からかぶりながら水を飲むのは平気です。
自分から膝の上にきますが、抱っこでぎゅっには猫キックのお返しを食らいます。
気合いを入れておしゃれしたら、「あんただれですか!?」と背中の毛を逆立てて威嚇されます。
あなたに今見せている顔が、猫の真実ではありません。猫にはたくさんの顔があり、一瞬にして気分が変わります。
猫とベストな距離感。
猫とベストな距離感。
夜中、横で寝ていたはずの猫の姿が消えていたときの落胆と心配。早朝、猫のお尻にほっぺたをくっつけて目覚めたときの喜び。
猫に好かれたいのであれば、あなたはあなたのペースで生活してください。
猫に気遣いは無用です。
猫はあなたを観察して、いまは近寄ろう、いまは甘えよう、いまは構わないでおこうと判断します。
猫との距離感は猫にゆだねればいいのです。
猫と暮らす時の最低限のルール。
猫には猫専用のご飯をあげること。朝晩のご飯を欠かさないこと。
トイレはいつもきれいにしておくこと。
寝ている猫は絶対に起こさないこと。
猫が発信するシグナルを見落とさないこと。
猫が目につくところにやってきたら、それは構って欲しい合図かも。
天性のハンターである猫が、いつでもどこでも狩りをしている気分が味わえるような遊びを工夫すること。
家の中で一番日当たりのよい特等席を猫に譲ること。
部屋の中は寒すぎないこと、暑すぎないこと。
ひとりぼっちが好きな猫、ひとりぼっちにされると悲しい猫がいることを理解すること。
猫は心を持つ動物です。
猫は心を持つ動物です。
温いです。柔らかいです。
触るととても気持ちがいいです。
頬の横でごろごろ喉を鳴らしてくれたら、とろけちゃいます。
犬のようにストレートな愛情表現はできないけれど、さりげない仕草の中に同居人に向けられたシグナルをちゃんと読み取ってください。
いま、あなたのそばにいる猫はあなたを選んでやってきた猫です。出会うべくして出会えた最高のパートナーです。この先、年老いて(猫が生きている時間は人間の4倍以上のスピードです)頑固になったり、姿形が汚くなったり、動作が鈍くなったり、病気になったり、どんなに変わったとしても、最期までそばにいてください。
年を取ってから捨てられら猫ほど哀れなものはありません。野良で生まれて、野良のまま年若く死んでしまう方がまだましじゃないかと思うことがあります。
猫に贈る最高の感謝。
猫に贈る最高の感謝。
最期まで猫を看取ります。それまでの時間を大切に刻みます。猫を見送って、そして猫がくれた贈り物のような日々を何度も何度も反芻していれば、いつかまた猫に逢える日を楽しみに待つことができるでしょう。
猫と出会えた幸せなわたし。そして、あなた。
猫の魅力にはまってしまった不幸が楽しめるわたし。そして、あなた。
一緒に暮らす相手として、わたしを選んでくれてありがとう。