自分が発信したいことと、聞かれれば答えることと、人が興味を持つこと
思わぬところから会話が広がることが、よく起こります
自分から発信したいことと、他人が自分に対して興味を持っていることは、必ずしも一致しません。また、自分のことを何でもかんでも人に言いたいかといえば、それも必ずしもそうとは言えないでしょう。聞かれれば答えるけど自分からわざわざ自分のことを話すのははばかられる、ということがいくつもあるはずです。そう、聞かれれば、なのです。Miitomoは自分が意識して発信する自分以外のところで、友達とコミュニケーションができるように設計されています。
ガイドが使っていると「兄弟、姉妹がいるなら、誰がいるのか教えてもらえますか?」という質問をされている知人の男性がいました。なんてことの無い質問です。しかしその質問に対して知人は「三姉妹が下に」と答えたのです。大変に興味がわくと言いますか、色々想像できるシチュエーションではないですか。
「三姉妹が下に」と聞いて思い浮かぶ数々の想像と現実がどれだけ乖離しているかということも含めて、すごく面白そうな話なわけで、ガイドは次にその知人と会った時にはぜひその話をしてみようと思うわけですが、今まではそんなこと一切聞いたことがありませんでした。確かにお互いの兄弟のことなんて話す機会がなかったんです。
ゆるく使える、濃い情報
とにかく便利になんでもできるように、ではなく、あえて不自由な部分を作るのは、やはりゲームのノウハウではないでしょうか
Miitomoに流れる情報は、質問に答えていくという形なので、全く情報性の無い雑音みたいなものはとても少なくなります。Miitomoにはまってしょっちゅうアプリを開いていると、数日であっという間に数十、あるいは3桁の質問に答えてしまいます。自分に対する質問に数十個も答えるなんて日常ではほとんどありませんが、SNSのコメントの量としては数日で数十というのはさして珍しいものでもありません。
Miiは友達のMiiから聞いたことを色々しゃべってくれますが、友達はそのことを知りません。色んな質問に答えても、その回答がMiiを通して誰に伝わったかは分からないのです。だから、適当に質問に回答して、なんとなく友達のMiiの回答にコメントをつけて、ゆるーく使えるのですが、実際には質問というテクニックを使って雑音を排除し、濃密な情報だけをやり取りさせるツールに仕上がっています。
結果、ゆるく使っているつもりなのに、とても濃い情報が飛び交います。しかもそれは、お互いに意識していなかったような部分を含んでいるものです。これはもう、どこかでつながる「きっかけ」そのものを大量にやりとりしているようなものです。結果、Miitomoは人と人の距離を縮めてくれます。仲良くなるきっかけをいくつも投げかけてくれるのです。
おそらく任天堂は、この仕組みを広げて、自社のマーケティングにも活用していくと考えられます。