離婚理由が分からない男たち……原因が思い当たらない
途方に暮れる夫たちが後を絶たない理由は……?
彼らにしてみれば、「いったい、なぜこういうことになったのかわからない」ということになるのだが、妻たちにはそれなりに理由があるのだろう。家庭をもち、子どもを育んできたパートナーなのに、どうして話し合いすらできないほど、心の距離が遠くなってしまったのだろう。
都内在住の会社員タイゾウさん(39歳)。半年前に、妻が9歳と7歳の子どもを連れて実家に戻ってしまったのだという。妻の実家はタイゾウさんの自宅から歩いて10分ではあるのだが、ある日帰宅したら、家の中は真っ暗で明らかに様子が違っていたらしい。
突然の離婚届……そんなとき、男たちはどうすればいいのか?
そのうち、義父母も彼に対して態度がよそよそしくなっていった。妻が何かを吹き込んでいるのだろう。娘の言うことだから親も信じるに違いない。
「このままだと子どもたちと会えなくなるかもしれない。それが恐怖でした。そのことを義父母に話し、とにかく妻ときちんと話し合いたいと言ったら、あちらはなぜか弁護士を立ててきて。僕が妻をバカにしたとか精神的な虐待があったとか……いろいろ言われたけど、身に覚えがないんですよ」
仕事三昧だったから、平日は家族と一緒に夕飯を食べられないことも多々あった。ときには妻の話を遮って、「今日じゃないといけない? その話」と言ったこともある。だが、妻が真剣に相談があると言ったときや子どものことに関しては、自分も精一杯対処してきたつもりだった。
「弁護士から聞いた話では、結局、僕は彼女を女性としてどころか人として見てない、尊重してないということなんです。そんなつもりはまったくないから、何がなんだかわかりませんでした」
現在も話は膠着状態。妻は養育費さえ払ってくれればいいから、すんなり離婚してほしいと言っているが、タイゾウさんは受け入れることができずにいる。
「子どもにさえ会えれば……」と仕方なく離婚届けにサイン
離婚はやむを得なくても、子どもにだけは会いたいという夫たちの悲痛な言葉。
「僕もそうです。結婚して13年たった去年、急に妻から『離婚したい』と言われました。妻はそのまま息子を連れて実家に戻ってしまった。調停も不調に終わりかけたんですが、もう離婚はやむを得ない。それよりとにかく息子に会いたい。息子からもサッカーの試合に出るから来てほしいというメールが来るんです。息子に会えるなら離婚してもいい、とばかりに離婚届けにサインしてしまいました」
そう話してくれたのは、トシヒロさん(41歳)だ。離婚理由は、彼自身もわからないまま。ただ、とにかく子どもを人質にとられていることが、彼を焦らせた。
いきなり離婚の裏には、婚外恋愛が理由の場合ももちろんある。
現在、トシヒロさんは週に1度は息子と過ごしている。大人びた息子は、淡々と母親の状態を伝えてくるが、妻はかなり傷心状態のようだ。妻の両親も彼女を責めることがあるらしい。
「なんだか妻がかわいそうだなと思います。やり直す気があるなら、きちんと話し合ってみたい。ただ、彼女が負い目をもったまま復縁してもうまくいかないでしょうし。僕は、息子にとっていちばんいい選択ができればと思いますが」
唖然とするだけでどうしようもない、夫たちは、どこか悲しげ。
いずれにしても、夫からみると「子どもが人質にとられている」という恐怖感は大きい。そのために離婚やむなしと考える男性たちの気持ちが、どこかせつない。
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