不倫はしんどいものじゃない? 恋愛として楽しむ・糧にできる女性とは
何を望むでもなく、静かに終わる不倫の恋もある。
一方で、不倫の恋をすることで、表情も生き方もよどんでしまう女性もいるのは確か。いったい、どこがどう違うのだろうか。
不倫相手との結婚を望まず、恋愛そのものを楽しむ
どんな恋愛でも、恋愛そのものを楽しむ気持ちが幸せを感じるコツ。
だから、不倫の恋をする女性は、結婚を望まないほうがいい。彼との関係をシンプルに「恋愛」として受け止め、思い切り堪能する。期待値を低くするのが、不倫の恋で幸せを感じるコツかもしれない。
心から愛した男性なら、いつか、「この恋は堪能しつくした」と思える時期がくる。
「私もかつて、2年ほど既婚男性とつきあったことがあります」
そう言うのは、会社員のユミコさん(35歳)だ。28歳のとき、異動でやってきた上司と親しくなった。男と女、上司と部下として2年を過ごした。
「毎日、会社に行くのが楽しかった。その時期、ちょうど仕事でも責任をもたされるようになったから、上司と一緒に仕事を進めていくのがうれしくて。認められたい一心でがんばりましたよ」
彼が家に来やすいようにと実家を出て、会社と彼の自宅との間に部屋を借りた。
「彼の家庭を壊す気なんて、まったくなかった。今思えば、あれが私の本当の意味での自立だったんでしょう。実家を出てよかったと思います」
狙い通り、彼は週に1度か2度は部屋に来てくれた。だが、泊まったことはない。彼女も泊まってほしいと言ったことがない。
「泊まってほしいと思ったこともあるし、彼が帰ったことがさみしくて、ひとりで泣いたこともあります。でも、結果的には外泊しなかったからこそ、2年、平穏に続いたんじゃないかと思います。彼が帰ったあと、ひとりでじんわり余韻を楽しむのもいいものだ、と思うようになったし」
いつでも彼のことを考えていた。彼が自分を愛してくれていることも感じていたという。
「だから2年後、彼の転勤が決まったときに、“ああ、これで別れられる”と思ったんです。長く続けていていいことはないと思っていたから、大好きなうちに離れるのは悪いことではない、と」
最後の夜も、いつものように彼女の部屋で過ごした。彼は初めて泊まった。
「あの2年間の濃密な恋は、いい思い出だし、私の人生にとって宝物みたいなものです。一方で、男がどうやって妻に嘘をつくのか、妻とは何が話せないのか。男の人の裏側も知った。今、結婚を考えてつきあっている人がいますが、私、あの恋があったから結婚もうまくやっていけるんじゃないかと思っています」
ユミコさんは、晴れやかな笑顔を見せた。
不倫を糧にできるかどうかは結局自分次第
家庭に帰る彼をうらんでパニックをおこしても、しかたがない。
「私は彼が家庭の話をしても、あまり気にしなかった。家庭は私とは関係ないと思っていたから。だけど私の友人でやはり不倫をしていた女性は、彼の背景に妻や子どもの存在が透けてみえると、パニックを起こしてしまうと言っていました。そういうふうに考えちゃうと、やたら苦しくなりますよね。相手とだけ向き合う。それが大事なんじゃないでしょうか」
たとえ彼に家庭があっても、つきあっているときは「ふたりだけの関係」をつらぬく。いちいち彼の家庭のことを考えるのは、繊細なようで実は越権行為。家庭のことを考えれば、嫉妬心がわきおこる。それは人の心を歪めていく。
“家庭のある人を好きになったわけではない。好きになった人に、たまたま家庭があっただけ”――そういう言い方をする女性がいる。これは正しいようで正しくない。彼が家庭を築いてきたことで培われた魅力もあるはずだからだ。彼が独身のままだったら、恋に落ちたかどうかはわからない。既婚者がもつ魅力というのはあるものなのだ。そのあたりも頭の隅に入れておくことが大事かもしれない。
「いい恋愛と悪い恋愛があるわけではなくて、どちらにするかは自分次第だと思います」
ユミコさんはそう言う。
既婚者と恋に落ちたら、相手の家庭が気にならないはずはない。それでもあえて、自分はそこにはコミットしないという「女の意地」を貫くことも必要なのだ。それが女性を強くする。
恋愛は最終的には「自分との闘い」だ。結果的にいい恋愛にするには、それなりの「女の美学」が求められるのだと思う。
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