お金の悩みを解決!マネープランクリニック/30代シングルの方のお金悩み相談

35歳独身、貯金1000万円。年収が200万円下がり悩む(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、貯蓄ペースが上がらない35歳の女性会社員。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 死亡保障よりも住居費用を優先すべき

悩まれている家計改善ですが、一方で、引っ越しを希望されている。家賃は1万円アップですから、さらに収支はきびしくなります。ただし、ご相談者のごましおさんにとっては、住環境は大きな意味があると思います。居心地が良く、通勤の負担も軽い住居は、今後も一人暮らしを続け、日々正社員として元気で働くための「必要経費」なのでしょう。だとすれば、それを優先した上で、家計改善をどうすべきかを考えてみます。

効果的なのは保険の見直しです。すでに、ごましおさんは保険の見直しを検討されていて、その案もあわせて送ってくれました。がん保険、医療保険についてはトータルで支払う保険料は変わりませんから、必要な保障内容がしっかり確保されていればいいと思います。

問題は「見直さない」としている終身保険です。受取人を祖母にされていることを考えても、死亡保障は確保する必要性は低いですし、万が一のことがあれば貯蓄が残ります。貯蓄性という点でも予定利率は高くありません。払済保険にして、浮いた保険料を貯蓄すべきです。

もちろん、FP相談を受けられ、保険による運用を勧められた点についても、ごましおさんが疑問視されているとおり、現状では何のメリットもありません。その理由は、そのまま現在加入の終身保険にも当てはまるのです。

保険の見直しで月1万5000円コストが減れば、そのまま家賃上昇分をカバーできます。また、趣味としてヨガ教室にも通いたいということですが、であれば、他の支出を削る作業をしてください。「趣味・娯楽費5万5000円」という予算枠の中でやりくりして、その費用を捻出すれば、追加の支出は発生しません。
 

アドバイス2 節税効果も高い確定拠年金はぜひ利用を

一方、貯蓄ペースを高めるためには、ボーナスがカギとなります。

現在、約半分は貯蓄されていますが、今後どれだけ貯蓄分を上積みできるか。毎月の給与では貯蓄ペースが上がらない、また、残業のない部署に異動したら貯蓄が難しいのであれば、ボーナスの活かし方が今後の貯蓄を大きく左右することになるからです。

ごましおさんが言われるように、投資で増やすという発想もあります。その割合ですが、独身であり、すでに投資経験もありますから、上限を3分の1とすればいいと思います。年間100万円貯蓄できるとすれば、そのうち投資にまわすのは30万~35万円といったところでしょう。

確定拠出年金の利用もお勧めです。引き出しは原則60歳以降ですから、主な目的が老後資金となりますが、当然その準備も必要ですし、掛け金は所得控除が利用可能、運用益に対する非課税等、節税効果は大きなメリットとなります。
 

アドバイス3 マンション購入は夢ではなく現実的な選択

最後に老後資金ですが、先の確定拠出年金で一定額を運用していくだけで、現時点では十分。今とはともかく、貯蓄ペースを上げていくことを第一に考えてください。

住居についてはずっと賃貸で住み続けても、70歳代後半から老人ホーム等に移るという選択肢も、不可能ではありません。厚生年金の加入ですし、まとまった退職金ももらえるのも心強いです。ただし、75歳くらいまで、今と同等の家賃を支払い続けることは、それなりの家計負担であることを覚悟してください。

したがって、正社員である期間は貯蓄ペースを崩さないことと、少なくとも65歳まで、元気ならそれ以降も働いて収入を得るということが条件となります。また、60歳以降は徐々に投資の比率を下げ、あまりリスクを取らないことも大切です。

また、そういう点から考慮すれば、相談文にある「55~60歳でのマンション購入という夢もある」も、実は現実的だと言えます。仮に年間70万円貯蓄(他に投資に30万円)できたとします。20年後、55歳のときに1400万円。諸経費100万円を上乗せしても、1300万円の物件を現金で購入できます(しかも貯蓄と投資商品で1000万円超手元に余る)。その後は、ランニングコストとして管理費と固定資産税で年間25万~30万円といったところ。将来にわたって高い家賃コストを背負うよりも、家計リスクは軽減されます。

ただし、1300万円の予算で希望の物件があるかどうか。20年後の不動産市況は読めませんが、一人暮らし用で中古としても、程度のいい物件であれば立地は少し郊外になるかもしれません。

また、住宅資金の不足分は住宅ローンを利用するのであれば、返済期間が一定期間確保できるという点で、前倒しで今から5年後、10年後の購入も選択肢としてはあるでしょう。その場合、借入額は、ローンの支払いの月額にランニングコストの月割りを加え、それが家賃を超えない範囲というのがひとつの目安となります。

ともあれ、どういう方向になってもいいように、ボーナスをメインに貯蓄に励むことが大事となってきます。

教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
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業界歴26年目のベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。



取材・文/清水京武 イラスト/モリナガ・ヨウ


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