本場のロシア・アヴァンギャルド的ジャケ
時代と地域を超え、世界中のデザイン表現に影響を与えている“ロシア・アヴァンギャルド”。3月に発売される拙著『共産テクノ ソ連編』でも、「ロシア・アヴァンギャルド・ジャケット展」というタイトルで、同運動の影響が感じられる各国のレコード・ジャケットを多数掲載しました。ロシア・アヴァンギャルドとテクノポップ (All Aboutテクノポップ)
今回は、「共産テクノ」の本場であるソ連に限定して、ロシア・アヴァンギャルド的なジャケットとそれらの作品を作ったアーティストを紹介しましょう。まずは第1回です。
不慮の死を遂げたリーダー、ツォイがいたキノ
キノ(Кино)は、レニングラード出身の伝説のニューウェイヴ系バンド。「モスクワの竹下通り」と呼ばれるアルバート通りとクリヴァアルバーツキー小道が交差する所に、「ツォイの壁」があります。ツォイとは、キノのリーダーだったヴィクトール・ツォイ(Виктор Цой)。彼は、1990 年8 月15 日に28 歳で交通事故により不慮の死を遂げ、一人の落書きが発端となりモスクワのモニュメントとなりました。キノの『Группа крови(ブラッド・タイプ)』(1988年)は、前述のRED WAVEシリーズの一つとして日本盤CDもリリースされました。Группа крови (Discogs)
Кино - Группа крови (YouTube)
キノはフランスでも知られる存在だったようで、翌年にはフランスで『Le Dernier Des Héros(Последний герой/最後のヒーロー)』(1989年)をリリースしています。
Le Dernier Des Héros (Discogs)
同年にリリースされた7インチシングル『Maman(ママ)』のジャケットも、素敵です。
Maman (Discogs)
Maman/Мама, мы все сошли с ума (YouTube)