中古マンションや中古一戸建て住宅の売買にあたっては、建物の躯体部分以外の付帯設備、つまり給湯器やエアコン、換気扇、照明器具、洗面台などについては、瑕疵担保責任や保証の対象外とすることが一般的です。
たいていは「付帯設備状況確認書」などを使い、機器などの「契約時点の状態」について売主から買主へ告知をするだけで、故障が生じても売主が補償することはないでしょう。
「故障や不具合がある」と告げられたものについては、売主の負担で取り外してもらうことや、その分の減額を売買契約締結前に交渉すればよく、「今まで故障などがない」とされた機器が、買主が入居してすぐにタイミング悪く故障することはあまりありません。
その一方で、一部の仲介業者などでは「引き渡しから7日間のうちに付帯設備の故障などが見つかれば、売主の負担で修理をする」といった主旨の特約を付けることがあります。その実効性はともかくとして、従来の一般的な慣行と比べればずっと良心的な内容だといえるでしょう。
ところが、たいていの買主は「一般的にはどうなのか」など知りませんから、「あそこはたった7日間しかチェック期間を設けてくれない、ひどい業者だ」という感想を抱いてしまうこともあるようです。
不動産取引に詳しい第三者が説明すればすぐに誤解は解けるのですが、当事者である仲介業者が説明をしても、相手が疑心暗鬼に陥った買主だとなかなか信じてもらえないかもしれません。
不動産の取引に慣れた買主は少なく、大半は初めて購入する人です。しかし、仲介業者は毎日のように不動産を取り扱っているため、一般の人が知らないことでも、つい「当たり前のこと」として説明を疎かにしがちな面も考えられます。
もっときめ細かな対応が必要なケースも多く、たぶん今日もどこかでたくさんの誤解が生まれていることでしょう。
初めて不動産を購入する買主と接する仲介業者の担当者には、常に細心の注意を払い、一つひとつの説明に手抜きをせず丁寧な対応を望みたいものです。
>> 平野雅之の不動産ミニコラム INDEX
(この記事は2007年12月公開の「不動産百考 vol.18」をもとに再構成したものです)