スペインのバレンタイン……全ての恋する人の日
恋する人たちの日
スペインのバレンタインデーはdía de San Valentín (ディア デ サン バレンティン、聖バレンタインの日)という呼び方のほかに、día de los enamorados (ディア デ ロス エナモラドス、恋する人たちの日)とも呼ばれています。ハロウィンと同様に、アメリカやイギリスなどのアングロサクソン文化から近年伝わってきたお祭りで、決して伝統的に祝われてきたわけではありません。
スペインのバレンタインデーの起原
スペインの全国紙であるABC紙によれば、1948年の初めに、作家兼ジャーナリストのCésar González-Ruanoが、別の日刊紙に、アメリカのバレンタインデーを紹介し、スペインでも祝うことを提案したのが始まりだそうです。同年2月に、Galería Preciadosというデパートが、、ABC紙に、2月14日まで何度もバレンタインデーを紹介し、「愛する人に贈り物をしよう」という広告を掲載しました。このデパートは、今でもスペイン唯一のデパートといえるEl Corte Inglésの前身で、当時は、創業者自ら広告の案を練っていたそうです。Galería Preciadosの努力が実り、上流階級の人々を中心にバレンタインデーに香水、花、お菓子などを恋人や夫婦の間で贈る習慣が広まっていきました。
男性のイニシアチブが大事
日本とは反対に、スペインのバレンタインデーでは、男性がイニシアチブをとります。もちろん、女性が男性にプレゼントしてもよいのですが、男性は恋人や妻にプレゼントを贈ることが当たり前とされています。女性も、男性からのプレゼントを予想して、お返しに贈り物をすることが多いようです。女性からの告白の日という認識はなく、既に愛を育んでいる関係にある二人が愛を確認する日のようです。贈り物の中身
ハート型のプレゼントが人気
日本のようにチョコレートばかりがプレゼントされるわけではありませんが、チョコレートやケーキあれば必ず喜ばれるという期待を込めてよく選ばれています。他にも、ハート型のスイーツや、花、アクセサリー、洋服などが贈られます。変わったところでは、ぬいぐるみ、バルーン、クッションなどハート形のモチーフのついたものが売り場に並びます。
形のないプレゼント
スペインのレストランでは、バレンタインデー当日には、カップルをターゲットにバレンタインデー用のコース料理が提供されます。バレンタインデーに少し贅沢なディナーを楽しむカップルも多いようです。時間とお金に余裕があるカップルや、2月14日が週末にかかる年には、旅行を楽しむ人たちもいます。長期休暇をとる時期ではないので、通常、国内やヨーロッパの近場の国に行きます。365日が恋する人たちの日
スペインのバレンタインデー、女性が男性に告白する唯一の日という日本とは大分違っています。スペインではバレンタインデーが告白の日ではないので、告白に応える日であるホワイトデーもありません。スペインには、こんな言い回しがあります。
Para mí todo el año es el día de los enamorados.
パラ ミ トド エル アニョ エス エル ディア デ ロス エナモラドス
僕(私)にとっては1年中が恋する人たちの日だよ
やはり、普段から情熱的なイメージの強いスペインの女性はわざわざ告白の日を設けなくても大丈夫なのでしょうか。このセリフはロマンチックに聞こえますが、こんな状況で使われることもあります。
バレンタインデーに贈り物を期待していたのに何もくれなかった恋人に対して一言。
¿Por qué nunca me regalas nada para el día de los enamorados?
ポルケ ヌンカ メ レガラス ナダ パラ エル ディア デ ロス エナモラドス
何でバレンタインデーに何もプレゼントをくれないの?
恋人は、こう答えました。
Para mí todo el año es el día de los enamorados.
パラ ミ トド エル アニョ エス エル ディア デ ロス エナモラドス
僕(私)にとっては1年中が恋する人たちの日だよ
「だから、2月14日にこだわってわざわざ贈り物をする気はない」という意味です。バレンタインデーに、恋人への贈り物を用意していなかった時の苦しい言い逃れにも使える言い回しです。
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