マッカーシー(ピアノ) Solo / ソロ~左手のためのピアノ編曲集
ニコラス・マッカーシーは、1989年に右腕なくして生まれ、14歳で「ベートーヴェン:ワルトシュタイン」に感激しそれからピアノを始め、ロンドンのギルドホール音楽学校を卒業。歴史ある王立音楽学校の歴史で、初の左手だけのピアニストの卒業者として話題となりました。ロンドンでのパラリンピック閉会式で、コールドプレイと共演もした彼のデビュー・アルバムは、自分での編曲や、様々な作曲家の編曲による左手のための作品を収録。超絶技巧というだけでなく、敏感さと温かい解釈にあふれたアルバムです。
■ガイド大塚の感想
タッチが優しくとても温かな音色、アルペジオもレガートも丁寧で穏やかな音楽が生み出される癒される。本当に左手だけの演奏とは思えない豊かさ。「左手だけなのにすごい」演奏では全くなく「すごい演奏が左手だけだった」という驚き。『ヴォカリーズ』や『別れの曲』など、誰もが聴いたことのあるだろう曲も収録され、クラシック好きではなくても、多くの人の心を捉える稀有な演奏だと思う。
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ソコロフ(ピアノ) ワルシャワ&ザルツブルク・ライヴ
現代最高のピアニストと絶賛されるソコロフのワルシャワ&ザルツブルクでのライヴ録音。DGリリース第2弾となる今作はハンマークラヴィーア・ソナタをメインに、シューベルトの即興曲集 Op.90なども収録しています。いずれも2013年のライヴ録音。その実力と反比例して録音が非常に希少な巨匠ソコロフの磨き抜かれた表現がこうして聴かれる喜びを一人でも多くの音楽ファンの方々と共有したくなるアルバムの誕生です。
■ガイド大塚の感想
これまたソコロフの稀有な透徹したピアニズムに満ちたライヴ。ハンマークラヴィーアを聴いても、この曲が難曲であることが微塵も感じられない。冒頭からして主題を「提示する」というより、ただただ慈しむ、という感じ。ひたすらに磨き上げられた珠がリズミカルに共鳴するような幸せな音楽が紡ぎ出されることに驚かされ、派手さはないが、同心円状にじわじわと温かさが伝わる感じが心地良い。
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宮本ミサ(ピアノ) ロマンス
ポーランドで確固とした評価を得るピアニスト宮本ミサのデビュー・アルバムは、ショパン、リスト、ラフマニノフと彼女のピアニズムが存分に堪能できるバラエティに富んだものです。目玉ともいえる、バラキレフ編曲のロマンス、ワイルド編曲のラルゲット、エキエル版によるレント・コン・グラン・エスプレッシオーネは、数少ない貴重な録音です。一曲一曲に魂をこめる演奏により、宮本ミサのみが創造し得る世界が広がります。
■ガイド大塚の感想
これはとても個性的な盤。ショパンが残した2つの協奏曲の緩徐楽章のピアノ1台編曲版が冒頭2曲連続で演奏されるところから、普通ではない感じがが漂う。ショパンの遺作マズルカ ヘ短調 作品68-4を含む、切ない前半の一方、後半はラフマニノフの『楽興の時』で力強さを持ち、希望へ向かう。一貫して透明度の高い美しい演奏で、引き込まれる。通して聴くアルバムとしての意味がとてもあるCDだ。
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