2016年2月の、クラシックのおすすめ新譜CDをご紹介!
毎月大量に発売されるクラシックの新譜CD。その中からレコード会社が自信をもってオススメするアルバムをセレクト&オススメコメントをもらい、更にガイド大塚が聴き手としての感想をつけて紹介していきます。2016年2月のオススメはこれだ!(発売前、発売延期、売り切れなどの場合もございます。ご了承くださいませ。直接CD店に行く場合などはご注意くださいませ)
アーノンクール(指揮者) ベートーヴェン:交響曲第4番&5番『運命』
2015年12月5日、86歳の誕生日の前日に演奏活動からの引退を表明したニコラウス・アーノンクールにとって生涯最後のレコーディング(2015年5月)で、1953年の創設以来自ら手塩にかけてきたウィーン・コンツェントゥス・ムジクスとの最初で最後のベートーヴェン録音。日本盤ライナーノーツには、アーノンクールによるコメント全日本語訳(8300字)、アーノンクールによるベートーヴェン演奏史などを掲載。
■ガイド大塚の感想
ベートーヴェン交響曲のチクルス録音が予定されている中での引退ということで残念でならないが、唯一録音されたこの盤でも、アーノンクールの演奏意欲は全く枯れていない。どんな表現もされ尽くしたような『運命』ですら度肝を抜かれる解釈…。過去に受け入れ難い演奏もたくさんあったが、後になってその意味を理解することは多かった。既存の音楽に怒り、新たな音楽を叩き付けるようなこのベートーヴェンは、当時の聴衆が斬新さに身震いしつつ感動しただろうことを教えてくれる。
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パーヴォ・ヤルヴィ(指揮者) ニールセン:交響曲全集
デンマークの国民的作曲家カール・ニールセンの6曲の交響曲は、それぞれが独自の風貌と極めて個性的な響きを備え、20世紀音楽の中で重要な位置を占めています。パーヴォ・ヤルヴィのニールセン解釈は、鋭いリズム捌き、クールなリリシズムの表現、そしてシンフォニックな構成感を生かした男性的なダイナミズムが聴きもので、世界的に高く評価されています。この新しい全集は、2015年のアニヴァーサリー・イヤーを超えて、その先を志向する名演の誕生といえるでしょう。
■ガイド大塚の感想
これはハマる。パーヴォが2014年まで首席指揮者を務めたフランクフルト放送響との録音で、おそらくドイツのオーケストラによる全集は初めてとのことだが、まずこの起用がズバリ当たっている。パーヴォの引き締まった音楽作りとドイツオケの重心の低い力強さがマッチし、音楽が確信を持って語られていく。6番最後のファゴット・ソロは「あっかんべー」のよう、と語るなど、とにかく聴いていて面白い。ニールセン開眼する全集。
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沼尻竜典(指揮)メンデルスゾーン:交響曲第1番&第5番「宗教改革」』
録音ともに高い評価を得ている沼尻竜典と日本センチュリー響によるメンデルスゾーン・シリーズもついに完結。第5番「宗教改革」は2014年のライヴから、第1番はセッション録音にて収録いたしました。確かな演奏技術で聴かせる見事なアンサンブルは、沼尻のタクトに導かれ、華麗なメンデルスゾーンを描いています。弦セクションの深みのある響きに、鮮やかに響く管楽器が彩りを添え、美しく壮大な演奏となりました。
■ガイド大塚の感想
メンデルスゾーンの5つの交響曲の中で、若き日に書かれた2つの交響曲だが、勢いある快演で若書きと全く思わせない。アンサンブルは精緻で、響きは堂々と豊か。ちょっと驚く完成度の高さで、このコンビの相性の良さを物語っている。
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ハーゼルベック(指揮) ベートーヴェン:交響曲第7番&ウェリントンの勝利
ベートーヴェンの交響曲はどれも、発表された当初から大きな衝撃を与え、話題の種になっていたことが昔の記録からわかります。しかし当時は、いまのオーケストラとは大きく違う楽器や編成・弾き方で演奏されていた…その点をふまえて当時流儀に演奏する楽団はこの数十年間で激増したものの、ウィーンの彼らのように「会場の響き」にまでこだわった楽団は貴重!同じ日に初演された「もう1曲」とあわせて聴けば「第7番」のイメージもがらりと変わってくる…?!
■ガイド大塚の感想
ベートーヴェンの初演会場シリーズの第2弾だが、7番と同日に演奏されたという曲が面白い。まずはメトロノームの発明者として知られるメルツェルによる自動トランペット演奏機(?)の演奏。再現された楽器によるキッチュな演奏が楽しめる。そして、更にこれまたキッチュというか若干大袈裟な『ウェリントンの勝利』。と通して聴くことで、7番が如何に真摯に熱い、後世に残る傑作だったのがより伝わる。