コミカルな中にも様々な角度から「心に刺さってくる」日本版『天使にラブ・ソングを~』
『天使にラブ・ソングを~シスター・アクト~』写真提供:東宝演劇部
――そのクライマックスシーンのみならず、例えば宮澤エマさん扮する自分に自信のない修道女が歌を通して変わってゆくシーンなども見どころですよね。
「自分の生き方を見出すシーンですよね。私変わるわ、と人間が一つ成長するシーン。エマの歌がまたほんと素晴らしいんですよ! デロリスの幼馴染の警官エディの、俺は変わりたいと歌って最後には結局警官にぱっと戻ってしまうナンバーも味がありますし。デロリスも、自分には野心があるけど、その一方で求められるところに行きたい、という葛藤を歌ったナンバーがありますし、そういういろんなテーマが盛り込まれている作品なんです。
前回の公演では、幸せってなんだっけなとか、つらい思いを抱えている方が御覧になって、すごく元気をもらえたというお声をたくさんいただきました。私もその実感はものすごくあったので、今回も御覧いただく方の心に刺さるものがあるといいなと思っています。観る方の立場によって感情が動くところは違うかもしれないけれど、本当にいい場面がたくさんある作品です」
――例えば、デロリスの「キャリア」をとるか「仲間」をとるか、という選択はワークライフバランスで悩んでいる女性にとって身近に感じられるかもしれませんね。
「人と人との関係性の中で育まれる愛のお話しかもしれませんね。成功したいという夢はなかなか捨てることができないけれど、彼女の場合、シスターたちとの触れ合いの中で、葛藤しながらも次第に彼女たちとの友愛が欠かせないものになっていく。そして一つの決心に変わっていくんです」
――今回、再演にあたってご自身の中でテーマにされていることはありますか?
「もう一度ゼロから……というか、台本を読み直して作っていきたいですね。今回は新しく蘭寿とむさんやギャングの親分役で石川禅さん、オハラ神父役に今井清隆さんが入られて、新しい息吹を与えてくれるので、きっと新しい気づきがあると思うし、ここを大事に歌いたいという部分も出てくると思います」
笑いが絶えず、和やかに進行した製作発表記者会見。(C)Marino Matsushima
「基本的には無いでしょう。でも、前回は大澄さんが「ヘイ、ベイビー」という感じでキスしたり触ってきたりしてきたけど、もう一人の親分役・吉原(光夫)さんはそこまで触ってこなかったかな。関係性は変わらないけど、冷酷さの表現が違うという感じでした。これから稽古に入るので、そこも含めて今回の舞台がどうなるか、とても楽しみです」
*次頁からは森公美子さんの「これまで」を伺います。歌に興味を抱いたきっかけは、なんとハワイで潜り込んだあの歌手のディナー・ショーだとか!