いま聞いておかないと後悔するかも
「大沢悠里のゆうゆうワイド」公式サイト
ひょっとして「そんな番組知らないよ」という方もいらっしゃるかもしれません。TBSラジオの看板番組とはいえ、関東ローカルの放送。しかも対象リスナーがバリバリの中高年層ということもあり、深夜放送とかFMとか特定の番組やパーソナリティーだけ追っかけてる人には、ご縁がなかったかもしれません。
ただ、そういう方は今からでもいいから一度聞いてみてください(TBSラジオ 月~金 午前8:30~午後1:00)。4月8日が最終回なので、いまのうちに聞いておくと間違いなく歴史の生き証人になれますよ。いや、冗談抜きで。
ワイド番組45年という偉業
「ゆうゆうワイド」を知らない方々のために、まずはメインパーソナリティー・大沢悠里の紹介から。1941年、東京は浅草の生まれだそうですが、あの独特な喋りを聞いていると、雪深い東北出身のようなイメージがあったので少し意外でした。東京オリンピックが開催された1964年、TBSへ入局以来ほぼラジオアナウンサー一筋で活躍してきました。東京の民放では唯一、テレビとラジオの放送を兼任していますが、ラジオ専任のアナウンサーもかなりいらっしゃいます。顔が出ないのをいいことに(笑)、アナウンサーらしくないヒゲを生やした人や、長髪を後ろで束ねて、あの伊集院光から「落ち武者」などとからかわれた人もいたほど。
数々の番組を担当してきた悠里アナが、72年に担当し始めたのが、土曜朝のワイド番組「土曜日です おはよう大沢悠里です」。なんと、ここから現在まで足掛け45年、ほぼ切れ目なくワイド番組のメインを続けるというギネス級の偉業を成し遂げました。長年にわたってリスナーから愛されてきた何よりの証拠でしょう。
超人技の喋りをノホホンと
現在放送中の『大沢悠里のゆうゆうワイド』は、4時間半にわたるワイド帯番組です。番組内に多くのコーナーが挟まれているものの、別番組をインサートする形式のものはほとんどなく、毒蝮三太夫の進行する人気コーナー「ミュージックプレゼント」の中でも、ロケ現場を仕切る毒蝮にスタジオから合いの手を入れるなど、休む間もないフル活動を30年間続けてきました。まさに超人技です。にもかかわらず、その声には温泉に入ってのぼせているかのようなノホホンとした味わい深さがあるんですね。勝手な思い込みですけど、あの声からはアルファ波とかが出ていて、ヒーリング効果があるような気がしてなりません。
冒頭で今のうちに是非聞いておいて欲しいとお願いしたのは、ココなんです。文章で声をいくら説明しようとしても限界がありますから。CMや旅番組等のナレーションなど、声のみの仕事ではテレビでも活躍されているので「この声どっかで聞いた事ある」と思うかもしれません。
すごみを感じさせないすごさ
「ゆうゆうワイド」の各コーナーを一つ一つチェックしてみると、「グッド・グッド・ミュージック」や「テレフォン・ラッキーナンバー・プレゼント」など、昭和時代から続く安定感のある企画が中心。しかし、決まった時間に決まったコーナーがお馴染みの声によって放送されるという「ルーティン」こそが、毎日聞き続けてきた人の生活リズムを支えてきたように思います。その中で一つおすすめを挙げるとすれば、毎週金曜午前9時から始まる「お色気大賞」ではないでしょうか? 読者からのユーモラスで色っぽい投稿を、大沢悠里が声色を駆使し、アドリブを盛り込みながら読み上げるというコーナーです。
往年の深夜放送が得意にしてきた企画ではあるものの、それを30年間もの長きに渡ってひょうひょうとやってのけてしまうパワーと、一向に衰えを感じさせない声に、聴取者の我々は脱帽するばかりです。
番組は終了しても……
「ゆうゆうワイド」が終了した枠に後任として入るのは、伊集院光とジェーン・スー。どちらもTBSで人気番組を担当しており、その実力は誰もが認めるところで、どんな新番組になるのか楽しみではあります。ちなみに毒蝮さんのコーナーは、春以降も続くそうなので、そこは一安心です。ただ、あのノホホンボイスがラジオから流れなくなるとしたら、あまりにも寂しすぎます。悠里さんのあの声に毎日癒されている中高年の方々も、生活リズムを崩してしまう危険性だってあるでしょうし。悠里さん本人の辞退さえなければ、代わりの新番組が春に始まる可能性もゼロではありません。どんな番組であっても、あのノホホン声が聞ける限りは、まだまだラジオも大丈夫と一人合点しております。