新型ゴルフ・トゥーランが登場
輸入車ナンバー1の座をメルセデス・ベンツに譲ったフォルクスワーゲン。ディーゼルエンジンの不正問題が響いたこともあるが、そもそも2015年前半から新車投入が少なく、とくに売れ筋のコンパクトモデルが現状維持という状況だった。
そして、ミドルサイズセダン/ワゴンのパサート、ゴルフ・オールトラック、ゴルフGTE(PHV)などの比較的高価格帯のモデルでは大きな台数の上積みは厳しく、最高台数を記録したメルセデス・ベンツの絶好調も重なり、2015年は16年ぶりの首位陥落となった。
2016年は巻き返しの年になるが、ゴルフ・トゥーラン、シャランを擁し、輸入ミニバンで半数のシェアを誇るフォルクスワーゲンが最初に打つ手が1月12日に発売された新型ゴルフ・トゥーランとなる。
モジュラーコンセプトの「MQB」をトゥーランに初採用
11年ぶりのフルモデルチェンジで、最新の生産方式である「MQB」を使い、安全性や走行性能、快適性などを大幅に引き上げたとしている。ボディサイズは全長4535×全幅1830×全高1640~1670mm。
初代よりも全長は130mm伸び、全幅も35mmにワイドになり、全高は0からマイナス30mmとなっている。1830mmとなった全幅により1800mm制限のある立体駐車場などには入庫できず、1850mm制限の場合でギリギリ対応できるかというところだろう(もちろん、全高1550mm以下のケースだと先代でも入庫できなかったが)。
トピックスである安全性の向上では、アダプティブクルーズコントロールやレーンキープアシストなどの設定をはじめ、衝突回避サポートの「プリクラッシュセーフティシステム」、9つのエアバッグ、フォルクスワーゲン初となる歩行者保護のためのアクティブボンネット、後席一体型チャイルドシートなどを設定するなど、安全装備の充実(装備によりオプション)も図られている。
ミニバンだけに気になる居住性では、110mm延長されたホイールベースの恩恵で、2列目のスライド量が40mm、サードシートのフットスペースは54mm拡大。座った印象では、それでも大人(私の場合は171cm)にとっては非常用の域を出ないが、小柄な方や子どもなら十分に実用になりそう。さらに、2列目にウォークイン機構である「イージーエントリー機能」が加わり、3列目の乗降性が向上しているのも朗報だ。
また、荷室も拡大し、サードシートを格納すると917L、2列目と3列目すべてを格納すると1857Lまで広くなるという。トノカバーを外した際には、荷室下に収納できるなど使いやすいラゲッジに仕上がっている。
パワーとトルク、燃費も向上
エンジンは1.4L TSIで、7速DSGとの組み合わせ。20kg軽量化された車両重量やミニバンとしては秀逸なCd値0.296のエアロダイナミクスなどにより15.0km/Lから18.0km/Lにカタログ燃費を向上させている。最高出力は10psアップの150ps/5000-6000rpm、最大トルクは30Nm増強され、250Nm/1500-3500rpmを発揮し、動力性能も大きく向上。
気になる価格は「TSI Trendline」が284万7000円、「TSI Comfortline」が317万円、「TSI Highline」が376万9000円。同クラスの国産ミニバンに対抗できる設定としている。
今回のゴルフ・トゥーランは、走りにも注力していて、「走りが好きなお父さんも満足できる」という触れ込みだけに、気になる試乗記は別の機会でお届けしたい。