そろそろ確定申告のシーズンを迎えます。住宅を購入して、これから「初めての住宅ローン控除申告書作成」に挑戦するという人もいらっしゃるでしょう。
住宅ローン控除だけでなく、住宅を売却したり貸したりしたときなどの確定申告もあり、不動産と税金はなかなか縁の深いものです。近年ではインターネット上に公開される情報も多くなり、国税庁のサイトで「確定申告書の書き方」などを調べる人も多いかもしれません。
ところが、国税庁にかぎらず省庁や役所が作成する税金や法律などの解説は、総じて難解になりがちです。
解説文の中にあまり一般的ではない専門用語が混じっているだけでなく、大多数の人が該当する事項もごく一部の人しか該当しない事項も同列に扱っていたり、あらかじめ基礎知識があることを前提に書かれていたり、あるいは「第◯条に準ずる」のような解説も少なくありません。
さらには膨大な数の複雑な規定をまとめて説明しようとしているために、どこを読めばよいのかさえ分からないようなケースもあります。
企業の総務や経理など事務系の仕事をしている人であれば何とか理解できても、そういったことに慣れていない人には分かりづらい部分が多いでしょう。
それぞれの解説は省庁や役所の内部で作成したり外注で作らせたりした後、複数の人がチェックしているはずです。ところが(実情は分かりませんが)想像するところ、そのチェックをするのはおそらくかなり専門的な知識をもったレベルの担当者ばかりではないでしょうか。
そうすると「基礎知識のない一般の人にとって何が分からないのか」が分からない、といった事態に陥っていることも十分に考えられるのです。
省庁や役所が一般消費者向けの解説書類などを作ったら、街頭に出て無作為に選んだ人を相手にリサーチを重ね、少しずつでも分かりやすいものに改善していく、といった動きを期待することは無理なのでしょうか。
もっとも、民間の製品でも難解な取説などが少なからずあるため、省庁や役所だけの話ではないのですが……。
>> 平野雅之の不動産ミニコラム INDEX
(この記事は2008年2月公開の「不動産百考 vol.20」をもとに再構成したものです)
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