アドバイス1 貯蓄を取り崩さなくても老後生活ができる
まず、相談者のクロワッサンさんの老後資金について、試算をしてみましょう。60歳まで働くということですから、それまで現在の貯蓄ペースが続くとすれば、年間138万円(月9万円、ボーナス30万円)×6年間で828万円。退職金は不明とのことですので、ここでは考慮しないとすると、それでも定年時に約7000万円の資産が用意できることになります。
定年後の相談者の生活費については、不確定要素も多いですが、保険料の支払いがなくなるなどを考慮すると、月額12万円程度で収まるのではないでしょうか。そうなると、定年後の収入として、個人年金保険から計360万円が受け取れますが、公的年金だけでも生活できてしまうかもしれません。つまりは、「下流老人」どころか、貯蓄などにはほとんど手を付けなくとも老後の基本生活費は賄えることになります。
今後、要介護になった場合などで不安に思うでしょうが、少なくとも資金面に関してはほぼ心配は不要と考えていいと思います。住宅のリフォームも一般的な内容(水回り、外壁など、かかっても1000万円程度)であれば、その支出を計上しても息子さんに2000万円は十分遺せます。
アドバイス2 不要な保障はカットしよう
家計についてはとても堅実に管理されていると思います。ただし、保険は個人年金保険以外、必要性は感じません。これだけまとまった資金があり、ローン等の負債はなし。生活費もさしてかからないとなれば、今後、医療費等で大きな支出が発生しても、貯蓄で十分カバーできます。がん家系などの理由で、がんが心配でならないのであればがん保険は残し、少なくとも医療保険は解約していいと思います。また、死亡保障も不要ですので共済も解約しましょう。
アドバイス3 資金や家は遺しても普段は一歩引いてみる
息子さんについてですが、心配する気持ちはよくわかります。ご主人を亡くされ、一層息子さんが気に掛かるのも、母親として当然のことでしょう。ただ、クロワッサンさんには息子さんの状態が多少なりとも歯がゆく映るでしょうが、今や「大学卒業」と「安定した職業に就く」ことが必ずしもイコールではない時代です。幸い、息子さんには就きたい仕事があり、そのために努力をしているとのこと。後ろ向きな発想で非正規社員となったわけではないのですから、今は見守るしかないと思います。
また、息子さんが安定した職業に就いてほしいのであれば、ある程度距離を置いた方がいいのでは。資金援助はしていないとのことですが、母親を身近に感じれば本人に甘えも出ます。現金や自宅を遺してやりたいと思うのは、親としては自然なことですし、息子さんの将来にもプラスです。ですが、普段の生活では一歩引いてもいいと思います。
クロワッサンさんは旅行が趣味ということで、年間20万円の予算で旅行をされています。ならば、今後も積極的にご自身の人生を楽しまれてはどうでしょう。資金的には倍の費用を充てても老後の生活が不安定になる心配はまったくありませんよ。
相談者「クロワッサン」さんより寄せられた感想
アドバイスいただいた内容は大変参考になりました。今のままの生活が大きく崩れなければそれほどお金に困ることは無いようですのでほっとしました。贅沢な老後を送りたいとは思いませんが、これだけのお金を遺してくれた両親と夫に感謝しながら節約するときは節約し、使いたいときはすこし奮発して人生を楽しみたいと思います。子供に関してはこれは自分が生きている限り続く親子関係ですので心配する内容が違えどもいつになっても親の心配は尽きないと思います。今現在は、子供の仕事・経済事情に関しての心配をしていますが、アドバイス頂いたことを忘れずに、物品を送るのも少し間隔をあけてみるか、向こうから助けを求められた時だけにするなど、していこうと思います。教えてくれたのは……
深野 康彦さん
取材・文/清水京武
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