フライシャー夫婦(ピアノ) 「フォー・ハンズ~ブラームス:愛の歌、シューベルト:幻想曲」
アメリカの生んだ巨匠ピアニスト、レオン・フライシャーは10代から演奏活動を繰り広げ、将来を嘱望されながら30代で難病によって右手が使えなくなり、以後は左手のみの演奏および指揮、教育活動に専念。治療の甲斐あって2004年には両手での録音ができるまでに回復しました。このアルバムは2014年5月の最新録音で、妻との連弾のもの。息のあったコンビネーションも素晴しく、収録された曲の題名どおり、二人三脚で歩んできた夫妻の愛、そして今後のピアノ演奏への期待を感じさせてくれるはずです。
■ガイド大塚の感想
この気負いの無さが何より「病気から回復して良かったね」と思える。選曲自体が良いが、信頼しきった穏やかな、完全に心の通った2人による演奏。
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チョ・ソンジン/感動のショパン・コンクール・ライヴ2015
数々のスター・ピアニストを輩出してきたショパン国際ピアノ・コンクール。今年その栄冠を手にしたのは韓国人ピアニストのチョ・ソンジンでした。今年10月に行われたワルシャワでのコンクールの演奏からセレクトされたCDが早くも発売されました。巨匠への道を歩み始めた若き才能の最初の第一歩を、今、一番輝いているショパン演奏をお楽しみいただけます。
■ガイド大塚の感想
なんとも熱いショパン。様々な性格を描く前奏曲集ですら、それぞれの曲で、ふと火が点いたように突き上げるような情熱が燃え盛る。これはやはり個性的。今後さらにどのような音楽を聴かせていってくれるのかが楽しみだ。
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ニケ(指揮) 「ヴィヴァルディと、女声の世界」
「四季」をはじめとする協奏曲ばかりが有名なヴィヴァルディ。しかし彼はヴァイオリンの名手であったと同時に「赤毛の司祭」と呼ばれていたとおり聖職者でもあり、教会音楽もかなり書いていました。聴き手を十分意識した華やぎある音楽作りは、彼ならでは! ヴェネツィアの女子学院で演奏される演目として書かれた一連の合唱曲は、当時どおり「女声だけで歌ってこそ」だと指揮者ニケは言いますが……桁外れの快速さが魅力の「グローリア」が最高です!
■ガイド大塚の感想
これは好企画盤。女声だけで歌われることにより、独特の浮遊感があるというか、恍惚感、天国感が増す印象。同音域によるフーガは滲むような少し退廃的ともいえる甘美さを生み出す。ニケの指揮による引き締まった清清しい演奏も見事。
ガーディナー(指揮) J.S.バッハ:ロ短調ミサ曲
ガーディナーが「ロ短調ミサ曲」を再録音! アルヒーフに録音したのが1985 年で当時「新時代のバッハ」と賞賛され、この度30 年ぶりの録音です。当録音は凄まじい集中力とアンサンブルで聴かせる名演! モンテヴェルディ合唱団の研ぎ澄まされた歌声、イングリッシュ・バロック・ソロイスツの見事なアンサンブル、高水準なソリスト陣、そしてガーディナーの推進力のある指揮で、全体がその真価を発揮した演奏を聴かせてくれています。
■ガイド大塚の感想
これはまた驚きの再録音。前回の録音とはかなり違うところがあり、どちらが良い、と言えるものではないですが、共通するのはやはり美しさ。そしてやはり合唱の正確で研ぎ澄まされた響きは圧巻。クルシフィクス(磔刑)最後の消え入るような深淵な響きなど言葉を失う。