住宅価格と利便性、
バランスの良い街、南行徳

南行徳駅

東京メトロ東西線南行徳駅。高架下は商業施設が入っている(クリックで拡大)

都心から離れるにつれ、賃料、住宅価格は下がってくるものですが、東京メトロ東西線の場合、それが明らかに分かるようになるのが南行徳(市川市)以遠。そのひとつ東京寄りの駅は浦安(浦安市)でも下がるのですが、浦安と南行徳間ではもう一段手頃になるのです。その一方、南行徳は都心直結で大手町、日本橋までは20分以内という立地ですから、便利なのに無理なく住めるという意味でお得な街と言えます。

 

成田山

現在でも正月には多くの参詣客を集める成田山新勝寺。江戸時代には一大行楽地だった

さて、その南行徳ですが、東京メトロ東西線の駅が誕生したのは1981年(昭和56年)とさほど古くはありませんが、街自体には歴史があります。それを示すのが旧江戸川近くを走る行徳街道。これは江戸時代に賑わった成田山詣でのための街道で、江戸から行徳まで船でやってきた参詣客は行徳から陸路、成田山へ向かったのだとか。そのため、行徳街道沿いには古い寺社、建物がそれほど多くはありませんが、残されています。

 
ふれあい遊歩道

この地域は公園も多く、地域内を歩く遊歩道なども整備されている(クリックで拡大)

また、行徳エリアはかつての漁師町でもあり、今も3年に1度行われる相之川日枝神社例大祭では行徳担ぎと言われる漁師町独特の神輿担ぎ(神輿もみ)が披露されるのだとか。これは肩で担いでいた神輿を地面すれすれまで下げ、その状態でゆっくり回転する地すり、その後、神輿を頭上高く差し上げて、それをさらにゆっくり回転させる差し、最後に神輿を高く放り投げて(!)受ける放り上げからなるそうで、祭り好きの人なら興奮してしまいそうです。ちなみに次回の例大祭は2016年10月の予定です。もうひとつ、南行徳駅からはかなり遠いのですが、東京湾岸には塩浜というエリアがあり、ここはかつて塩田のあった場所。様々な意味で江戸の人たちの暮らしになくてはならない地域だったというわけです。

 

駅、新大橋通り沿いに商業施設、
公共施設などが集積

高架下

高架下の商業施設。日常使いに便利な、おなじみの店が中心になっている(クリックで拡大)

さて、街の様子ですが、商業施設が集まっているのは駅周辺と東西線と直交する新大橋通り沿い。大手の24時間営業のスーパーに加え、地元資本のコンパクトなスーパーもあり、新大橋通り沿いには大型家電店も。東西線高架下にある南行徳メトロセンターには飲食店、惣菜店、ファーストフード店にコンビニなどが入っており、利用しやすそうです。

 

市民センター

子どもを連れてきたと思われるお母さんたちの自転車を多く見かけた市民センター前(クリックで拡大)

また、駅のすぐ近くには市の南行徳市民センター、郵便局などがあり、少し離れて市立福栄市民図書館もあります。南行徳は市役所のある本八幡駅からは江戸川を挟み、少し距離がありますが、こうした設備があればさほど不便を感じることはないでしょう。

 
平坦な土地

ゆったりした、平坦でまっすぐな道が多い。建物もそれほど高くはない(クリックで拡大)

街を歩いて気づくのは、平坦で坂道が全くと言ってよいほどないこと。そのため、自転車を利用する人が目に付きます。もうひとつ、特徴的なのは道が広いこと。これは土地区画整理事業が1970年代という比較的新しい時期に行われたためで、片側複数の道路はさすがに少ないものの、全体にゆったり作られているのです。区画も同様で、地図を見れば分かりますが、整然と四角い場所が少なくありません。 ただし、駅から少し離れると人影の少ない住宅地となり、店舗が少ないこともあって夜道はあまり明るくはありません。夜遅い帰宅時などは相応の注意が必要でしょう。

 

賃貸物件多数、選択肢の多い街、
中古マンションは1000万円台も

アパート

東西線は都心直結で便利なため、建替えが進んでおり、古いアパートが全体として少ない(クリックで拡大)

さて、住宅ですが、都心に近いため、賃貸物件が非常に多いのが特徴。マンションはもちろん、沿線全体ではあまり多くないアパートなども豊富で、数の上では選択肢の幅が広い街といえます。ただし、個性的な物件などはあまりなく、ごく一般的な物件が大半です。賃料はワンルームマンションで5万円台から。2DKで8万円、3DKで10万円が目安です。

 
遠くにマンション

近隣に地元では有力な賃貸のデベロッパーがあるため、このエリアではその会社の賃貸住宅が多く、少し離れたところに分譲マンションが建てられることが多い(クリックで拡大)

続いて購入の場合ですが、新築マンションはタイミングにもよりますが、比較的コンスタントに供給のあるエリア。ただし、以前のように100戸以上などと規模の大きな物件は少なくなってきています。また、駅から数分圏は賃貸が多く、分譲のほうがやや遠めということもあります。価格は70平米の3LDKで4000~5000万円といったところです。

 

中古マンションでは築年数にこだわらなければ70平米、80平米が2000万円台から探せ、50平米、60平米なら1000万円台も。手頃に買って好きにリフォームということを考えるなら、このエリアは面白いかもしれません。それほど高い建物がないので、日当たりが良い物件が多いのもうれしいところでしょう。

高架下のトランクルーム

高架下を利用してトランクルームが作られていた一画。近くにあると便利(クリックで拡大)

新築建売一戸建ては4000万円がひとつの目安。全体としては数棟くらいまでの現場が中心ですが、中には30棟、60棟という現場もあり、そうした物件では一体感のある景観形成が意識されている様子。ただし、その分、価格はやや高めになり、6000万円近くということもあります。

 
コミュニティバス

市川市のコミュニティバス。南行徳から東西線沿線、本八幡周辺までを走る。これを利用すれば市内の移動は便利だ(クリックで拡大)

あまり知られてはいないものの、意外に歴史のある街南行徳。静かで無駄のない暮らしを志向する人には向いているかもしれません。



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