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つつじヶ丘、静かな一戸建て中心の住宅街

新宿駅から20分強。京王線つつじヶ丘は急行、区間急行の停まる駅ながら、初めて降りた人には拍子抜けするくらいコンパクトで静かな街。一戸建て中心の住宅街をのんびり歩いてきました。

中川 寛子

執筆者:中川 寛子

住みやすい街選び(首都圏)ガイド

つつじが多い街だったからつつじヶ丘?
住宅開発によって駅名が変わった街

金子の銀杏

甲州街道沿いに大きなイチョウの木があり、町名が金子だった時代からのものだという(クリックで拡大)

1913年(大正2年)の開業時、当初は金子という駅名で誕生したつつじヶ丘駅。改名は1957年(昭和32年)のことで、これは当時、八高線に金子駅があったこと、京王電鉄は周辺の宅地をつつじヶ丘と称して開発していたためと言われています。

 

つつじが植えられている緑道

確かに住宅地内その他の緑道にはつつじも植えられているようだが……(クリックで拡大)

なぜ、つつじかという点ですが、江戸時代、現在の新宿百人町辺りは大久保つつじが有名だったそうで、その地に本宅のあったお金持ちがこの地に別荘を構える際、本宅からつつじを移植したことをきっかけに周辺につつじが多く植えられるようになった、あるいはこの辺りにつつじ園があったなどという説がありますが、真相ははてさて。ただ、その花が洋花でないあたりに歴史を感じます。

 

つつじヶ丘駅前

つつじヶ丘駅前。駅から甲州街道の間に様々な店舗が並ぶ。昔も今もこの街は新宿と繋がってきたというわけだ(クリックで拡大)

ちなみに大久保のつつじは元々自生していたものを地元の鉄砲組百人隊の人たちがサイドビジネスとして栽培して有名になったもので、江戸中期になるとつつじの名所として「江戸第一の壮観」とまで言われたとか。『江戸名所図会』にも大久保躑躅園(おおくぼつつじえん)なる一枚があるほど。甲州街道を通じて新宿とつつじヶ丘はその昔から繋がっていたわけです。

 

往時の住宅街が今も残る
西つつじヶ丘は一戸建て中心エリア

住宅街の様子

なだらかな傾斜地にゆったりした一戸建てが並ぶ。高い建物、集合住宅は周縁部にのみ見られるのみ(クリックで拡大)

そのつつじヶ丘の開発が始まったのは1950年代。中心となったのは京王線と並走する甲州街道の北側、西つつじヶ丘1丁目から3丁目エリアで、駅から向かうと北へ向かうほどに高台になっており、地盤の良い土地であることが分かります。現地は一戸建てが並ぶ住宅地で極端に広い敷地はないものの、現在、首都圏で販売されている建売住宅に比べるとはるかに広い、ゆったりした住宅が続き、各戸の植栽も見事。落ち着いた住宅地となっています。ただ、開発年代が古いせいでしょう、一部に劣化の進む擁壁も見られ、この辺りで中古住宅を購入する際にはその点のチェックは欠かせないものと思われます。

 

駅前の様子

駅のロータリーを囲んでスーパー、ドラッグストアなどがあり、そこから少し離れて商店街がある(クリックで拡大)

マンションがあるのは駅の周辺です。主に甲州街道と京王線の間がマンション立地となっており、建物1階には飲食店やスーパーなどが入っていることも。商業施設も駅周辺に集中しており、買い回りには便利そうです。また、駅ビルにも書店、ドラッグストアや飲食店などが入っており、駅の5分圏程度で日用品は揃ってしまいそうです。また、週末の買い物には隣駅仙川の充実した商店街、商業施設を利用する手もあります。

 

飲食店街のサイン

サインの様子から店名までなんともレトロ。行ってみると路地の両脇に小さな店が並んでいた(クリックで拡大)

また、駅から少し離れたところにはレトロな雰囲気の飲食店街があり、定食屋さんなども。手頃なお値段でなぜか、必ず酢の物が付く定食が食べられるようです。甲州街道沿いにも学習塾やケーキ屋さん、飲食店が並んでいます。

 

駅南口徒歩10分には神代団地、
農地も点在するのどかな雰囲気に

南口側

南口側。正面に駅があり、右手に駐輪場、左側には1階に店舗が入ったマンション。雰囲気の良いケーキ屋さんなどがあった(クリックで拡大)

コンパクトながら一通りのものが揃う北口と異なり、南口は非常にのんびりした雰囲気。駅前には大きな駐輪場があり、ところどころにマンションなどは見えるものの、少し歩くと農地などが点在、古いアパートなども見えてきます。とはいえ、駅のすぐ近くにはケーキ店やデリなどのセンスの良い店があり、無農薬を売りにする八百屋があるなど都会的な暮らしがイメージできます。

 

神代団地

一部玄関周りの改修があったのだろう、緑のない棟もあるが、目隠しになるくらい植栽が高く伸びた棟もあり、全体に緑が多い(クリックで拡大)

駅から少し離れ、坂を下って南に向かい、歩くこと約10分。野川沿いに神代団地があります。ここは昭和40年頃に作られた団地で、当時のゆったり感を残したままなのがうれしいところ。団地内には緑が豊富で場所によっては中層の建物を超す勢いの並木も。住戸が真南を向いて並んでいるのも特徴で、わざわざここに住みたいと都心から引っ越した人もいるほど。静かで緑が豊富、それなのに都心にも30分ほどというのが理由だそうで、実際に訪ねてみるとその選択はありだなと思わされます。

 

敷地中央の広場

どの住戸もすべて南向きという、今なら贅沢に感じる配置。敷地中ほどにある広場で(クリックで拡大)

ちなみに間取りは1LDK~4DK、専有面積は39平米から65平米と幅広く、賃料は7万円台から12万円ほど。2000戸を超す団地だけに中心部にはスーパーなどの商業施設もあり、駅からはバスも利用できます。

 

徒歩10数分圏になると
アドレスは三鷹市、狛江市ということも

三鷹市

西つつじが丘に調布市と三鷹市が奇妙な形で接する地域があるが、そのエリアから三鷹市を見たところ(クリックで拡大)

続いて団地以外の住宅について見ていきましょう。まず、分譲物件ですが、主流は一戸建て。駅から10数分という立地で土地面積30坪(100平米弱)の3LDKで4000万円~が目安。ただし、西つつじヶ丘の町名はほとんどなく、世田谷区に隣接する入間町や東野川などといった地域が多く、中には三鷹市や狛江市アドレスも。やはり、かつてのつつじヶ丘分譲地は今もブランドのようで、たまに西つつじヶ丘で供給があると7000万円近くということもあるほどです。

 

新築マンションでは駅近くはすでに土地がないため、かなり離れた場所になります。その代わり、場所によっては200戸、300戸という物件もあり、共用部分などは充実した物件も少なくありません。価格は3LDKで4000万円~というところでしょうか。駅近くでということであれば、中古を探すことになります。

甲州街道沿い

駅から甲州街道までの間にマンションが目につくため、多いように思われるが、街全体としてはマンションエリアはごく限られている(クリックで拡大)

ですが、残念ながら中古もそれほど数はありません。特に駅から徒歩10分で考えるとごくわずか。価格は築30年超、70平米で2000万円~と比較的手ごろではありますが、とにかく数がありません。どうしてもこの地でというのであれば、気長に探すしかないでしょう。

 

アパート

駅から数分~10分ほど離れると手頃な賃料のアパートが見つかるようになる(クリックで拡大)

賃料はワンルームマンションで6万円前後~、2DKで10万円~。アパートになると単身者向けで5000円程度、2DKになると1万円以上安くなりますが、数はそれほどありません。比較的一戸建ても多い地域で、2DKで12万円、3DKになると17万円ほどになります。

 

京王の電車

神代団地からでも都心まで30分ちょっと。環境の良さと都心への利便性が両立する地域と言える(クリックで拡大)

都心からさほど離れていないのに、野川あり、畑ありとのんびりした風情のつつじヶ丘。日常をゆったり楽しんで暮らしたい人には落ち着ける街ではないでしょうか。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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