68年目にして環状2号線新橋~虎ノ門間開通、
虎ノ門ヒルズ開業で街が変わり始めた

虎ノ門ヒルズと環状2号線のトンネル部分

虎ノ門側からトンネルと見たところ。新橋近くまでは地下を走る(クリックで拡大)

1946年(昭和21年)の都市計画決定から68年。2014年(平成26年)3月に、環状2号線の新橋~虎ノ門間をつなぐ約1.4km(うち0.9キロは地下トンネル区間)が開通しました。その後、6月には新虎通りと名付けられた通りを跨ぐ形で地上52階、地下5階の超高層複合施設虎ノ門ヒルズが誕生。開業当初から観光客が多数訪れるなど、新しい観光名所となりつつあります。

 

環状2号線

写真中央近くに見える真新しい道路が環状2号線。少し行けば湾岸エリアという位置関係がよく分かる(クリックで拡大)

環状2号線自体は江東区有明2丁目から千代田区神田佐久間町1丁目に至る全14キロの道路で、2016年(平成28年)に予定される新橋~豊洲間の3.6キロの完成で全線が開通する予定。完成の暁には都心から羽田、成田へのアクセスが良くなくなる上、2020年(平成32年)の東京五輪では新国立競技場と晴海の選手村を結ぶ最短ルートにも。今回の開通、開業は始まりであって、終わりではないというわけです。

 

眺望

虎ノ門ヒルズ上階から皇居、大手町方面を見たところ。ビルが多いのは当然だが、意外に緑が多いことにも驚かされる(クリックで拡大)

虎ノ門~新橋エリアにとっても開発は始まったばかり。もともと、官庁街やビジネス街として早くから業務の集積したエリアではありますが、2011年には「アジアヘッドクォーター特区」に、2012年には「特定都市再生緊急整備地域」に、また、安倍政権の国家戦略特区構想では国際標準のビジネス空間作りで対象となる地域にも挙げられており、さらなる発展への期待がかかるエリアでもあるのです。

 

愛宕神社裏

愛宕神社裏手あたりに広がる空き地、壊されるのを待つばかりの住宅。写真右に見えているのは愛宕ヒルズ(クリックで拡大)

この期待の裏には、古くから開発されてきただけに建物、道路等の更新が遅れており、旧耐震の小規模建物、狭い路地などが多く残されているという事情があります。このままでは他のオフィス街に遅れをとる、地元にはそうした意識もあるのではないでしょうか。また、防災面にも危険があるという事情も。そのためでしょう、虎ノ門ヒルズ周辺では開発を待つばかりの、空家になった古い住宅が密集する一画もあり、変化が始まりつつあることを感じました。

 

東京シャンゼリゼプロジェクトの実践、
日比谷線新駅にも期待

オープンカフェ

虎ノ門ヒルズを道を隔てて作られているオープンカフェ。今のところ、視察に来たらしい人たちの姿が目立つ(クリックで拡大)

今後の変化でもっとも現実的なのは国家戦略特区設定にあたり、道路占有基準が緩和されたことによる歩道空間の活用。東京都ではこれを東京シャンゼリゼプロジェクトと名づけており、歩道を利用してオープンカフェを作る、イベントを行うなどの利用ができるようになるのだとか。実際、虎ノ門ヒルズの向かいでは幅13mという都内最大幅の歩道を利用したカフェが登場しています。

 

植栽

新橋、汐留方面を見たところ。今の段階ではちょっと貧相な植栽(クリックで拡大)

ただ、シャンゼリゼと謳うためには、現在、新虎通りに背を向けた形になっている沿道の建物の更新が必要でしょうし、植えられたばかりでひょろひょろの植栽はいかにも貧相。現状では道幅が広いだけに閑散とした印象があり、このままでの集客、賑わい創出は難しそう。少なくとも、今後はもう少し見栄えのする植栽計画を検討していただきたいものです。

 

虎ノ門駅周辺

虎ノ門ヒルズの現在の最寄駅は銀座線虎ノ門駅で徒歩5分。日比谷線の神谷町、霞ヶ関へはそれぞれ8分などとなっている(クリックで拡大)

今のところ、具体的な報道はないものの、大きな変化として囁かれているのは日比谷線新駅の設置。都市再生機構が2013年にまとめた「都市開発と鉄道のリニューアル 東京の国際競争力強化に向けて」と題した調査報告書によると現在の虎ノ門駅のピーク時の乗降客数は1時間当たり1万8000人、神谷町駅は1万5000人で、これが今後想定される開発計画竣工後にはそれぞれ4000人、6000人増加するとされています。となると、次の電車が来た時点で前の電車の乗客の一部がホームに滞留していることになり、事故発生、運行遅延の危険が生じてきます。

 

さらに国土交通省は大都市の国際競争力を高める施策の一環として、最寄駅まで300m以上の距離があるなど「都心型鉄道不便地域」の解消を検討しており、その適用対象として虎ノ門周辺が挙がっているという報道があります。晴海や西麻布周辺など同様に不便な地域はいくつかあるものの、開発の進行状況を考えれば虎ノ門周辺が第一号となっても不思議はなく、それが日比谷線新駅設置として具体化する可能性は十分ありえます。実現に向かうかどうか、今後の成り行きが気になります。

 

大小のビル

オフィス、住宅、小さな工場などが混在、大手町などのオフィス街とは異なる風景が広がる(クリックで拡大9

以下、変化に対する個人的な期待を少し。ひとつはオフィスとしての多様性。このエリアは丸の内、大手町や西新宿などのように大規模なビルを中心に構成された街に比べると、建物規模がバラバラ。街の景観という意味ではマイナスになりかねない点ですが、この点をうまく利用すれば大企業のみならず、中小、零細企業がオフィスを構えることができる街にすることも可能。そうした多様性があるオフィス街のほうが将来的には面白いのではないかとも思います。

 

お祭りの掲示

近隣には愛宕神社、虎ノ門金刀比羅宮などの寺社もあり、祭りも行われている(クリックで拡大) 

もうひとつ、多様性という意味では、このエリアは長く居住してきた人が多い場所でもあります。通りから一本入ると、数は少なくなったものの、普通の住宅が点在しており、そうした人たちも交えた街づくりが望まれるところ。愛宕神社の祭りなどを通じてオフィスオンリ-ではない街づくりができれば、都心居住の新しい可能性が開ける気がします。

 

虎ノ門、新橋で借りるのは難しくても
アクセスする路線は意外にお手頃

高層階の住戸

虎ノ門ヒルズ40階の2LDKのリビング。賃料は140万円から(クリックで拡大)

最後に住宅について。虎ノ門ヒルズにも住宅はありますが、残念ながら賃料は47万円からとかなり高め。ただ、新橋周辺には意外に古い建物が多いことは前述した通り。そうした小規模な建物が住居に変わることは十分ありえます。ちなみに現状で新橋界隈の家賃相場は単身向けのワンルーム、1DKで12~13万円、2DKになると20万円~。虎ノ門ヒルズほどではありませんが、かなり高額です。

 

しかし、虎ノ門、新橋から直通で利用できる東京メトロ日比谷線入谷以遠や都営浅草線の馬込、西馬込、同じく浅草線の本所吾妻橋、押上であれば7~8万円。今後、このエリアの価値が上がれば、今のところ、住宅価格が比較的手頃なこうした地域の人気が高まる可能性もあり、推移を気にしていたいところです。

 



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