アドバイス1 まずは転職を、そして65歳まで働く
いただいた内容を拝見する限り、まずは転職を検討すべきではないでしょうか。仕事にかかる経費が持ち出しとなったり、ノルマを達成できなければ解雇になるなど、少なくともご相談者である「みかりんさん」にとって、働きやすい職場環境とは言い難いと思います。希望されている「一般事務・正社員」に就くことは、確かに容易ではありません。新しいことに踏み出せないという気持ちも、理解できます。それでも現状を変えるには、根気よく継続的に探していくことしかないはずです。
転職では、介護職員の経験も活かす方向も考えてはどうでしょう。過去に足をケガされ、また無理をしてしまっては元も子もありませんが、そういう負担の少ない職場を探す価値はあるのでは。何より慣れた仕事ゆえ「ストレスなく働ける」というのが大きいと思います。
また、「60歳までは働かざるを得ない」と言われていますが、できれば65歳までは働きたいところです。もっとも効果的な老後対策のひとつが、長く働くということ。老後資金は、公的年金だけでは不足する生活費を補うものです。したがって、額は少なくとも長く収入を得ることはとても有効なのです。
アドバイス2 死亡保障より今の生活
家計については保険以外、見直すべき無駄は見当たりません。通信費はご両親の携帯代金も負担しているため、この金額は仕方がないでしょう。趣味娯楽費の主な内訳はスイミングとネイルとのことですが、生活にこういった支出もなければ、ストレスが溜まってしまいます。しかも、スイミングは健康維持にもつながるのですから、意味のある支出となっています。しいて言えば、数千円単位ですが、今より安く楽しめる工夫ができるかどうかでしょう。
また、雑費に美容院や化粧品がありますが、これも一部は仕事の必要経費と考えられます。転職をして、職種も変われば、このあたりの支出は少し抑えられるかもしれません。
さて、保険についてですが、はたして終身保険は必要でしょうか。独身であっても、お葬式代としてまとまった死亡保障が必要という考えもあります。しかし、みかりんさんの場合、まずは今の生活。現在の貯蓄額が5万円なのですから、これを増やすことが最優先のはずです。
また、老後資金づくりが目的だとしても、予定利率が低いこと、保険としてのコストが発生していることを考えれば、同額を定期預金で貯めた方が効率的です。したがって、現在加入の終身保険は「払済保険」にして、月8000円の保険料は貯蓄に回すべきです。
アドバイス3 実家は相続して老後の住まいに
老後について気になることがひとつ。「父親がなくなり、母親だけとなった場合、継続して施設に入れるよう、実家を売却してその費用に充てる」と言われていますが、それは最後の手段ではないでしょうか。住宅の様子はわかりませんが、さほど手を入れずとも住むことができるのなら、みかりんさんが相続して、代わりに住むことが望ましいと考えます。もちろん父親が亡くなった後、年金と金融資産等で母親が継続して施設に入り続けることができるという前提です。持ち家になれば固定資産税などの維持コストは発生しますが、家賃を払うよりは負担が小さいはず。何より、住むところが確保できているということは、老後生活においては安心感につながります。そのときは、ご実家から通勤が可能な範囲で仕事を探さなくてはなりませんが、それも含めて検討してみてはどうでしょう。
ともあれ、貯蓄がわずかしかありません。老後を見据えるというよりは、何であれ、少しずつでも貯めるペースを上げていくことが、今の家計管理のポイントです。あわせて、ストレスを感じずに、安定した収入が得られる職場への転職を目指すべきだと思います。
教えてくれたのは……
深野 康彦さん
取材・文/清水京武
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